エクスペリエンス・マーケティングExperience Marketing


百貨店の未来。こうすれば21世紀に生き残れる!
エクスペリエンス・マーケティング的手法は、すでに19世紀中頃には、
フランスのパリではじまっていたのだ!



百貨店って、子どもの頃は楽しいところでしたよね。
おもちゃ売場、エレベーター、大食堂、屋上の遊園地、熱帯魚が泳いでいる水槽・・・

あの楽しい場所が今は・・・さびしいですね〜

百貨店がまた楽しいところになることを願って、
すべての百貨店関係者に、この雑文を捧げます。
(ホントに雑文)

1999年:新宿三越南館閉館
2000年:そごう事実上倒産
2000年:横浜三越一部閉館
2000年:井筒屋 中津店と大牟田店閉鎖

<おつかれさまでした>

百貨店こうすれば楽しくなる!


十人十色(じゅうにんといろ)といわれていた消費者の欲求が
「一人十色」になり、オーバーストア時代といわれ、
「モノの豊かさ」よりも「心の豊かさ」が価値観になっている時代。
 しっかりとしたコンセプトとアイデンティティーを確立しなければ
生き残っていくのはむずかしいであろう。 
ホントに百貨店にとっては大変な時代になったのだなー、というのが、
ひしひしと感じられるきょうこのごろである。

そこで、将来百貨店がどういうふうになっていけば生き残れるのか、
どういうサービスをしたら他の小売り業種と差別化できるのかを考えてみようと思う。


それもかなり大胆なアプローチで、
そんなことは不可能だと誰もが思うような革命的な視点で、
百貨店の未来像をイメージしてみた。


そして浮かんだその姿は、一見突拍子もないものだった、
しかし、時代は確実にその方向に向かっているし、
アメリカではその片鱗を覗かせてきつつある。

今百貨店業界に求められているのは、
それくらい大胆な革新的なことなのだと思う。
それはまるで、天才ブシコーが150年前に考えたと同じくらい
「革命的なこと」になるはずだ。またそうしなければ、
百貨店の存在理由がなくなってしまう。

 



百貨店が生き残っていくために


百貨店を発明した天才ブシコー夫妻
1852年にアリスティッド・ブシコーが
パリに世界最初のデパート「ボン・マルシェ」を
開いてから、約150年。
百貨店人は何一つ新しいことを
創ってこなかったのではないだろうか。
ほとんどが、ブシコーが考えたことの
焼きなおしに過ぎないように思えてならない。


消費者の購買欲を喚起する方法や、
ライフスタイルを提案して新しい消費を作り出すこと、
外商や通信販売の考え方。
他にもバーゲンの概念、VMD、サービス、イベント、文化施設などなど、
調べれば調べるほど、現在の百貨店がやってることは、
百貨店が初期の段階でやってきたことを繰り返しているだけのように思える。


形は違うけど、ひとりの天才が考え出したことを超えてはいないのだ。

海水浴、リゾートウェア、水着の広告
それまではアッパークラスしか経験できなかったことを
中産階級にも提供
必要や欲望に気づかせるマーケティング
もちろん良心的な見方をすれば、今まではその必要がなかったのかもしれない。

また、百貨店人だけではなく、百貨店業界のまわりにいる
コンサルタント的な立場の人たちもそうだ。
10年くらい前から、発言の内容が変わっていないように感じる。
もちろん、言っていることはまともだし、今風の内容になっている。
同感できる先鋭的な意見を述べている人もいる。

ボンマルシェの吹き抜け階段
庶民を王様の気分にした
しかし、彼らが言っていることはここ10数年、
百貨店がいろいろやってきたことと
同じ領域でしか考えていないように思える。
百貨店のコンサルの人たちも、
狭い世界しか見えていない。
きっと、アメリカに行っても、
百貨店や有名どころの集客施設しか
見ていないのではないか。


昔、百貨店は楽しいところだった。

子どもの頃デパートに行くということは、ディズニーランドに行くようなものだった。

広い空間にあふれんばかりに並ぶおもちゃ売場、
エレベーターやエスカレーター、ペット売場、
食べたい物がなんでもあるレストラン、屋上の小さな遊園地・・・
そこには日常とは違う別世界が広がっていた。


しかし今それはなくなってしまった。
まったく楽しさはなくなり、スーパーマーケットやディスカウンターと変わらなくなっている。


冗談ではなく、このままだと百貨店という業態が
なくなるのではないかと心配になってしまう。
自動車の登場で人力車がなくなったみたいに・・・・


電脳時代

確実にこの時代がやってきている。
政府がいってるように情報のインフラが整備でき、
電子マネーが確立されたら、やりかたによっては、
このマーケットはとてつもなく大きなサイズになるだろう。


これは確実にやってくることであり、誰もが避けては通れないことなのだ。

将来の夢物語じゃなく、ここ数年で驚くべき早さで、驚くべきパワーで確立するのである。

 そのときに百貨店はどうするのか?

単に安い物を売っている価格だけ勝負の店や、
物だけを売っている業態はたいへんに大きな部分をこれらに侵略されるであろう。 

ディスカウンターや量販店は甚大な被害を受けるところも出てくる。


しかし、この潮流は百貨店にとってはいいことなのだ。


ヴァーチャルなSCでは、絶対に手に入らないものを売ればいいのだから。

そしてそれは百貨店業界が得意としている分野ではないか。

それは・・・エンターテインメント。


そういう状況で生き抜いていくためには、
物販店というのは大きな二つのタイプになっていかざるを得ないだろう。   

ひとつは徹底的に物を安く売るディスカウンターに、

もうひとつは人を楽しませエンターテインメント性を重視するタイプへ。

エンターテインメントといっても、映画やショーのことではない。
ここでいうエンターテインメントはお客様を心からもてなし、楽しませること。

「ヴァーチャルSCでは絶対に手に入らないもの」それはショッピングの楽しさである。

いろいろな店を見て廻り買い物ができたり、
すばらしい環境でおいしい物を食べたり、
現在の百貨店が忘れてしまったこと、  

「楽しさ」を出せばいいのだ。


いろいろな先生がさまざまなことを言っておられるが、要はいまの百貨店は楽しくない。

だから楽しくすればいい


しかし、楽しさをだせばいいと一口に言っても
それは並大抵のことではできないだろう。
中途半端なものはだめ。徹底的にこだわらなければならない。

今までさんざんホスピタリティーが重要とか、
感動を提供とか言われてきてほとんど実践していない。
それはあまりにも中途半端な考えでやっているからだ。

覚悟がないのだ。
それは企業の覚悟、社員の自覚がないから、利用客にも伝わらないのだ。
 
自分のアイデンティティーをしっかりと確立しなければならない。

他との差異化を明確にし、他に真似されることのない、
確固たるオリジナリティーを持った店が必要なのである。


オリジナリティーこそが永続を約束する、のだから。

これは20世紀の終わりに流行した、
期間限定の安っぽいエンターテインメントショッピングモールではなく、
しっかりとしたコンセプトとインテリジェンスを持ち合わせた、新しいデパート。


入場料を取れるくらいの百貨店

前にも書いたが、百貨店は昔、テーマーパークのようなところだった。

しかし、今はそういう楽しい施設はたくさんある。
今の百貨店が提供しているエンターテインメントはどこにもあるのだ。


21世紀の百貨店のひとつの姿は「百貨店テーマパーク化」である。


テーマパークと言ってもディズニーランドを想像してはいけない。
TDLは「遊園地」を遺伝因子でもっているテーマパーク。


しかし、これは百貨店を遺伝因子にもち
「お客様を心からもてなし、楽しませる」というコンセプトをもった、
テーマーパークなのだ。「集客」ではなく「遊客」させるのである。

あるテーマを設定し、その環境を創出し別世界を創り、
そのテーマにあった商品やサービスを売る。
そして、入場料を払ってでも来たいと思う施設にする。


ご存じのとおり、東京ディズニーランドの物販は、
百貨店の人たちの垂涎の的になるくらいの、坪当たり販売単価である。

ワールドバザール内にある、「ディズニー&カンパニー」という店などは
坪当たり販売単価は月間900万円をかるく超えている。
全店平均は260万円くらい。


百貨店の月間坪当たり平均は、たぶん45万円くらい。
一番売れていると思われる新宿小田急の食品売場でも、200万円前後であろう。

TDLの物販は何故そんなにも売れるのだろうか?

ミッキーやドナルドのキャラクター商品が強いからだろうか?
TDLでしか買えないオリジナル商品だからか?
キャストと呼ばれている人たちが親切に笑顔で応対してくれるからか?


そういうことももちろんあるだろう。
しかし、それだけではそんなに売れるわけがない。
それだったら、TDLと同じ商品を三越の売場で売ってみたらわる。
絶対にTDLほど売れないだろう。

環境なのだ。

一日中ディズニーの環境で楽しみ、気分が高まっているから売れるのだ。

百貨店にしかできないオリジナリティーあふれるテーマ。
それは例えばリゾートであったり、外国であったり、
旅であったり、それぞれの店で決める。
サービス形態や方法、オペレーションも熟考して決定しなければならない。

そういう「テーマ百貨店」
次世代百貨店の主流になっていくだろう。

エントランスは一カ所。入店するとロビーがある。
カウンターがあって、クロークもある。
そこで荷物やコートを預け、カードIDを受け取って入店する。

店内は別世界。

素晴らしい環境、テーマ性のある商品、文化の香り高いイベントやアトラクション。
洋服のお直しを待ってる間に、モードの歴史の映画を見たり、
アマゾンの熱帯魚を展示している水族館を体験したり、
美味しいエスニックレストランで食事をしたり・・・
何時間いても飽きないのだ。
そしてすべての買い物やアトラクションはカードIDにチェックしていく。
買った物は帰りにカウンターで渡してもらい、清算もそこですます。
お客はとても幸せで暖かい気持ちになり、
またここに来たいという思いで帰るであろう。

そういう百貨店があれば、これは世界ではじめての試みになる。

そして、かなり高い確率で成果がでるだろう。

やってみる価値があることだと思う。




<参考文献>
「人が集まるテーマパークの秘密」-伊藤正視 著-(日本経済新聞社1994年1月)
「デパートを発明した夫婦」-鹿島 茂 著-(講談社現代新書1991年11月)







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