あなたのお客さまが欲しいものは「モノ」じゃない
絞られたターゲットにピンポイントのメッセージが、一番伝わりやすい。
これは真理です。
ターゲットを明確にすると、販促物も伝わりやすくなります。
お客さまがどういうことを求めているのか、どうしたら喜んでくれるのか、どういう言葉に興味を持つかがわかりやすくなるからです。
夏だから、夏らしい販促の話をします。
本にも書いた事例なので、見た方も多いと思います。
夏休み中のスイミングスクールのチラシの話です。
「夏休み子供短期水泳スクール」
夏休みの間に、このスクールに通うと2学期が始まるときにはとっても上手に泳げるようになるというスクール。
ボクの塾生さんで、北海道でマーケティングデザイナーをやっている亀井さんという人がいます。
彼が製作したチラシ。
彼は、この会社のスイミングスクールのチラシを毎年つくっていました。
でも、エクスマ塾に来て「ああ、ターゲットに伝えることが違ったんだな」と気づいて、作り直したら、今までになかったくらい反応がよかった。
そういう事例です。
スイミングスクールのチラシは、お母さん方がターゲットです。
小学生の子供を持っているお母さんに向けて打つチラシ。
何を発信するか?
ほとんどのスクールは、「夏休みにうちのスクールに来ると、水泳がうまくなりますよ」ということを発信します。
亀井さんがそれまでつくっていたチラシも、そういう発信だったんです。
でも、ターゲットのお母さんたちは、子供が水泳がうまくなっても別にうれしくない。
水泳がうまくなることによって、どういううれしいこと、いいこと、どんな問題が解決するのか?
それを導きだすことが、とっても大事です。
モノを売っていては、真の価値は伝わらない
亀井さんは「『モノ』ではなく『体験』を売れ」というエクスペリエンス・マーケティングの発想で考えてみた。
スイミングスクールに来たら水泳がうまくなりますよ、なんていうのは、モノを売っている発想です。
どのスクールでもいうことです。
水泳がうまくなることによって、どんないいことがあるのか?
それをちゃんと伝えなければいけない。
彼は、奧さんと話をしました。
「子供が水泳がうまくなると、どんないいことがあるかな?」
亀井さんにも子供がいて、スイミングスクールに通わせたこともあった。
だから奥さんの意見を聞いてみたんです。
そして自分の子が水泳がうまくなって、自信がついたっていうことを知ったんです。
小学生の頃って、何かひとつでも体育関係に特技があると、いじめられなくなる。
たとえば、すごく速く走れるとか、高い跳び箱を飛べるとか、水泳がすごくうまいとか、そういう飛び抜けた力があると、自信がついて、いじめられなくなったり、相乗効果で勉強もできるようになったりする。
そうか!! 水泳がうまくなったら、子供に自信がついて、いじめられなくなる。
そういうシナリオだ、ということに気づいた。
そういう意図をもって、チラシを作り直しました。
そして、できあがったのが、
「やったぁ~!!ボクらは自信マンマン組だ!!」
学校の水泳授業が楽しくなる!!
そういうキャッチコピーのチラシです。
それまでは、チラシを打っても、定員の半分くらいしか埋まらなかった。
ところが、作り直したチラシは、広告を打った瞬間に、本当にあっという間に満員になったのです。
ターゲットにきちんと価値を発信できたからです。

藤村 正宏

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