アート思考

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ビジネスとアート思考:【第4話】絵の具チューブからそのまま叩きつけた、ゴッホの熱量

若い頃、僕はニューヨークで暮らしていた時期があります。休日に足を運んだニューヨーク近代美術館(MoMA)で、忘れられない出逢いがありました。子どもの頃、釧路にあった父のアトリエで画集を開いては、ずっと憧れの眼差しで見つめていたあの絵――フィンセント・ファン・ゴッホの『星月夜』。その「本物」が、目の前の壁に掛かっていたのです。作品の前に立った瞬間、息をのみました。印刷された画集のページでは絶対にわからなかった、圧倒的な「絵の具の厚みと生々しさ」。
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ビジネスとアート思考:【第3話】リンゴを転がして何十回も描き直した、ある男の執念

油絵の具とテレピン油の独特な匂いが立ち込める部屋で、棚から分厚い画集を引っ張り出してめくっていた日のことを、今でもよく覚えています。僕の父親は、平日は会社員として働きながら、週末は絵筆を握る画家でした。北海道の釧路で「釧路美術協会」の立ち上げメンバーに名を連ねるほど、情熱を注いで絵を描いていた人です。(定年退職後は本物の画家になった)家には父のアトリエがあり、子どもの頃の僕にとって、そこは日常のすぐ隣にある不思議な別世界でした。中学生になったある日、そのアトリエでたまたま開いたのが、ポール・セザンヌの画集でした。名画と呼ばれるその絵を前にして、思春期の僕は心底首をかしげてしまったのです。
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ビジネスとアート思考:【第2話】アトリエを飛び出した画家たちが、光を掴めた理由

19世紀半ば、絵画の世界にとてつもない激震が走りました。「写真機(カメラ)」の実用化です。それまでの画家たちにとって最大の価値であり、誇りだったのは「目の前にある現実を、写真のように寸分違わずキャンバスへ写し取ること」でした。王侯貴族の肖像画、歴史的な戦闘の記録、壮大な建築物。何ヶ月もアトリエに籠もり、神業のような筆づかいで対象をリアルに再現することこそが、画家の存在理由であり「正解」だったのです。ところが、そこに突如としてカメラが現れました。レンズを向けてシャッターを切れば、どれほど熟練した画家が何日もかけるデッサンよりも正確に、一瞬で輪郭を記録してしまう。
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ビジネスとアート思考:【第1話】既製品をひっくり返した作品から、ビジネスの原点に迫る

1917年のニューヨーク。ある美術展の会場に、前代未聞の「作品」が持ち込まれました。木箱から取り出されたのは、白く光る陶器。どこからどう見ても、街の衛生器具店で普通に売られている男性用の小便器でした。しかも、作者本人の名前すら書かれていない。表面には「R. MUTT 1917」という偽名のサインが、黒いペンキで殴り書きされているだけ。タイトルは『泉(Fountain)』。