従業員数も売場面積も商品も変えずに、売上が3億円から5億円になった

「買う理由」がわからないから、買わない

ボクの長年のクライアント、北海道の鶴雅リゾートの事例です。
ホテルの売店。
よく温泉ホテルとか観光ホテルにお土産物屋さんがありますよね。
その売店の売り上げを伸ばした方法。

売上をもっと上げたいと相談された時、ボクは売店を見に行きました。
そうするとあることに気がついた。
それは何かと言うと、商品にPOPが一枚もついていないってこと。
商品にプライスカードしかついていないのです。
だから、「POPをつけたら、もっと売れるようになる」そう思った。

だって、そうですよね。
お土産物っていうのは、ほとんど買う理由がわからない。
有名な商品、たとえば「白い恋人」とか「マルセイバターサンド」とか「花畑牧場の生キャラメル」とか。
そういうのは「買う理由」がわかります。
「白い恋人」だから買うわけです。
それはプライスカードだけで、売れるんです。

たとえば、あなたがこのホテルの売店を訪れたことを考えてみてください。
恋人やご主人、奥様と一緒に北海道旅行に行って、ここに泊まります。
チェックインして温泉に入って、まだ夕食まで時間があるから、館内をぶらぶらして売店を見つけました。
「お土産を見てみようか」と売店に入店しました。
すると、白い恋人が山積みされていて、「白い恋人 1000円」とか、プライスカードがついています。
「白い恋人」は有名な商品ですから、「北海道に出張に行くなら“白い恋人”を買ってきてください」と言われて、買うわけでしょう?
どうして「白い恋人」を買うかといえば、それが「白い恋人」だからです。
「白い恋人」は「白い恋人」だから売れる商品です。
あなたも、買う理由がわかりますよね?

その隣に地味なパッケージの、誰も知らないような、健康茶がありました。
「根こんぶ茶 630円」というプライスカード。
これで買う理由がわかりますか?
「根こんぶ茶 630円」 
欲しくないでしょう?
全然欲しくないですよね?
だから売れないんです。
実際のところ、全く売れていなかった。
でも、8割ぐらいの商品というのはこんな商品ばかりです。
POPを付けなかったら売れないのです。

買う理由がわからない商品 だから売れない

買う理由がわからない商品
だから売れない

売店担当の正社員、秋本君にボクは聞きました。
「秋本君、根こんぶ茶って何?」
秋本君はこう言いました。
「先生、これね、北海道独特の健康茶なんですよ。昆布の根の部分に含まれている○○○という成分が、飲み続けると血液がサラサラになるらしいんです。それで動脈硬化や高血圧に効果があると言われているんですよ。でもね、先生、これの一番の特徴は、健康茶なのにもかかわらずとってもおいしいんです。北海道産の昆布茶だから」
「なるほど。秋本君、一日中ここに立って、前に通るお客さんを無理やりつかまえて、今の説明を一人ひとりにできる? できないでしょ?」
「できませんよ~」
「できないんだったら、今言ったことを紙に書いて貼っておいたほうがいいよ」
「そうですね」
そう言って、秋本君は黄色い紙にPOPを書いて貼りました。

「北海道だけでしか手に入らない健康茶 根こんぶ茶
これを飲んでいると血液がサラサラになる・・・らしい。
でもね、一番の特徴は、健康茶なのにおいしいんです。 
北海道産の昆布茶だから! 630円」

買う理由をPOPで書いた

買う理由をPOPで書いた

今まで全く売れていなかったこの商品、なんと、5倍売れるようになりました。
買う理由がわかれば、買うんです。
でも、買う理由が皆無だと、誰も欲しくなりません。
このPOPには、買う理由が3つあります。
「北海道だけでしか手に入らない」って、お土産物の重要な「買う理由」でしょう?
「血液がサラサラになるらしい」
「健康茶なのにおいしい、北海道産の昆布茶だから」
そのうちのどれかに共感を持ったお客さんが買うわけです。

POPの書き方 好きな商品、どうして好きなのかを書く

こういう感じのPOPをたくさん貼るようにしました。
ボクは一枚も書かずに、皆さんに書いてもらいました。
店長、マネージャー、正社員、パートの女性たちにいっぱい書いてもらった。
「好きに書いてください」と言いましたけど、いきなりは難しい。
書き方がわかりません。
「皆さんそれぞれ好きな商品があるでしょう? どうして好きなのか、その理由を書いてください」って言いました。
こういう視点だと書きやすい。

パートの女性、24歳のうめちゃんが、「先生、私、これ、好きなの」と言って、あるお菓子を持ってきました。
そのお菓子を見た瞬間、ボクは思わずめまいを起こしそうになった。
なんでかというと、それは「白い恋人」によく似た商品だった。

「うめちゃん、これ、“白い恋人”のニセモノじゃん。こんなの好きなの?」
「先生、バカにしないで食べてみて」
食べてみた。
ボクにとっては、「白い恋人」よりちょっと甘い感じがした。
「ちょっと違うね」
「そうでしょう、先生、実はこれね、ホワイトチョコの部分が“白い恋人”よりも濃いんです。だからコーヒーや紅茶にはこっちのほうが合うの。私はこっちのほうが好きなの」

「なるほどね。それじゃ、そんな感じで書けばいいんだよ」
「はーい」
「ああ、うめちゃん、でも“白い恋人よりも”って書いたらダメだよ」
「えっ、なんで?」
「うちは石屋製菓と取引しているんだから、そんなことを書いたら怒られちゃうでしょう?」
「ダメなんですか?」
「ダメダメ。なんかうまく工夫して書いて」
「わかりました~」

彼女は何と書いたか?
「某メーカーのあの有名なお菓子よりも・・・、
ホワイトチョコの部分が濃いんです。私はこっちのほうが好き」

笑ってしまったけど、こういうノリがお客さまに受けたりする。
真面目なことは大切なことですが、ちょっと面白おかしいのは、ホントお客さまの評判もいい。

こんな感じで、POPをたくさん貼ったわけです。
その結果どうなったかというと、売店売上は年間3億円だったのが、二年後には5億円を超えました。
売場面積は同じ、商品構成もそれほど変わっていません。
もちろん、スタッフの数も。

いかに「買う理由」をお客さんに伝えるか。
いかに「欲しい気持ち」にさせるか。
いかに「必要性」に気づかせるか。
いかに「欲望」に気づかせるか。

これがとっても大切だ、ということです。

もしPOPを付けていない店をやっている方は、POPを付けるだけで売上は確実に上がります。
あるいは、飲食店をやっている方、メニューに料理の名前と値段しか書いていなかったら、POPのような感じでちょっと説明したり、あるいは、オススメ料理を目立つようにするだけで、売上は上がります。
以外と簡単なんです。

「買う理由」、「選ぶ理由」を、あなたのお客さまに教えてあげましょう。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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