商品開発もニーズを聞いてはいけない

商品開発こそ、ニーズを聞いてはいけない

先日、塾生さんたちと夜食事をしながら話していました。
映画の話をしたときに、黒澤明監督の「天国と地獄」って映画の話題になった。
ボクは個人的に、この映画が黒澤監督の最高傑作のひとつだと思っています。
学生の時に見て、クライマックスのようなシーンが映画の中盤に出てくる。

「え~~~~!この後、どんな展開になるんだろう?」

と、ドキドキしたことを思い出しました。
その後の展開は、また、グイグイと観客をひっぱる力があるんだな。
エンターテインメントとしても、メッセージ性としても、すごい映画でした。

そんなきっかけで、商品開発のことを考えた。

黒澤明監督 ウィキペディアより

黒澤明監督
ウィキペディアより

商品開発こそ、お客さまのニーズを聞いていてはダメだなってこと。
お客さまに、「どんな商品が欲しいですか?」と聞いても、わからないからです。
商品開発、調査をして消費者の声を反映させた商品を作ればいいのだったら、誰だってできます。でもそうしたら売れる商品ができるかというと、現実にそうじゃない。

例えば、商品開発で消費者が参加して作る商品ってあります。
「女子高生が作った清涼飲料」とか言って、鳴り物入りで登場した飲物がありました。
女子高生の声を聞いて、女子高生たちのプロジェクトチームに商品を作らせた。
この商品は女子高生のニーズを反映して、女子高生をターゲットに作ったわけです。
でも、一時的にマスコミに取り上げられたけど、消えてしまった。

売れなかった。

これはまさに消費者のニーズに応えた結果です。

確かに今はインターネットやソーシャルメディアが発達して、誰もが顧客の声を聞きやすくなりました。
たくさんの意見を参考に、顧客が参加して新しい商品だって開発できるようになりました。

アメリカではある会社がインターネットを利用して、ユーザーの声を聞き、自動車をデザインしました。
できあがった自動車のデザインはヒドイものでした。
想像力のかけらも感じられない、絶対に売れないようなデザインだったのです。

これも顧客のニーズに応えた結果です。

でもねこういうことって、ちょっと考えたってわかることですよね。
一般消費者は「素人」なのですから。

コカコーラは素人が考えた飲物じゃないはずです。
ましてや、コカコーラを消費者が求めていて、コカコーラを作ってくれと言ったわけではないということです。

自動車のデザイナーが素人に仕事を任せてどうするのでしょう?
絶対にBMWやフェラーリの美しいフォルムは素人が考え出せるモノではありません。

これと同じ事があなたの商品やサービスにも言えるのです。
消費者はあなたが思っているほど「想像力」をもちあわせているわけではない。
消費者は革命的で、破壊的で、画期的な面白い商品など考えつかないのです。

顧客がSONYに「ウォークマン」を作ってくれってお願いしたわけではないし、シャープに液晶の技術を研究して欲しいと言ったのも消費者ではないのです。
ましてや時代劇のファンが池波正太郎さんに「鬼平犯科帳」を書くように指示したわけではないし、映画ファンが黒澤明監督に「天国と地獄」を撮るように提案したわけではないのです。

もしあなたの顧客のすべてが、素晴らしいアイディアを考えつくのだったら、あなたは明日から職業を変えなければならないってこと。
自分で商品を開発できないなら、そんな会社存在する意味がない。

「顧客の声を聞いて、新製品を開発しました」などと言っているのは、一見正しいように見えますが、それは会社の存在理由の放棄です。
世の中の売れている商品やお店は、消費者が提案したモノではないということです。
逆に顧客の声を聞けば聞くほど、既成概念にとらわれた、過去の延長線上にある、個性の少ないモノになってしまうのです。

そんなの売れるわけない。この時代に・・・。

商品開発でも、お客さまのニーズを聞いていてはダメだってことです。

The following two tabs change content below.
アバター画像
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆

現在募集中のセミナーや講座

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

・2024エクスマ塾107期-109期募集中

AIの台頭、不安な社会、ますます世の中は予測不能な変化を迎えるでしょう。
エクスマを学んでいると、どんな時代になっても怖くない。
SNSビジネス活用 販促の基本 そして仲間。
あなたもエクスマ塾生になりましょう!
迷っているのはやりたい証拠!

今すぐ! ここから詳細を見てくださいね。

 

・塾生限定「エクスマ学院」募集中

これから「超・個人の時代」になっていく。
あなたの「好きなこと」「得意なこと」を仕事に生かして、世の中や人々に貢献する時代。
それは「自分らしさ」で競争から抜け出すと言うこと。
完全なる「独自化」です。
そのために、教養やリベラルアーツを学ぶことです。
そうでなきゃ、AIに仕事を取って代わられるか、人々から選んでもらえなくなる。
今こそ教養を楽しんで学ぼう!

美術、音楽、歴史、AI、文学、哲学、宗教など、幅広い興味を持つための講座です。
5/21、6/18、7/23
9/17、10/22、11/19
毎回火曜日 13時から1730
【ここから詳細を見てください】

・4/23(火)エクスマ塾生限定セミナー「エレメントE」

映画をテーマに毎月やっているリアルセミナー
4月は「真実? 偏見?」
一度思い込むと、それが真実だと思い込んでしまうことがある。
そうすると、思考や視点が狭くなっているのかもしれない。
今回メインで紹介する映画は、そんなことを考えさせる名作です。
難しそうだけど、とても面白いエンターテインメント。
ここから詳細をみてね。

【4/23(火)映画セミナーブログ】

・劇団 藤村組 旗揚げ公演「東京月光奇譚」

【日時】4月10日11日 19時から21時
【場所】上野不忍「BUZZCHIKA(バズチカ)」
東京上野のアートスペースで公演します。
このブログで詳細を!

・藤村正宏のメルマガ

「エクスマ マガジン」<無料>です。

【藤村正宏のメルマガの登録はこちらから】


・講演依頼

オンラインでもリアルでも講演の依頼は大歓迎です。
社内研修、業界団体、勉強会、なんでも気軽に依頼してくださいね。 

【講演依頼はここから】

・エクスマショップ

僕がデザインしたエクスマオリジナルアイテム、Tシャツやパーカーなどを売っています。ここだけでしか買えません。一度見に来てね。

【エクスマショップ】

エクスマ思考マーケティング
藤村 正宏をフォローする
タイトルとURLをコピーしました