SNS消費の時代、人と人とをつなげるリアルの場が価値になる

「酒の飲めない酒屋」を個性にする

講演の様子<高野君のFacebookから>

先週の『比布町エクスマ化プロジェクト』は、小樽の地酒屋3代目、高野くんがゲストで話してくれました。
<高野洋一 酒の飲めない酒屋の三代目>←高野くんのTwitter

ボクの新刊『「3つのF」が価値になる!』にも事例が紹介されています。
(まだ読んでいない人はお近くのアマゾンで

まったく酒が飲めない酒屋。悩みをいっぱい抱えてエクスマ塾に来て、その後酒が好きじゃなくても、酒屋という状況で好きな仕事ができる。
それを気づいて、さまざまなイベントや銘酒会を実施。
今では、年間100回以上実施し、楽しく好きな仕事をしている。
もちろん、彼が楽しく仕事をしていることで、業績もいい。

そんな事例でした。
それをもっと詳細に話してもらった。
ちょっと長くなるけど、新刊よりも詳細に紹介します。
時間のあるときに読んでみてください。

人は買いたいと思っているわけではなく「楽しみたい」と思っている 

AI(人工知能)やコンピューターがボクたちの生活に入り込み、人の仕事を代わってやってくれる時代になりつつあります。
そのうち人間しかできない仕事って、どんどん少なくなっていくでしょう。
人間がやるよりも、AIがやったほうが正確で早くできる仕事は、AIの置き換わっていきます。
それで失業する人もたくさん出てくることは、今の段階で予想されています。

でも、人工知能やコンピューターが絶対にできないこともある。
それは機械がやらないことを考えると、自然に浮かんできます。
例えば、機械はどんなに賢くても、食事をすることはありません。飲み会だってやりません。睡眠もとらない。
そうしたら、本物の「場」がある、飲み会とか食事会とかは、人間しかできないことになります。
さらに、スマートフォンが発達し普及したことで、多くの人がデジタルの世界で買い物をしたり、エンタメを楽しんだり、リアルで人と会う機会も減っている。
だから、人がリアルに集まるイベントをやることって、今の時代「価値」になるのです。

家業を継ぐのが嫌で海外に逃げる

ボクの塾生さんで、小樽で地酒専門店をやっている人がいます。
高野洋一さん、地酒専門店の3代目です。
北海道小樽にある「ベンジー高野商事株式会社」の社長の息子さんで、次期社長です。
地酒専門店として小樽駅の構内で飲食店をやっていたり、他に小売店や飲食店、合計4店舗。
地酒専門店を経営している。

男の子は彼しかいなくて、子供の頃から家を継げと言われて、それがちょっと嫌だった。
そのうち小樽も嫌いになり、父親も嫌いになっていく。
その反動で、小樽から離れるように、家業とは全く関係ない建設のエンジニアとして、一部上場企業のゼネコンに入る。
ともかく家が嫌で、小樽も嫌い、日本から飛び出て、海外で仕事をしたい。それが彼の望みでした。
そうしたら、その大手建築会社の香港支店に勤務することになります。
ダムや発電所、道路などを作る大きな会社です。
そこでスリランカの国家プロジェクト、ダムを作る仕事で、スリランカに駐在することになります。
彼の下には、スリランカ人の部下が150人くらいいたそうです。
スリランカでは、待遇も良く、豪華な生活をしていました。
お手伝いさんが1人ついた、7LDKの一軒家に奥様と一緒に住んでいました。
休日になると、高級ホテルのレストランで食事。ヒルトンホテルのジュニアスイートに泊まり、贅沢な時間を過ごしていた。

ところが2008年、日本に帰ってきます。
実家の会社が、大変なことになっているという、母親からの連絡でした。
彼は、資金繰りや社員さんとの関係性で、実家の会社がかなりやばいと、薄々気づいていました。
いつも苦労している母を助けたい。30歳のときに、そういう動機で、帰国したのです。
その時の高野君の考え方は、「大企業でやっていたことをやれば、中小企業なんて売上をあげるのは簡単だ。俺がこの会社を救ってやるよ」と自信満々だった。
でも、そこから地獄が始まります。
現在は地酒専門店としてやっていますが、帰国当日ディスカウントの酒屋だった。
帰国したときには、地酒店1店舗、ディスカウントの酒屋4店舗。
実はこの地酒店はお父さんが作った酒屋です。
お父さんはディスカウントの酒屋から、地酒専門店へのシフトを考えていた次期でした。
社長であるお父さんは、日本酒が大好きだった。
どうせだったら自分の好きなことをやろうって、そういう思いだったそうです。

当時は、赤字が何年続いているかわからないくらい、ひどい状態だった。
お酒業界の衰退もそれに追い討ちをかけていました。
お酒業界は薄利多売です。粗利が悪い業界。
閉店ラッシュ。社員さんの離脱。店舗や設備の老朽化。

彼が帰って、すぐにお父さんや社員さんのやり方を否定しました。
大企業の評価システムを導入。
PDCAサイクル、SWOT分析。
そういうことを上から押し付けていきます。大企業のマネジメントをそのまま中小企業に入れた。
その結果、人間関係の悪化、売り上げの減少、他人を否定し、自己否定もする。
毎日が苦痛、毎日が後悔、お父さんとの関係が悪化。
それでも、安売りしかできなかった。安売り地獄。安売りしかなかったのです。
そんな環境ですから、どんどんどんどん疲弊して、毎日が嫌になっていった。
どうしてこんな所に帰ってきてしまったんだ。と毎日後悔していたそうです。

どん底でエクスマに出会う

そんな時に、ある経営者仲間、『おたる政寿司』の三代目、中村さんに、ボクの本を紹介してもらった。
ボクの本を読んで、心が晴れたような気持ちになった。そしてエクスマを勉強し始めます。
そして、何とかお金臆面してエクスマ塾に入塾しました。
エクスマに関わるようになった、周りの人たち、みんな楽しそうに見えた。
どうしてこの人たち、仕事をこんなに楽しくやっているだろう。信じられなかったそうです。

「好きなことやったらいいよ」とボクは彼にアドバイスしました。

でも、彼はその意味がわからなかった。
小樽が嫌いで、おまけに父親も嫌い、安売り地獄、スリランカから帰ってきたことを後悔している。
そして、衝撃の事実に気づきます。
「酒が飲めない」
酒屋なのに酒飲めないって気づいたのも、エクスマ塾に来てからでした。
彼はまったくお酒が飲めない。
ブランデーケーキも、奈良漬も、粕漬けも、ウイスキーボンボンも駄目。医療的な検査をしてもらったら、アルコールが合わない体質だった。
酒屋の経営者がお酒が飲めない。
それを聞いた時、ボクは笑ってしまった。面白いことだなって本気で思った。
それはそれで、個性です。
その個性を伸ばすことをやればいいだけの話です。

高野君は、自分の好きなことを考えてみた。
まず、酒よりも野菜が好き。
野菜ソムリエの資格も持っている。
あと、音楽が大好き。ロックフェスティバルとかも好き。
プロレスが好き。
キャンプ、サーフィン、スキーなどのアウトドアが好き。

それを、無理やり、お酒と組み合わせてみた。
最初にやったのは、お酒と一番相性が良さそうな野菜。
野菜ソムリエと日本酒を組み合わせたイベントをやってみました。
野菜と日本酒のイベントです。
日本酒と合う、野菜を使った料理を作ってふるまうイベントです。
このイベントに12名の人が集まってくれたそうです。
「野菜と日本酒がこんなに合うとは思わなかった」とみんな喜んでくれた。
このとき帰国して、初めて仕事って面白いかもなって思ったそうです。
女性が多かったのが印象的だった。

次はプロレスと日本酒を組み合わせてみようということで。
「プロレス銘酒会」
プロレスの話を思いっきりしたい。
そういう自分勝手な動機でやったイベントです。
お一人様4,000円。お食事とお酒好き。
これが成功した。
20名以上の方に集まってもらって、店が満席になった。
下は20代の人から上は60代の人まで。
プロレスが好きと言うそれだけの理由で集まった人たち。
一流企業の役員の方からバイト生活の若者まで、プロレス好きが集まった。

無理矢理組み合わせて、なんだかいけるなっていうことがわかってくるわけです。

「好きなことを発信すればいいじゃん」とボクに言われたのですが、それがなかなかできなかったそうです。

酒屋だと言う事を、友達に知られたくなかった。
大学の同級生は、世界の駆け巡り、かっこいい仕事をしている。そんな中自分は北海道の片田舎で酒屋をやっている。
それがすごいコンプレックスだったそうです。
だから好きなことを発信できなかった。
でも、勇気を出してやってみた。
酒とプロレスの発信。
この会に参加していない人なのにもかかわらず、たくさんのコメントが来た。
意外とプロレスファンて多いんだなってことがわかった。

次は。音楽と酒でやってみた。
昔、「19」と言うグループがあって、そこのメンバー岩瀬敬吾さんを招いて「真夏の夜の赤星の会」というのを実施したそうです。赤星というのはサッポロクラシックの通称です。
彼の従業員さんに、岩瀬敬吾さんのファンがいて、その女性がTwitterを使って、直接メッセージを送って、イベントに参加の要請をしたそうです。そしたら承諾してもらい、ビールメーカーに協賛してもらって音楽とお酒の会をやった。
これがとっても大反響で、店には入りきれないくらいの人が集まってくれた。

だんだんとコツがわかってきて、仕事が面白くなっていく

次は、アウトドアとお酒を組み合わせるイベントを企画しました。
北海道のニセコを舞台にした、外国人向けのイベントです。
ニセコと言えば、スキー場にたくさんの人がやってきます。パウダースノーの雪質が世界中から人を集めています。本当にオーストラリアやカナダからたくさんの人がスキーにやってくる。
高野さんは、英語もできる、それで海外の人を対象に、日本酒を紹介する会を企画しました。
英語のフライヤーを作ったり英語のホームページなどを使って告知。たくさんの外国人がニセコに来る、2月のスキーシーズン真っ盛りに、この会を企画した。
ところが結果は、参加者ゼロ。まったく来てくれませんでした。大赤字企画です。
でも高野さんは全然落ち込まなかったそうです。今までだったらお客さんが来ないとか、チラシの反応が悪いと、とても落ち込んで、暗くなっていたそうですが、気持ちが全然楽だった。
好きなことをしているから。来なくてもいいや、中止になったら、スキーをして遊んでいたらいい。
この変化は大きかった。

そこから、高野さんは、次々とスタッフさんたちとイベントをやっていきます。

「浴衣で夏酒を楽しむ会」。
「怪談朗読銘酒会」。
「高野商事の本社で飲んじゃう会」。これは30名も集まってくれた。
「ファイターズ銘酒会」これは2人しか集まらなかった
でも「野球銘酒会にしたら」15名集まった。
そんな感じのイベントを、ドンドンやりました。
今ではいろいろなテーマで、年間100回やっています。

イベントを主催し続けて「ゆるやかなコミュニティ」ができる

自分たちの好きなことをドンドンやってみる。
もちろん心も折れることがあります。
でも、それにもめげず、ともかくイベントをやり続けた。
こんなにやってると、疲れるんじゃないかって言われることがあるそうですが、全然疲れない。
こんなイベントも、年間100回超えるとすごい価値になっていくのです。

なんらかのイベントを繰り返し繰り返しやっていくうちに、SNSの発信も少しずつできるようになってきました。
そして、そのイベントがSNSを通して、高野さんの知り合いや友達、さらにその先の友達まで広がっていき、今では

そしてボクの言ったことを思い出したそうです。

「SNSはゆるやかな関係性を作り出すために活用する。お客様を巻き込んで楽しむこと、そうするとあなたやあなたの会社を中心にしたコミュニティができます。だからSNSの発信もそうですが、リアル場でも、お客様と楽しむ。そういう意識を持つことが大切です。だって人は楽しい場所、楽しい人の周りに集まってくるのですから。楽しみましょう!」

「ゆるやかなコミュニティ」ができつつあるのを感じてきた。
そのうちお客さん同士がつながっていきました。
高野君のイベントがきっかけで、結婚したカップルは7年間で10組もいます。
イベントで偶然お隣同士だったり、後ろに座っていたり、そんな感じで知り合ったカップルです。
さらにその結果、若手社員さんは今、全員もとお客様。
様々なマスメディアにも取り上げられるようになりました。地酒屋として有名になってきたわけです。
オリジナルのスタッフTシャツを作っています。
お客さんが、そのTシャツを欲しがったので、1週間だけSNSで注文を取りました。そうすると、1週間で240枚注文がありました。
お客さんと楽しんでイベントをしているうちに、その輪にお父さんである社長も入ってきました。
大嫌いだったお父さんも、今ではツーショットで一緒に写真に写り、SNSにも出ています。

以前、高野君は、仕事はつまらなくて辛いものでした。
でも今は、もっと楽しみたい、もっとあんなことも、こんなこともやりたいと思うようになり、楽しくなってきた。
以前は、お酒が弱いというのは弱点でした。でも今は、個性になった。
最初帰国した時には、俺がやってやる、帰ってきてやったと、上から目線で思ったいたのですが、今はお客さん、社員さんと一緒に楽しむと言う考え方に変わった。
以前は、なんで俺だけこんな辛い目に合うだろうと、後悔ばかりしていた。
今は、とっても楽しくなってきた。
お父さんとの関係も変わった。大嫌いで、敵だと思っていたのに、今では、お父さんとの会話も増えていった。

今、すべての店舗が地酒専門店になって、一切安売りはしていません。
まだまだ借金はありますが、業績がものすごい勢いで良くなってきました。
たくさんの人たちに協力してもらいながら、みんなで楽しくやっていると売上も利益も付いて来るのです。

好きなことを仕事に取り入れる3つのポイント

1、無理矢理組み合わせてみる
2、とりあえずやってみる
3、楽しがる

まさにこれを実践して、成功した事例です。

そして、彼が言っていたことが印象的です
「やってみてわかったんですけど、好きなことをすることで運が良くなってきたんですよ。好きなことをするとツキが回ってくるんですね」
そうです、好きなことをしていると、楽しいエネルギーが出ます。
それを無意識に感じ取り、人々は集まって来るのです。

集う、触れ合う、そういった人間にしかできない場を作っていく。
これからのビジネスに、大きな気づきがある、高野洋一さんの話です。

北海道比布町でエクスマセミナーやります

3月25日の日曜日に、ボクの新刊にも取り上げた、北海道の比布町でエクスマセミナーをやります

3/25比布町エクスマセミナー
ゲスト講師は釧路の社長、嶋倉真人さん(タイソン)が決まっています。
他、比布町がエクスマを活用してどう変わったか、などを話す予定です。

【参加費】25000円(消費税込み 夕食付きです)
【定員】 50名
【会場】北海道比布町『遊湯ぴっぷ』

【3/25比布町エクスマセミナー参加表明フォーム】

から申し込みはできますので、行くと決めたている方はここからね。

3月20日東京エクスマライブ(セミナー)

3月20日(火曜日)東京渋谷でエクスマライブを実施します。
ライブって言っているけど、ビジネスセミナーです。
最近、「セミナーというよりライブですね」って言われることが多くなってきたので、ライブってしてみましたwww。

今回のテーマは
「商品以外の独自の価値を発信」

詳細やゲスト講師はこのブログを見てください。

【募集中】3月20日(火曜日) エクスマライブ in 東京

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藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

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