面白かった新書
先日読んだ本
「営業はいらない」 (SB新書) 三戸政和 :著
とても面白い本でした。〜Amazonのリンク
特に面白いなぁって読んだ部分があります。
かんぽ生命の不正のことです。
厳しいノルマに窮した営業マンが、高齢者に詐欺のような営業をして、保険を書き換えさせたりしながら、数字を上げていた組織ぐるみの詐欺です。
これが社会問題になりました。
その後、かんぽ生命は営業の自粛をしたのですが、なんと!
バリバリ営業マンが売り込みをしている時期より、全く営業しなくなった自粛期の方が、会社の利益が大きく上がったそうです。
どれだけ無駄な経費を使っていたのでしょう。
あるかもしれないと思うエピソードでした。
新型コロナウイルスの影響で、大手企業が続々と、テレワークしていますね。
大手広告代理店「電通」や化粧品大手「資生堂」「日清食品」などなど。
電通は本社社員5000人が出社せず仕事をする。
今回の件でテレワークでも仕事ができることが証明され、一気に働き方が変わるでしょうね。
だいたい5000人の毎日の交通費、本社の空調や電気代、不要な出張などなどを考えると、5000人が出社しなかったら方が、利益が出るかもしれません。
サザエさんのサブちゃんは営業しているのか?
この三戸さんの本で、サザエさんのサブちゃんのことが書いてある部分がありました。
サブちゃんは営業しているのか?
そんなことです。
確かに三河屋さんのサブちゃんは、営業していなくても、商品を買ってもらえます。
磯野家のことをよく知っていて、仲良くしているし、サブちゃんも磯野家から好かれ、信頼されています。
「関係性」を作っているということ。
その部分を読んでいて、自分の書いた本を思い出した。
ボクもサザエさんのサブちゃんのことを書いていた。
今から9年前。
2011年12月に発売されたボクの著書
「安売りするな!価値を売れ!」<実業之日本社>〜Amazonのリンク
【構成】
第1章◎売れてるものはどこがちがう?
第2章◎お客さまは「ただ一人」まで絞り込む!
第3章◎繁盛のキーワード=ゆるやかな関係性
第4章◎「好き・楽しい・得意」で独自化する!
第5章◎会社ではなく、個人のストーリーを発信する!
第6章◎「選んでもらう理由」をわかりやすく伝える方法
この第3章
繁盛のキーワード=ゆるやかな関係性
の最初の文章を、今読み返してみて、現代の消費ってそうなっているということを実感しました。
そして、近い将来、「営業」という職業や職種は、ビジネスの世界から消えてしまうんじゃないかなって、思ったのです。
ちょっと長いけど引用します。
買ってもらいたいときだけ連絡しても買ってもらえません
【繁盛のキーワードは関係性】
ボクは大学生のころ、演劇をやっていました。
早稲田大学の演劇研究会の中の、「劇団SHIN」という劇団です。
いいお芝居をやっていて、けっこう人気のある劇団でした。
ボクも出演したり、作演出をしたり、大学四年間はこの劇団で活動していました。公演のときなんかは、チケットを売らなければなりません。
ノルマがあって、友達や同級生に買ってもらうのです。
ボクはけっこうチケットを売っていました。
日ごろから、友達が多く、たくさん遊んでいましたからね。
マージャンをやったり、映画を観たり、授業が終わったあとも飲みに行ったり、他の大学の友達や、バイト先の友達などなど交友関係はけっこう広かった。
だから「今度うちの劇団で公演やるんだけど、観に来てくれないかな」っていえば、みんな買ってくれました。でも同じ劇団員の仲間には、チケットを売るのに苦労している人もいました。
たくさんの人に電話しても、なかなか買ってもらえないんです。
そういう人たちの特徴は共通しているんです。
その時だけしか、連絡していない。
そういうことです。
普通はまったく連絡がないのに、チケットを買ってもらいたい時だけ、「買って」って連絡する。
たまに電話がかかってきたと思ったら、「チケット買って」ですもん。
そりゃ売れません。
それって友達じゃないですよね。
日ごろから、たくさん関わって友達になっていないと、買ってもらえないんです。もちろんボクは意図的に友達をたくさん作っていたわけではありません。
自然にたくさん交友関係ができていたんです。
結果、あまり苦労しなくても公演のチケットが売れたわけです。伝わってます?・・・よね。
このことから、現代の消費の真理がみえてきます。
選ばれるために、買ってもらうためには何が重要なのか?
それは「関係性」ということです。これからの時代、あなたの会社や商品を選んでもらう理由、それは「関係性」なんです。
「関係性」がキーワードになってきます。
人間は同じものを買うのなら、関係性の深いほうで買います。
同じものを買うのなら、より関係性がある人から買うのです。
そして、それに続き、日本の漫画の古典的名作「サザエさん」の登場人物に触れています。
三河屋のサブちゃんです。
<画像:アマゾンプライム「サザエさん」シーズン2エピソード2より>
フジテレビ系でもう40年以上つづいているアニメ「サザエさん」。
このアニメの登場人物に磯野家に出入りしている三河屋さんのサブちゃんというキャラクターがいます。
勝手口から現れて、醤油や味醂などの注文をとっていき、後で配達をしてくれる。
「そろそろお醤油が切れるころですね」とか「カツオくんとワカメちゃんの運動会の準備はできました」とか、タイミング良く注文を聞きにきます。
サブちゃんは、磯野さんの家がどういう家族構成で、どういう仕事をしていて、どういう趣味があり、どういうものが好きか、などなどを把握しているのです。
そして長いことつきあいがあり、信頼関係もできている。
だから騙すようなことはしません。
悪いものや損をさせるようなものを売るわけがありません。
安心できるってことです。
さらに、三河屋さんは 「磯野さんが利用している店」 として、近所の人にも信頼されている。カンタンに言うと、こういうことが「関係性」ということです。
伝わっていますか?繁盛する店、会社になるためには、いきなり買ってもらおうとするのではなく、お客様と、関係性を作るという意図をもつことが大事になってくるのです。
このキャラクターのサブちゃん。
営業ですか?
営業していませんよね。
確かに、営業が必要ないという事態が、今実際に起きつつあります。
特にコロナウイルスの影響で、会社に出社しなくても、仕事が成り立つことを実感している人もいると思います。
今まで常識だったビジネスのやり方をしなくても、十分に同じ仕事ができる環境だとわかった会社もある。
そうなってくるとコストがかかることをわざわざやらなくてもいい、そんな風潮になります。
いずれインターネットのプラットフォーム、SNSやスマホ等を駆使して営業のやり方が大きく変わるでしょう。
営業職が絶滅危惧種になる日も近いかもしれません。
「関係性」が重要な「つながりの経済」になっていくのです。
藤村 正宏
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