高級車の「音」について考えてみた
高級車って音に気をつかっているような気がしませんか?
例えばドアの開閉音。
やっぱりメルセデスやBMWなんかは、ドアを閉める時の音とかが、なんとなく普通の乗用車とはちがうな、って思っちゃいます。
そのドアを閉める音を聞くたびに、満足している人とかもいたりするんだろうな。
自動車には様々な音がありますよね。
エンジン音、油圧制御系統音、電動モーター・・・実にたくさんの音を発生させています。
この音も、お客さんの購入動機につながっていると考え、ある自動車メーカーでは、車が発生させる「音」について研究をしているところがあります。
BMWなんですけど、「BMWのNews Letter」に、そのことが載っています。
要約すると、こういう主旨のことが書いてあります。
お客さまがBMWを購入するために、試乗をはじめるところです。
デザインやスペックはすっかり気に入っています。
さて、運転をはじめようとお客さまがサイド・ウィンドウを閉めたとき・・・。
それは起こってしまったのです。
ウインドウが上昇しながら、ひどいノイズを発生させてしまった。
このノイズのため、お客さまは自分で見ることのできない、車の他の部分もこのノイズと同じではないかと結論を下してしまい、試乗は明らかに大失敗です。
そういうことがないように、BMWは車が発するさまざま音についての研究をしています。
そのために、莫大な投資をして「音響技術研究所」という研究所が設立されました。
<BMWのニュースレターより一部抜粋>
というような内容です。
さすがBMWって感じです。
車が発生する音を、さまざまな角度から研究している。
音の大きさだけでなく、その質、たとえばシャープさ、荒さ、さらには人が不快に感じる特定の音なども、客観的に理解しようとしているのです。
そしてこれは、購入したお客さまのためにやっていることですよね。
もちろんこれがマーケティング的にも役立っているわけです。
ニュースレターにはこういうことも書いてありました。
「お客様は、車両全体の品質、さらには各ユニットの耐久性を、操作時において発生する音によって、『安っぽい音のするものは決して長持ちしない』という確固たる信念にもとづいて判断する傾向があります」
考えてみると、自分の気に入ったものがあって、もちろん高品質で存在感があって、それがある特有の音を発すると、その音とともに心に残るんだと思うのです。
音だけがよくても、そのものが良くなければダメですけどね。
いや、ちがうな・・・よい品物でないと、よい音が出ないってこと。
音はでていても、品物が良くなくて好ましいと思わないと『いい音』と感じないってことです。
このように人間は商品を目でみるだけでなく、耳でも充分味わっているんですね。
そういう観点であなたの商品やサービスを「音」で考えてみるのも、面白いと思う。
「音のマーケティング」あるいは「サウンドマーケティング」って言えばいいのかな。
店のBGMや、商品を使った時にでる音、お客さまが商品の包装を開ける時の音、店員さんの足音、食器の触れあう音・・・
そう考えてみると、音って深いですね。
藤村 正宏
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