エクスマの最初の本(2001年)に書いた事例
この事例ブログに書いていなかったことを発見した〜
新春セミナー(2024/0207)でこのことを演劇にした。
エクスマ界隈ではかなり有名な事例なのに、ブログに書いてなかった。
だから、ちょっと書いてみます。
わずか2千円の投資。それだけで、1ヶ月の売上が一千万円も増加した!
横浜みなとみらい、とあるショッピングモールの4階にあるこのレストラン。
モールの中には、他にも何件かの飲食店があります。
この店の売上、いまひとつ芳しくないわけですよ。
ここで何かググッと他店を引き離す、強力な秘策が欲しい。
そこで導入したひとつのアイデア—-それは、内装や料理メニューを変えたわけでも、ましてや価格を下げたわけでもありません。
「サイン」をほんの少し変えたんです。
ちょっと思い浮かべてみてくださいね。
ショッピングモールに来たお客は、まず1階エレベーター前の飲食店街サインボードを見ます。
全部の店の告知が同価値的に並んでいるこのサインボードを頼りに、あれこれ検討。その少ない情報によって、どの店にするか選択するわけです。
そして、次にはもうエレベーターにGO!
つまり、この段階で確実に気持ちをキャッチ出来ないと、エレベーターに乗っても、お客は決して4階ボタンを押してはくれません。
お客がサインボード前に立った瞬間。この一瞬を捕らえないと、いくらよいサービスを提供していたって、報われないわけです。
僕は、実際に1階のサインボードを見てみました。
ほとんどの店が、料理と価格を表記しているだけ。もちろん、このレストランもしかり。
これではお客がそれぞれの店についてイメージするのはちょっと難しい。
初めて来たお客にとってはどれも似たり寄ったりに見えてしまう。
ところで、ここ、みなとみらいに来るお客はどんな人が多いのかを考えました。
当時の比較的新しく開発された、お台場やみなとみらいなどのニューエリアでは、デートをするカップルが圧倒的に多い。
あるいは観光気分のファミリー層。
そしてこういった場所では、空腹を感じてから店を探すことの方が多いもの。
前もって何を食べようと決めて来る人は、非常に少ないと言えます。
「せっかく来たんだから」と、あれこれ迷いながら決めるのもまた、一つの楽しみだったりしますよね。
その時お客は無意識に、何を食べるかということ同様、その店でどんな体験が味わえるかを思いめぐらし、探しているんです。
そういうお客に対して、うちのレストランでは何が提供できるのか? どんな体験を提供できるのか?
そして「体験」をアピールするこんなサインに変えました・
実はこの店、夜景がとても美しく見える店だったんです。
これはお客にとって、一つの体験因子となるものです。
「夜景無料!」「当店はこの施設の中で、夜景が一番きれいに見える店です」と書き加え、さらに事実である証拠に、窓から夜景が見えている店内写真をデジカメで撮影し、インクジェットプリンターで印刷して貼りました。
料理だっておいしいことはもちろん明記してあるけれど、「うちではこんな体験ができますよ」ということを全面に押し出したわけです。
なぜこれだけで入店客の増加につながったのか?
夜景自体も当然、魅力的な要因ですよ。でも他の店だって実はよく見えるかもしれない。
決定的に他店と違うところ・・・それはお客が、サインを見ただけで「その店で食事をしている自分(達)のイメージ」を喚起することが出来るという点です。
どういう環境で食事ができ、これからどんな体験が待っているのか。数分後に経験するであろう場面を、サインボードを見た時点で容易にイメージできるようにしたんです。
「体験」を売るサイン。
とたんに、レストランは入店率が33.8%も向上し、売上が月にして1000万円もアップしました。
そしてそのサインを使っている間、ずっとその入店率は変わらなかったのです。
月1000万円ですから1年間で1億2000万円の売上アップです。
そのコスト、わずか2千円。
こんな簡単な方法、やらない手はないと思うでしょう?
藤村 正宏
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