
森を歩き、湖を漕ぎ、火を囲んだ夜。
──人は、そのとき何を語り、何を記憶するだろう?
リゾート営業や自然体験マーケティングの世界では、
いま「商品を売る」ことよりも、
「ストーリーを共に編む」ことが求められています。
この記事では、
ファミリー向け・カップル向け・企業研修向け、
それぞれの“体験ストーリー設計”の実践例を紹介します。
「体験商品」を売る時代は終わった
カヌーツアー、SUP体験、星空観察──。
メニューを並べて、「どれにしますか?」と聞く。
そんな売り方は、もう古い。
お客さんが求めているのは、体験そのものじゃない。
「誰と、どんな物語をつくれるか」
そこに、心が動く。
営業は、ただ商品を紹介するのではなく、
いっしょに物語を編む案内人になる時代です。
ファミリー向け──「家族の語り草」を設計する
■ 湖の朝カヌーツアー+焚き火でココア体験
単なるカヌー体験ではなく、こう語ることです。
「朝もやの中をカヌーで進んだあと、
湖畔で小さな焚き火を囲んで、
あったかいココアを飲みながら、家族で乾杯しませんか?」
子どもたちはきっと、大人になっても覚えている。
「あのとき、パパがココアをこぼして大笑いしたね」って。
「あとで何を語りたくなるか」
を想像して提案することです。
カップル・記念日向け──「ふたりだけの秘密」を演出する
■ 星空カヌー+湖上サプライズ体験
「カヌーに乗って、湖の真ん中へ。
灯りを消して、満天の星を見上げる。
もし、願いごとをひとつだけ叶えられるなら──。」
特別な夜を演出するのに、
豪華な設備や高価なプレゼントはいらない。
必要なのは、
**「ふたりだけしか知らない時間」**を仕掛けること。
未来にそっとしまわれる「秘密の宝物」をいっしょにつくる。
企業研修向け──「肩書きを脱ぐ場」をデザインする
■ 森のチームチャレンジ+湖畔の焚き火ミーティング
昼間は、森の中でチーム対抗の課題に挑む。
夜は、湖畔で焚き火を囲んで、
「今年いちばん楽しかった瞬間」を一人ずつ語る。
そこに、部長も新人もない。
焚き火の火を見つめながら、みんなただの“人間”になる。
「偶然に生まれる、心の距離感」
を意図的に仕掛ける。
これができると、リゾート体験の意味がまったく変わる。
「ストーリー・マーケティング」の3つのコツ
①【未来を想像する】
→「お客さまが後から、どんなふうに語るか?」をイメージしよう。
②【小さなドラマを仕込む】
→サプライズでも、失敗でもいい。完璧じゃない“物語の種”を仕掛ける。
③【お客さまといっしょに妄想する】
→プランを押しつけず、いっしょに「こんなだったらいいなぁ」を膨らませよう。
自然体験マーケティングの世界で、
これからいちばん大切なのは、
「いっしょに物語をつくる力」です。
湖を漕ぎ出す前、焚き火に火をつける前。
お客さまといっしょに、
未来の笑顔を想像してみてください。
あなたの提案が、誰かの「一生の語り草」になるかもしれません。
藤村 正宏
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