同じAIを使っているのに、未来がまったく違う方向に進んでいる人たちがいる
ある人は、「AIのおかげで視界が開けた」と言う。
別の人は、「AIを使うほど不安になった」と言う。
ツールは同じ。
使っている機能も、それほど変わらない。
じゃあ、何が違うのか。

答えは、とてもシンプルです。
AIは、未来を決めていない。
未来を“強化”しているだけ。
AIは中立です。
善でも悪でもありません。
希望も、絶望も、最初から持っていない。
AIがやっているのは、あなたが投げた問いを、
とことん拡張し、とことん裏付けること。
たとえば、こんな問いをAIに投げたとします。
「この業界は、もう厳しいですよね?」
AIはどう答えるでしょうか。
・市場縮小のデータ
・価格競争の激化
・成功率の低下
・撤退事例の数々
とても論理的で、とても説得力のある「厳しさの証拠」を並べてくるはずです。
するとどうなるか。
不安は、単なる感情ではなくなります。データと論理をまとった「正解」になる。
そして人は、「やっぱり無理だよね」と、動かなくなる。
逆に、こんな問いを投げたらどう?
「この業界に、まだ面白い余地はありますか?」
AIは、同じデータを使いながら、まったく違う未来を描きます。
・ニッチな需要
・価値の再定義
・体験化の可能性
・語られていない物語
希望に満ちた、「可能性の証拠」を並べてくる。
AIは嘘をつかない
どちらも事実。
どちらも論理的。
でも、どちらの未来を見せられたかで、人の行動は大きく変わります。
AIは、未来を決めているのではない。
あなたの観測を、とんでもない精度で増幅している。
これが、AI時代の本質です。
AI時代において、最大のリスクは
「AIに仕事を奪われること」ではありません。
不安な心のままAIを使ってしまうこと。
なぜなら、不安はAIによって一瞬で「正当化」されるから。
昔なら、不安は不安のままでした。
でも今は、不安はレポートになり、スライドになり、戦略案になってしまう。
これは、かなり怖い現象です。
世界は最初から確定していない
以前にも書きましたが、世界は不透明なのではなく「未確定」なだけ。<このブログ>
未来は、観測によって立ち上がる。
AIは、その観測を、これ以上ないほどくっきりと、力強く、現実にしてしまう。
だからこそ、AI時代に問われているのは、スキルでも、操作方法でもありません。
どんな心の状態で、どんな問いを投げているか。
AIは、「考える存在」ではない。
「考え方を決める存在」でもありません。
AIは、観測装置です。
どんな世界を見ようとしているかを、そのまま映し出す鏡。
だから、AIを使ってうまくいっている人たちは、AIを信じすぎていません。
でも、恐れてもいない。
AIを、部下にも、先生にも、救世主にもしていない。
ただ、相棒として扱っている。
だから、AIが賢くなるほど、人間は賢くならなくていい。
むしろ、
少し鈍感で、
少しテキトーで、
少し遊び心があるほうがいい。
いい問いは、論理からではなく、違和感や好奇心から生まれるから。
「なんか変だな」
「これ、面白くない?」
「もう一歩、ズラせないかな?」
こうした問いは、人間にしか立てられません。
AIは、その問いを、全力で広げてくれる存在。
だから、AIに未来を預けない。
でも、AIを拒絶する必要もない。
未来を決めるのは、いつも人間。
AIは、その選択を強化するだけなんだ。
藤村 正宏
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