「PDCAの功罪」プランにはワクワクを!仕事には物語を!

そのプランに、ワクワクはあるか?

「PDCA、ちゃんと回してますか?」

ビジネスの現場では、もはや呪文のように唱えられるこの言葉。
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)。
この4つのプロセスを繰り返して、成長を促す。
それが“できるビジネスパーソン”の常識、と言われる時代。

たしかに、ロジックとしては完璧だし、
組織やチームを効率よく動かすには、有効なフレームワークでもある。

でも、最近、こんなふうに思うことがあるんです。

「そのP(プラン)、本当にワクワクしてる?」って。

たいていの“計画”は、つまらない

企業のマーケティング会議に呼ばれると、
よく見せられるのが「今期の販促プラン」なる資料です。

たとえば、ある化粧品メーカーの社内企画会議。
提示されたのは、
「季節限定キャンペーン」「ポイント倍増」「インスタでのPR企画」……
どれも過去にやって、そこそこ効果があった「安全牌」です。

その中で若い社員が、恐る恐る口を開きました。
「今年はあえて、“ノーキャンペーン”にして、お客様に『なにもない贅沢』を届けてみたいんです。そのかわり、パッケージに手紙を添えて、ひとつひとつ手で届けたい」

一瞬、部屋の空気が止まりました。
でも、誰かがポツリと、「それ、いいね」と言った瞬間、全体の流れが変わった。

「正しい」よりも「感じたい」。
「成功率」よりも「やってみたい」。

本当のP(プラン)には、ちょっと笑える“ヘンさ”や、思わず「それ、やってみようよ」と言いたくなるような魅力がある。

「来月、全員で焚き火を囲んで会議しよう」とか。
「うちの商品、ぜんぜん関係ない人にプレゼントする企画」とか
「うちのホテルの、自分が思うBAEポイントを、従業員みんなで投稿する」とか。

予定調和じゃなくて、物語があるかどうか。
それが、動き出す原動力になる。

予定には動かされないけど、物語には動かされる

あるホテルの支配人が報告してくれた。

「うちのサービス、PDCAを何度も回して磨いてきたんですけど、どうしても“心が伝わらない”って思ったんです」

そこで彼は、思いきってスタッフにこう伝えました。
「お客さまの顔を見て、“やってみたい”と思ったことを一つだけ、やってみて」

その日から、客室に折り鶴を添えるスタッフ、朝食後に手書きのメッセージカードを渡すスタッフ、窓から見える景色の解説を詩のように書いたメモを置くスタッフが現れた。

「PDCAじゃ説明できない行動が、お客様の心に残るんですよね」
と、彼は笑いました。

空を見上げる余白を持とう

PDCAが悪いわけじゃない。
それはあくまで、「フレーム」だということ。

問題は、そのフレームを「正しく回すこと」が目的になってしまうこと。

「完璧なPDCAを実行しています!」というプロジェクトが、なぜかお客さんに響かない。
その一方で、偶然生まれた寄り道的なアイデアが、思いがけない反響を呼ぶ。

それって、「旅に出たのに景色を見ていない」ようなもの。

だから、ときどきでいい。
PDCAの“歯車”から降りて、空を見上げてみてほしい。
今日の雲はどんな形をしているか。
近くの公園で咲いている花は何か。
そんなふうに、日常の空気を感じることが、ビジネスの“感性”を整えると思う。

「気持ち」が、すべてのはじまりになる

PDCAを回すことより、自分の“感じる力”を取り戻すことのほうが大事なときもある。

どんなに立派な計画書よりも、

「そのプランに、ワクワクしてるか?」
「その仕事に、物語があるか?」
「そのアイデアに、人の気配があるか?」

そういう問いを、日々のなかで持っていること。

数字や期日よりも、そのプランにどれだけ“気持ち”がこもっているか。
そこが、すべてのはじまりになる。

だから今日も、少しだけ空を見てから始めてみよう。
自分の心の声に耳を澄ませて。
きっとあなたのPDCAが、ほんの少し変わるはずだと思うよ。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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