ジュースとフルーツがその日の買い物を決める-ディスプレイは重要 

商品の見せ方で今まで売れなかった商品が売れたりする

ボクは若い頃、マネキン人形のメーカーでディスプレイデザイナーをやっていました。
ディスプレイってご存知ですよね。
百貨店のショーウィンドウにマネキンが流行の洋服を着て立っていて、秋の旅行をイメージしていたり、クリスマスのイメージだったり。
意外とこのディスプレイって、売上につながっているんです。
専門的な言葉でいうと、VMDって言うんです。
VMD、ヴィジュアル・マーチャンダイジング。

「ディスプレイは意味がない。」
「ディスプレイはコストばかりかかって、効果がない。」
「お客は商品しかみていない。だからディスプレイはいらない。」

などと言っているコンサルタントがいますが、それは大きな間違い。
ディスプレイを売上につなげることのできないコンサルタントに、売れる店や価値のある店になるためのアドバイスなんてできないだろうって思うんだけどね。。
ディスプレイの力を知っているお店は、その力を巧みに使うのです。

日常生活には必要のない華やかな商品を並べる

「良いスーパー」「人気のあるスーパー」の入り口には何が陳列されているか知っていますか?
あるいは「売れているドラッグストアー」の入り口には、どういう商品のコーナーになっているかわかりますか?

答えは、「それがなくても生活できる商品が並んでいる」ということ。

そうなんです、衝動買い志向の強い商品から、その日の買い物をスタートさせようとしているのです。

例えば、売り上げが伸びているスーパーは、まず最初に色とりどりの果物や、クリスマス、バレンタイン、雛祭りなど季節感に溢れた装飾性の強い商品を並べています。
ちゃんと考えているドラッグストアーでは、化粧品から始まっています。
これは来店したお客さまに「今日は必要なものしかかわないぞ」という気持ちを起こさせないための工夫なんですね。
まず「絶対に必要ではないが、生活に潤いを持たせる商品」を目に入れてもらう。
そうすると、無意識のうちに、お客さまの心とお財布の紐を緩めているのです。

逆に、一番初めにお店に入ったときに生活必需品、例えばトイレットペーパー・洗剤などを置いておくと、消費者は無意識に「今日は生活必需品しか買わないぞ」と思ってしまうんです。
財布の紐を締め、身構えてしまうんです。
来店したお客さまの頭では、入店と同時に、サーチエンジンが作動しているということです。
例え目的購買のお客さまでも、無意識に「何かいいものないかな」と探している状態だということです。

だから入口近くに、生活必需品ではないものがおいてあると、衝動買いが多くなるんですね。
これはよくアメリカで使われるマーケティングの手法でその効果が実証されているものです。

それを巧みに活用している高級スーパーがあります。
その店の店舗は、入り口を入ると、色とりどりのフルーツで飾られています。

日常生活には必要のない華やかな商品

日常生活には必要のない華やかな商品

オレンジやリンゴ、イチゴにバナナ、パパイヤ、マンゴー、ライチ・・・。
圧倒的な色とりどりの色彩と、その物量は見る人も心を奪うほどです。
それにはちょっとした工夫もあって、その什器の裏面は鏡面になっていて物量が倍に見えるという仕組み。
とっても、計画的でしょ?
目の錯覚を使ったディスプレイ。

入った瞬間に圧倒的なフルーツの色彩と物量に圧倒されて、衝動買いをするモードになってしまうんです。
そう、果物に代表されるデザート系の商品が実際に欲しくなってしまう。
フルーツは最低限の食において、必需なものではないですし、いってみれば贅沢品でもあるわけです。

内装やサインもおしゃれにできています。
なんだか自分も上流階級になったような錯覚に陥るのです。
例えその日、トイレットペーパーを買おうと思っていても、上流階級の気分に浸れ、買える値段だったりするから、ついつい手が伸びてしまう。
ディスプレイの力です。

輸入品のジュースがたくさん置いてある店舗もあります。
普通じゃあまり買わないような、おしゃれなパッケージのジュースやミネラルウォーターが山のようにディスプレイされています。
入った瞬間、それを見せて生活必需品以外を買わせるモードのギアを入れる。
ディスプレイひとつでそういうことが出来てしまう。

ドラッグストアの商品陳列

他にもちょっとした商品の置き方で売上が変わったりすることってありますよ。
これはドラッグストアーの、悪いお店の例なんですが、痔や水虫とかあまり人には言いにくい病気ってありますよね。
でも、意外と若い人や女性にも多い大衆性の多い病気。
悪い店は、こういった痔や水虫の薬の販売位置がレジの目の前にだったり、お店のスタッフしかとどかない場所、例えばレジカウンターの後ろの棚だったりするんです。
これって、他人に言いにくい病気の薬の場合、非常に買いにくいんですよ。

「私、水虫なんですが、そこの○○○○っていう薬取ってください。」

とは店員に面と向かって話すことは、なかなかできないですよね。
まして若い人や女性にとっては。
こういう場合は、なるべく人の集まるレジの近くにおくのはやめて、少し離れた隅に、自分で取りやすいように自然に置いておけばいいんですよ。
買う人の気持ちになって考えることは当たり前なのに、それを実行していないお店ってけっこうあるんです。
もちろん、薬の種類によっては、セルフ販売がダメな種類もありますけど。

ディスプレイの力を商売のためのツールととらえて、考えて活用することが必要です。

見せ方・伝え方ひとつで売り上げは確実に変わります。

品揃えばかりに気をとられて、店内の陳列方法やサイン・ポップなどの情報伝達方法を見ていないお店が多い。
こんな小手先の、誰でもできる方法なのにやっていない。
本当にもったいないです。
いくら質の良い商品を並べていても、それではお客さまに全く伝わりません。

もう一度、あなたのお店をぐるりと見回してみましょう。
世の中に売れるモノなんてないのです。
売れる売り方があるだけなのです。

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藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

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