モノではなく、共感した「思想」を買っている

特徴や個性は、スペックではない。

特徴がなかったら、コモディティになるだけです。

コモディテイとは、カンタンに言うと、個性がないこと。
それは安売りの対象になって、価格競争に巻き込まれてしまいます。
あなたの会社や店が個性的な魅力があったら、少々高くてもお客さまから選んでもらえるのです。

たとえば薄型TVを考えてみてください。
同じ画面サイズの、パナソニック、シャープ、SONYの薄型TVが3台あります。
会社のロゴを削り取って、どれがどの会社のものかがわからなくなっています。
それぞれを使ってみて、どれがパナソニックで、どれがシャープで、どれがSONYかわかる人は、あまりいないと思う。
みんなそれぞれ、素晴らしい商品です。

これがコモディテイ化です。

製品的な優位さはなくなっているということ。
カンタンにいうと、みんな同じくらい性能はいいということ。
現代社会は製品が「コモディテイ化」しやすいのです。

もしも、強烈な個性があれば、コモディテイ化が激しい家電業界でも、独自の価値で選んでもらえるようになる。
思い浮かぶのはサイクロン方式のダイソン。
もう進化はないと思われていた、掃除機という分野で圧倒的な価値を創り出しています。
「吸引力が変わらない」というキャッチコピーで一躍、市場を席巻しました。
本国イギリスではこのコピーは使えなくなっているようですが…

ジェームズ・ダイソン <Wikipediaより>

ジェームズ・ダイソン
<Wikipediaより>

ダイソンの掃除機が国産の…たとえばパナソニックの掃除機と比べて圧倒的に優れた性能かというと、そんなことはありません。パナソニックの掃除機だって、劣らない充分素晴らしい性能がある。
でもダイソンは個性的です。
それは性能以外の何かが決定的に違っているということです。

ダイソンの場合、サイクロン方式の掃除機を完成させるために、社長が5000個以上の試作品を作り、失敗に失敗を重ねてやっと製品化した。
そういうエピソードが有名です。
ジェームス・ダイソンが起業して、試作機を5127台作成し、破産寸前まで行った自分の人生を語っている本も出版されている。
そういう物語が伝説のように語られている。
開発そのものが「メディア」になっているということ。

「吸引力が変わらない」というキャッチコピーで買った消費者も、家に届いて掃除機を使ってみると、普通より吸引音も大きく、吸引力も強いように思える。
使った時の「体験」をいかに演出するかが、製品のデザインをも含めてしっかりと設計されている。
まさに製品そのものも「メディア化」している。
体験や共感という性能以外の部分が個性になっているのです。

だから、個性的というのは、性能などのスペックではなく、開発物語や開発した人の熱い思い、使った時の体験価値、製品のデザインなど、製品の性能以外の価値をいかに設計できるか。
これにかかっているのです。

個性的な製品を買うというのは、製品そのものを買っているというより、その「思想」を買ってるということです。
まさにモノを売るな、体験を売れ。
エクスマの考え方なのです。

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藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

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