映画から気づくエクスマの本質

GWっていう言葉は映画業界がルーツ

ゴールデンウィーク最終日ですね。
ボクは今日から仕事です。
まずは午後から奥ノ谷社長こと、短パンと雑誌社の企画で対談です。
(ん?短パン社長こと、だな……ま、いいか)

「ゴールデンウィーク」の名称は映画界がルーツでした。
昭和26年(1951年)に大映が作った映画が、連休のこの時期に過去最高売上を記録しました。
映画界でこの時期に、多くの観客数を生み出すことや活性化を目的として生み出された、大映の宣伝用語だったんです。
それが他の業界にも広がり、5月の連休として一般的に定着したわけです。

今年のGW、映画は観に行けませんでしたが、映画って素晴らしい発明だなって思う。
人間の考え出したものでは、水族館くらいすごいです。

本にも書いたことなので、読んだ方もいると思いますが、ゴールデンウィーク最終日、映画から気づくエクスマの本質です。

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寅さんもエクスマだった

映画『男はつらいよ』シリーズ。
渥美清さん扮する「寅さん」が活躍する、山田洋次監督の大人気シリーズです。
松竹によって1969年から1995年までに全48作が製作されました。
記録的なロングセラーの映画でした。

実はこの映画の47作目。
『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』(1994年/監督・山田洋次/脚本・山田洋次、朝間義隆)のあるシーンで、エクスぺリンエス・マーケティングが登場するところがあるんです。
モノが売れない時代に、モノを売るために、どうやって売ったらいいのかが、ものすごくわかりやすく実演されています。

実はボクの塾生さんで、北海道を中心にリサイクルショップ等を経営している中西創社長に教えてもらいました。
中西さんは「寅さん」マニアです。48作すべて、何度も観ています。
正しい観方は1作目から順番に観ることだそうです。

あるとき中西社長がボクにいいました。
「先生、実は寅さんってエクスマだったんですよ」
そういって、見せてくれたシーンです。

あらすじはいいませんが、だいたいパターンは決まっている。
テキ屋の寅次郎は、旅先や柴又で出会うマドンナに惚れてしまう。
マドンナも寅次郎に対して好意を抱くが、それは多くの場合恋愛感情ではなく、最後にはマドンナの恋人が現れて振られてしまう。
そして落ち込んだ寅次郎が正月前、もしくは盆前(正月、盆がテキ屋の書き入れ時)に再びテキ屋稼業の旅に出て行くという結末です。

この47作目も寅さんのマドンナ役の典子(かたせ梨乃)と、甥の満男(吉岡秀隆)のマドンナである川井菜穂(牧瀬里穂)の恋が同時進行で描かれていて、やっぱりふたりとも失恋する。
エクスぺリンエス・マーケティングのシーンは、映画が始まって20分くらいたったところに出てきます。

使い古した鉛筆をどう売るか?

久々に柴又に帰ってきた寅次郎はその晩、甥の満男の話題で盛り上がる。
満男は大学を卒業後、仕方なく入社した靴会社の営業の仕事をしている。
入社半年が過ぎた満男は、靴のセールスに嫌気がさし、家族に愚痴をもらしていた。

それを聞いた寅さん、近くにあった鉛筆を2本満男に差し出し、こういう。
「オレに売ってみな」

満男はしぶしぶ、寅さんに売ってみる。

満男 「おじさん、この鉛筆買ってください。ほら、消しゴムつきですよ」
寅さん「いりませんよ。ボクは字書かないし、そんなものは全然必要ありません! 以上!」
満男 「あ……そうですか……」
寅さん「そうです!」
満男 「……」
寅さん「どうしました? それだけですか?」
満男 「だって、こんな鉛筆売りようないじゃない……」

まったく売れない満男に寅さんは、「貸してみな」と鉛筆を取り上げ、しみじみとした語り口調で語り始めます。

「おばちゃん……オレはこの鉛筆を見るとな、おふくろのこと思い出してしょうがねえんだ。
不器用だったからねぇ、オレは。
鉛筆も満足に削れなかった……。

夜おふくろが削ってくれたんだ。
ちょうどこの辺に火鉢があってな。

その前にきち~んとおふくろが座ってさ、白い手で『肥後のかみ』を持って、スイスイ、スイスイ削ってくれるんだ。
その削りかすが火鉢の中に入って、ぷ~んといい匂いがしてなあ。
きれ~に削ってくれたその鉛筆をオレは、落書きばっかりして、勉強ひとつもしなかった。
でもこれぐらい短くなるとな、その分だけ頭がよくなったような気がしたもんだ」

しみじみとした寅さんの話は続き、それを聴いていた家族みんなが鉛筆を欲しくなるんです。

機能やスペックではもう欲しくならない

まさに「エクスペリエンス・マーケティング」です。

満男の鉛筆の売り方は「機能やスペック」でしか価値を伝えていない。
寅さんは鉛筆というモノを、鉛筆として売っているわけではなく、ちがう価値を伝えて、鉛筆という商品を輝かせたわけです。

デジタルが全盛の時代、鉛筆というなんともアナログで時代遅れな商品。
それを誰もが持っている母親の思い出を絡め、あたたかい心にさせ、その鉛筆を使うことで、忘れていた大切なコトを思い出すのではないかと思わせた。

モノが売れない時代、商品のスペックや機能ではもう売れないんです。

そこにどういう価値をつけるのか?
どういう物語をつけるか?
どういう意味を持たせるのか?

これが大事になってくる。

体験価値だけが、心を捉える。
体験価値によって、お客さまとの「つながり」が生まれる。
体験価値が、いつまでも心に残る。

やっぱり、「モノ」ではなく「体験」を売ることが、大事なんです。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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