新しいことを始めなければ衰退するだけ
よく、ライバルの同業他社と比較して、うちのほうが優れているから大丈夫だというような会社があります。
でもそれって本当に大丈夫でしょうか。
それはビジネスや商売の、あるべき姿ではないと思うのです。
お客さまの方をみないで、ライバルの競合ばかり見ている。
これはあるべき姿、真理ではありません。
同僚やライバル企業競争して切磋琢磨しても、成長するためには、一つもいいことはないのです。
競争するべき相手は、ライバルではなく、今の激変する環境だから。
これが最大の競争相手になる。
激変する環境に対応できなかったら、滅亡するだけです。
だって、何度も言っていることですが、真理の沿わないビジネスは、今はいいかもしれないですが、いずれ淘汰されていくのですから。
たとえば印刷業。
印刷物というのは、年々減っています。
デジタル技術やITテクノロジーの進化で、印刷物が少なくなっているから。
そういう環境ですから、印刷業界の市場規模は毎年減りつづけています。
そんな業界の状況の中で、他社より価格を安くして、他社の仕事を獲ろうとかする会社がある。
そういう会社が多くなると、印刷業の復活はとうていありえません。
かといって、インターネット事業に活路を見出そうとして、webデザインとか、SNSコンサルとかしている印刷会社もありますけど、それだって、印刷屋が考える延長線上でしか考えないから、みんな同じことになり、うもれてしまっている。
個性も特徴もありません。
新しいことが生み出せないから。
新しいこと、新しいビジネスモデル、そういうと何が一から作り上げなければならないと思うかもしれません。
とても素晴らしい「創造力」が必要だとね。
でも、そうじゃない。
創造力というのは既存のアイデアと別のアイデアとの組み合わせ。
世の中の素晴らしいサービス、商品、ビジネスモデルは、既存の何かとの組み合わせでできているってこと。
回転寿司は工場のベルトコンベアーからヒントを得てできた素晴らしいサービスです。
ライドシェアサービスと出前を組み合わせて、ウーバーイーツができた。
皆さんがいつも使っているスマートフォンだって、携帯電話+パソコンでできた商品ですよね。組み合わせなのです。
豊かな組み合わせをいかに思いつくか?
これにかかっているんだな。
そのためには、自分の業界のことや、自分の仕事のことだけで思考していると、ダメなんだ。
もっと遠く離れたところに思考を飛ばさなきゃね。
だから一見仕事と関係ない知識やノウハウ、無駄に見える遊び、ビジネスでは排除されてきたノイズ。
そういうことが価値になるんだ。
でも、そういうことに価値を見出している会社は少ない。
だって、それは時間がかかるし、失敗するかもしれないから。
企業は目先の利益や売上ばかりにこだわる。
成果がなかなか出ないものには、投資しない。
コスパとタイパが悪いから。
でもね、これからの時代、非効率なことを真面目にやる企業が生き残っていくと思う。
新しいビジネスモデルや、新しい商品・サービスを生み出したいなら、業界や自分の仕事から離れた知と知の組み合わせが価値を生むんだという認識を経営者が持たないとね。
画像は歌川広重の「名所江戸百景・亀戸天神境内」に影響を受けたモネの作品「睡蓮の池」(1887年)
藤村 正宏
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