「おなじみさん」を、死ぬほど大事にする
最近、SNSの空気が、またひとつ変わってきた気がする。
不特定多数に向けて発信するコンテンツが、届いていないってこと。
「見知らぬ人に発信しても意味ないじゃん」
「誰かわからない人に見られたくない」
「どうして、自分のことを顔も知らない誰かにさらけ出さなきゃならないの」
そう感じている人が多くなっているんだろうね。
SNSのプラットフォーム側も、そんな流れを見て、アルゴリズムを調整しているように思えます。
InstagramもX(旧Twitter)も、今は「フォロワーの数」より、「フォロワーとのつながり」を見てる。
つまり、バズった回数よりも、ふだんの会話が、じつは大事になってきたってこと。
だからこそ、無闇にフォロワーの数を増やすことより、今いるフォロワーを、もっと好きになってもらう。
そんな使い方が一番いいんだ。
SNSも、ビジネスもほんとうは同じ
これって、よくよく考えると、ビジネスの話とそっくりだなと思うんです。
たとえば、お店の売上が落ちたとき。
たいていの経営者さんは「新しいお客さんを増やさなきゃ!」って思う。
もちろん、それも大事なことなんだけど──
本当に大事なのは、
「すでに来てくれたお客さん」を、死ぬほど大切にすること。
エクスマ(エクスペリエンス・マーケティング)でも、もう耳にタコができるくらい言ってます。
それでも、何度でも、伝えたい。
たぶん、人は、一度聞いただけじゃ、
ほんとうに大事なことは、聞き流してしまうからね。
長く愛されているお店には、理由がある。
僕のよく行く、エクスマスタジオの近くにある『丸屋』っていう、昔ながらの蕎麦屋さん。
このお店、いつ行っても、いつもの顔ぶれでにぎわってる。
ご主人は70歳を超えてるけど、毎日きちんと暖簾を出してる。
「夕方の散歩のついでに寄ってくれるお客さんがいるからね」って、嬉しそうに話してた。
宣伝も、広告も、SNSも、何にもしてない。
それでも、お客さんは絶えない。
それは、常連さんがいるからです。
ビールを一杯、蕎麦を一枚。
そのささやかな楽しみを、「丸屋」はちゃんと守り続けている。
新規を追いかけるだけだと、消耗する。
一方で、「新規!新規!」ってがんばり続けるお店や会社は、たいてい、疲弊します。
広告費がどんどん膨らんで、リピーターが育たない。
売上は上がってるように見えて、実はぜんぜん、安定していない。
数字にもちゃんと出ている。
新規のお客さんを一人獲得するコストは、既存のお客さんをもう一度呼び戻すコストの6倍〜12倍。
……6倍ですよ? 12倍ですよ?
もう、びっくりするくらい非効率だよね。
だったら、今いるお客さんに、
「また来たいな」って思ってもらったほうが、
ずっと、自然で、健全だと思う。
「おなじみさん」がいる会社は、強い。
京都の花柳界では、初めて来たお客さんを「一見さん」、
2回目を「裏を返す」、
そして3回目でやっと「おなじみさん」と呼ぶ。
ビジネスも、まったく同じ。
3回来てくれたお客さん。
そこからが、ほんとうのスタートなんだと思う。
「おなじみさん」が増えていけば、
お店も、会社も、しなやかに、強くなれる。
SNSだって、同じです。
今、InstagramもXも、
「フォロワーの数」じゃなくて「フォロワーとの関係性」を見ている。
いいね、コメント、保存──
そういう小さなリアクションの積み重ねが、アルゴリズムにも評価される時代。
たったひとりのフォロワーに、
たったひとつの投稿で、
「ありがとう」ってちゃんと伝えること。
それが、
あなたのビジネスを支えてくれる「おなじみさん」を育てる一歩になる。
あなたのまわりには、どんな「おなじみさん」がいるかな?
そして、
あなたはその人たちを、どれだけ大切にできている?
「死ぬほど大事にする」って、ちょっと大げさに聞こえるかもしれないけど、でも、たぶん、それくらいが、ちょうどいいんだな。
だって、
人と人の関係って、
もともと、そんなにあたりまえじゃないから。
次にSNSを開いたとき。
フォロワーの「数」じゃなくて、
ひとつひとつの「つながり」を見てみてみよう。
きっと、ちょっと、見える景色が変わるかもよ。

藤村 正宏

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