顧客満足を高めてもリピーターは増えない
「お客様の満足度を上げよう」。
多くの企業やお店が、当然のように掲げている目標です。
けれど、ここに大きな誤解があります。
どんなに顧客満足を高めても、リピーターは増えない。
これは、現場で何度も実証された事実です。
あ、何もボクは顧客満足を高めなくていい、そう言っているわけではありませんよ。
それはとっても大切なこと。
どんな会社もみんなやっています。
しのぎを削って、顧客満足向上をやっています。
なんなら、プロなんだから、満足させなきゃ、お金もらえませんよね。
でもね・・・どんなに顧客満足を向上させても、リピーターになってもらえない、二度と利用してくれないってことが起きるんですよ。
それは、満足とは別のところで起きているということなんですね。
お客さまは、満足しているのに、どうして二度ときてくれないのでしょう。
顧客満足とリピートは「別の次元」の話

想像してみてください。
たとえばあなたが、初めてのレストランで食事をしたとしましょう。
奥さまやガールフレンド、だんなさまやボーイフレンドと行ったとします。
とっても美味しくてサービスもよく、雰囲気もいいレストランでした。
あなたたちはとても満足して、帰り際に店長に言いました。
「また来ますね」
本当にそのときには、また来たいと思っていました。
家に帰り、お風呂にはいり、寝ました。
さてさて、次の朝、あなたはそのレストランのことを覚えていますか?
新しい一日がはじまって、その日やることが押し寄せてきます。
たぶん昨夜のレストランのことは思い出さないでしょう。
ましてや3日後にはもう、すっかりその店のことは記憶になくなっています。
もしかすると、新しい店に行っているかもしれないしね。
僕が関わった、ある東京の有名ホテルのレストランでは、100人中、50人以上が二度と来なかったのです。
驚きませんか?
しかも、そのほとんどが「満足していた」お客さんなんです。
理由は単純。“忘れられてしまう”から。
人は 三日で忘れる
心理学の研究によると、人の短期記憶は三日で消えると言われています。
どんなに感動した体験も、放っておけば、あっという間に記憶の彼方へ。
つまり「満足した」という感情だけでは、リピートは生まれない。
忘れられた店や会社に、人はもう一度足を運びません。
リピーターをつくるたった一つの原則
では、どうすればいいのか。答えはとてもシンプルです。
忘れられない存在になること。
これだけです。そのために、あなたがすべきことは「お客さまとの接点を絶やさない」こと。
言い換えれば、関係を続ける努力をすることです。
「つながり」を保つ仕組みをつくる
その方法は、いくらでもあります。
たとえばSNS。X(旧Twitter)、Instagram、YouTube、TikTok。毎日投稿することに意味があります。
投稿の目的は、フォロワーを増やすことではなく、「忘れられない存在であり続けること」。
そして大切なのは、一方的な発信ではなく交流。
コメントに返信したり、会話を楽しんだり。
それが、あなたのブランドに“人間味”を与えます。
SNSだけでもいいんだけど、もっとリピーターを増やしたかったら、手紙・ニュースレター・メールマガジンを組み合わせることです。
SNSは「日常の接点」、手紙やメールは「心の接点」みたいな感じで、抜群の効果があります。
顧客満足から顧客関係へ
これからの時代に必要なのは、顧客満足 C.S.(Customer Satisfaction)ではなく、顧客関係 C.R.(Customer Relationship)の発想。
お客さまに「満足してもらう」ことよりも、「つながり続ける」ことを目的にする。
それが、リピーターをつくる唯一の道です。
満足よりも、記憶に残る存在へ
リピーターは「満足」から生まれるのではなく、「記憶」から生まれます。
どんなにおいしくても、どんなにサービスが良くても、忘れられたら、存在していないのと同じです。
だからこそ、あなたの仕事の本質はこうです。
「どうすれば、お客さまの心に居続けられるか?」
顧客満足を追うのではなく、“忘れられない物語”を届けていきましょう。
藤村 正宏
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