rage bait(レイジベイト)とは?
この間、AIビジネス関連のニュースサイトを熟読していて、ちょっと考えたことなんですけど、その中に、なんか引っかかる言葉が出てきたんですね。
オックスフォード大学が選んだ「Word of the Year 2025(今年の単語)」です。
それは rage bait(レイジベイト)。
人を怒らせ、憤慨させ、その感情を燃料にして注目を集める手法を指す言葉。

SNSを眺めていると、すぐに思い当たるはずです。
怒り。断定。煽り。分断。
考える前に、まず反応させる。
そういうのが多いですよね。
政治も、ニュースも、ビジネスも、「どれだけ人を怒らせられるか」で最適化されているように見えます。
「この世界は、人を賢くする方向には進んでいないよな」って読みながら思っていた。
むしろ、考えなくても「分かった気になれる」方向へ、非常に巧妙に設計されているってことじゃないかな。
Z世代は、本当に「バカ」になったのか?
最近よく耳にするのが、「Z世代の学力低下」「考える力の欠如」という言葉。
PISAのスコアは下がり続け、大学では高校や中学レベルの補習が急増しています。
本を一冊読み切れない学生も珍しくないそうです。
でもね、ちょっと待って、と言いたくなった。
Z世代は、本当にバカになったのだろうか?
僕は、そうは思わない。
正確に言えば、バカになる“環境”の中で、あまりにも誠実に生きているだけでなんじゃないかな。
確かに、注意力は奪われています
スマートフォンの通知は、1日200回以上とも言われます。
5分おきに、僕たちの意識は分断される。
アプリからアプリへ。
動画から動画へ。
15秒で、次へ。
これは怠けではない。
脳の使い方そのものが変えられているのだと思うのですよ。
集中できないのは、意志が弱いからではありません。
集中できないように、世界の側が設計されている。
しかもこの構造は、子どもだけの問題ではありません。
大人も同じです。
仕事中、ひとつの画面にとどまる時間は、かつての数分から、今では40秒台にまで短くなっているというデータもある。
大人も、すでに深く考えられなくなっているのです。
デジタル教育という幻想
「テクノロジーが教育を救う」そんな言葉が、長らく語られてきました。
しかし、データは逆のことを示し始めている。
学校でパソコンを多用するほど、学力は下がる傾向にある。
スマホの接触時間が長いほど、成績は悪化する。
紙で書く。
ノートを取る。
対面でフィードバックを受ける。
こうした一見「非効率」に見える行為こそが、思考の土台だったのではないかと、僕たちは今になって気づき始めているんじゃない?
AIは、人を賢くするのでしょうか
2022年に登場したChatGPTは、
世界に大きな衝撃を与えました。

穏やかな微笑みと優しい光
しかし、ある研究結果は非常に象徴的です。
AIを使って文章を書いた学生たちは、自分が書いた内容を、ほとんど覚えていませんでした。
脳は、ほぼ働いていなかったのです。
それでも本人は、「自分が書いた」と感じています。
これは、かなり危険な状態です。
考えていないのに、考えた“気分”だけが残る。
これが「認知的オフロード」と呼ばれる現象です。
思考を外注し、自分は仕事をしたつもりになる。
この状態が広がれば、人は賢くなるどころか、ますます思考しなくなっていくでしょう。
それでも、僕はこう考えています
ここまで読むと、世界は絶望的に見えるかもしれません。
でもね、僕の視点は少し違います。
人間は、そもそもそんなに賢く生きる存在ではありません。
すぐに流されます。
すぐに怒ります。
すぐに楽な答えに飛びつきます。
それが人間です。
問題なのは、その自分を忘れてしまうことです。
自分は賢い。
自分は正しい。
自分は分かっている。
この思い込みこそが、いちばん危険なのです。
AI時代に必要なのは「賢さ」ではありません
本当に必要なのは、
・集中できない自分を疑えること
・怒りやすい自分を笑えること
・分かった気になっている自分に立ち止まれること
自覚的に、バカでいることです。
AIが賢くなるほど、人間はバカでいい。
ただし、投げやりなバカではありません。
謙虚なバカ。
面白がれるバカ。
考え続けることをやめないバカ。
人間の仕事は、「ただ考えること」ではありません
考えることは、これからAIがいくらでもやります。
人間の仕事は、
・自分の頭で、深く考え続けること
・自分の感性で感じること
・効率を考えずじっくりと探求すること
・進むだけでなく、立ち止まること
・自分の価値観で、意味を見つけること
そして何より、
「自分は簡単に流される存在だ」と知っていることです。
それだけで、この「バカ化する世界」は、かなり生きやすくなります。
藤村 正宏
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