本質を浮き彫りにするマイナスの考え方-大河ドラマ『軍師官兵衛』を観て思ったこと

秀吉と利休の価値観のちがい

日曜の夜のNHK大河ドラマ。
今年の『軍師官兵衛』はとっても面白い。
戦国時代に豊臣秀吉の軍師として活躍した、黒田官兵衛の人生を描いています。
見ていると、ビジネス上のあるいは人生のさまざまな気づきがたくさんあります。
もちろんリアルタイムではなかなか見れないのですが、録画してまとめてみることが多い。
今日は、大河ドラマを見ていて思った、ボクの気づきを書こうと思います。

茶室のにじり口

茶室のにじり口

「秀吉」と「利休」って、根本的な価値観が違っていました。

茶室にしても、秀吉はすべて黄金で拵えた、豪華絢爛な茶室を作ります。
かたや利休は、侘びの茶室。
せまくて、質素で地味。

誰が見てもわかりやすいローコンテクストな秀吉の黄金の茶室。
まるでハリウッド映画やディズニーの映画のような、
人種や民族、年齢などを問わない、万人が理解できるコンテクスト(文脈)。

利休が求めたのは、かなりハイコンテクストな茶室です。
約束事を共有していなければ、その良さはわからない。
もてなしの意図をもって掛けられた、掛け軸の絵や、選ばれた一輪の花。
前提になる知識や共通認識がなければ楽しめない、コミュニケーションです。
利休の考え方は余計な要素を排除していくことで、茶の本質を伝えるという意図があった。
日本映画やフランス映画が
時にして、わかりにくいのは、そういう文化があるからかもしれない。

「足し算」の考え方と「引き算」の考え方

フランスといえば・・・

「デザイナーが自分の作品を完璧だと思うのは、付け加えるものが何もなくなったときではない。取り去るものが何もなくなったときだ」

という言葉を残したのは、20世紀前半フランスの作家、サン・テグジュペリです。
あのゲランの香水の名前にもなった小説『夜間飛行』や人間の本質にせまった『人間の土地』、みんな知っている傑作『星の王子さま』などの作品で有名な、サン・テグジュペリのデザインに言及した言葉です。
(若いときに『夜間飛行』を読んで、使命まっとうする孤高の精神に憧憬にも似た感情にとらわれたものです)

ボクも昔は、さまざまなものをデザインしてきました。

空間デザイン
店舗デザイン
展示デザイン
ディスプレイデザイン
パッケージデザイン
グラフィックデザイン
webデザイン

デザインをするときの考え方に「マイナスのデザイン」という考え方がある。

これはどういうことかというと「マイナスの美学」。
デザインするときに、要素を加えて飾っていくのではなく、要素をそぎ落としてデザインしていくやりかた。
足し算で装飾していく方法と引き算でデザインしていく方法。

秀吉が黄金の茶室を造ったのは「足し算」。
利休の侘びは「引き算」。

日本の美学には、このマイナスしていく考え方が存在している。
侘びさび、の文脈。
要素を削って削って、本質だけを浮き彫りににする。
そういう考え方です。
日本人というのは、こういうハイコンテクストなことを楽しめる文化があります。

iPhoneのデザインや、アクティブビデオカメラGoProの考え方に通じるものだと思う。
アメリカ人が考えた製品に、日本人が得意な考え方が活かされている。
もしかすると、日本のメーカーや会社は、あまりにもアメリカのグローバルな考え方ばかり見て、足もとの価値のあるコトを見落としてきたんじゃないかな。
商品開発だけでなく、マーケティングも、そういうマイナスのデザインができたら、理想なのかもしれない。
本質が浮き彫りにするような、デザインです。

先週、大河ドラマ『軍師官兵衛』を見ていて考えていたのは、概ねそんなことです。

大河ドラマもいろいろな見かたがあります。
明日見てみましょう。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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