商品、サービスの魅力では売れない時代、ビジネスモデルをイノベーションすること

商品やサービスって差がわかりにくい

消費者は商品そのものの魅力では、もはやお金を使わなくなっている。
商品やサービスの差はわかりにくくなっている。
平たく言えば、みんないい商品であり、いいサービスってことです。
そう思いませんか?

そういう時代だからこそ、
商品やサービスをイノベーションするのではなく、ビジネスモデルをイノベーションすることが大事。

そのためには、ボクがいつも言っている、「体験」を売るという視点が重要。
「体験」を売るという視点で考え始めた時、あるいは「体験」を売るという視点に気づいた時から大きく変わります。
その後の展開が、まるでちがってくるのです。

広告のデザイン、ダイレクトメール、お店の作り方、商品の品揃え、サービスの仕方、すべてこういう視点で展開していきます。
そうするどういうメリットがあるかというと、そこに「独自化」という価値が生まれてくるのです。
ここで注意してほしいことがあります。
あくまでも「独自化」ということです。

「差別化」ではなく「独自化」です。

ここのところの、微妙なちがいが伝わるでしょうか?
確かに、よく「差別化」とかいうコトバ使いますよね。

「厳しい競争に生き残るために、他社と差別化する戦略を・・・」

なんてこと、朝礼で社長が言ったりする。
こういう「差別化しよう発言」を聞くたびに、なんだか「他社追従」の戦略みたいで、上手くいかないような気がするんですよ。

差別化ということは、競合している会社を意識していますよね。
あそこはこうだから、ウチはこうしよう。
という感じです。
でもそれって向こうも差別化しようとしているから、差別化できても、また差別化されてしまい、差別化しょうスパイラルにはまりこんでしまう。
安売り競争みたいに。
差別化で「価値」を出すのは、すごく難しいということです。

「エクスマ」の視点でビジネスモデルが変わる

「価値」を高めるのは、差別化ではなく、独自化しなければならないのですよ。

「エクスペリエンス・マーケティング」は、その有効な方法なのです。

天井にタレルの作品がある美術館のライブラリー アートのある生活を提案している

天井にタレルの作品がある美術館のライブラリー
アートのあるライフスタイルを提案している(熊本市立美術館)

例えば、商店街の「家具屋さん」があったとします。

「ウチは家具を扱っているんだ」

という考え方では、品揃えの豊富な大型家具屋さんに負けてしまうわけです。
ところが視点を変え、
「ウチは狭い家のスペースを有効に使ってもらう収納のテクニックを提供し、気持ちのいいホームライフを実現するお手伝いをしているのです」
という考え方にする。
そして、収納家具をメインに品揃えするのです。

今ワイドショーなんかを見ると、収納テクニックの特集なんかやっているでしょ。
みんな収納で困っているんですよ。
そのアイディアやノウハウをサービスしているというコンセプトにする。
すると、収納方法に困った人がお客さんになるわけです。

収納家具の品揃え、収納するためのノウハウ、収納のアイディア、いろんなモノやサービスが商品になるわけです。
「収納の達人」ですね。
そういう視点をもっていると、商品だけでなく、さまざまな展開ができるでしょ。
例えばSNS上に、お客さまのコミュニティを作り、「収納アイディア大賞」なんかを募集して、イベントをやることもできますよね。
その中の優秀作品の写真を展示して、優秀なアイディアを実現させる、家具を売ったり。
まるで「収納ミュージアム」です。

「気持ちのいいホームライフを実現する」

という「体験」を提供しているなら、それこそ売るモノは家具だけではなく、気持ちのいいホームライフを実現するための商品なら、なんだっていいわけです。
環境音楽のCD、アロマキャンドル、インテリアの写真集、ハーブティー、アート作品・・・、それこそ無数に考えられる。

そしてお客さまに認知してもらえるようになれば、

「今度、ウチのリビングルームの改装お願いできないかしら?」
「インテリアコーディネイトしえほしいんだけど」
「これから、すべて家具はおたくで買うわ」

なんてことになったりするのですよ。
「独自化」して価値を高めているでしょ。

「モノ」を売っているんだという考えは今すぐ捨てて、「体験」や「ライフスタイル」、あるいは「意味合い」を提供しているという視点に立って考えてみてください。

例えば宅配寿司のお店があったとしますよね。
「ウチは美味しい本物のお寿司を宅配しているんだ」
と思っていてはダメなのです。

「私たちは、本物の美味しいお寿司を通して、家で過ごす、素晴らしい時間を提供しているのです」

という視点を持ってみる。
すると、サービスだってちがうでしょ。
配達するバイトのお兄さんだって、住宅街の中で、うるさいバイクの音を響かせるようなこともないでしょ。
メニューの作り方も変わってくるだろうし、商品のパッケージだって変わりますよね。
もしかすると(極端な話ですが)、映画のDVDソフトレンタルなんかも商品になるかもしれません。
お寿司のメニューに「今月のオススメ映画」なんて紹介してあって、「お寿司を注文してくれた方には、格安でお貸します」というような展開も可能ですよね。
ま、それが商売になるかどうかはわかりませんが、同質化したモノが溢れている時代に、独自化できるひとつの方法ではあります。
独自化することが、価値を引き出してくれるのです。

他にもいろいろ考えられるでしょ。

体験を売るという視点になれば、今まで考えられなかった業態だって登場するんです。

「気持ちのいい眠りを提供してくれる布団屋さん」
「虫歯ではないのに、毎日来たくなる歯医者さん」
「髪が伸びてなくても、毎日行きたくなる美容院」
「どろぼうから家を守るノウハウを提供してくれて、そういう器具が揃っている金物屋さん」
「世界中のタバコが売っていて、喫煙者以外は入店できないカフェ」
「マーケティング関連の良書やマーケティングのセミナー、売上をあげるためのノウハウが得られる、マーケティング専門店」
「米倉誠一郎先生や荒俣宏先生みたいに、圧倒的に面白い話をしてくれるホストがいる、ホストクラブ」(これあったらいいな~)

一見、突飛なアイディアから、めちゃめちゃ価値のあることが生まれてくる可能性があるのです。

自分の扱っている商品が、お客さまにとって、どういう「体験」を提供しているのか?
また自分は、世の中の人たちに、どういう「体験」を提供したいか?
そういうことを、もう一度考えてみましょう。

The following two tabs change content below.
藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

フォローする