「伝える」のと「伝わる」のでは意味がちがう。あなたの商品の価値、伝わっていますか?

朝から食べたくないトムヤムクン

価値を伝えなければ、存在しないのと同じ。
これはマーケティングの真理です。
企業や店は、自分たちだけは、ちゃんと価値を伝えていると思い込んでいるところが多い。
実際はまったく伝わっていない。
自分目線の「オレオレ情報」だと伝わらないのです。

ビジネスホテルの朝食バイキング。
洋食のコーナーにスープが3種類並んでいました。

 ビシソワーズ
 トムヤムクン
 コーンスープ

どれを食べますか?
通常、ただスープの名前を書いているだけでは「コーンスープ」が一番人気になります。
どうしてか?
「ビシソワーズ」は、あまり知られていない。
どんなスープかが、よくわからないわけです。
だから選ばれないんですね。
「トムヤムクン」は、有名なタイ料理のスープです。
どうして選ばれないかというと、朝からは食べたくないからです。
普通、朝から食べたいとは思わない。
辛そうだし。

ただスープの名前を書いたものしか置いていなければ「コーンスープ」だけが先になくなります。
そこで、こういう手書きのPOPで、解説を置いた。

ビシソワーズ

昔、NY在住のフレンチシェフが考案。
冷たいジャガイモのスープです。
少し胃もたれしている朝には最適のスープです。
熱々のトーストとバター。これに相性ばっちり!

トムヤムクン

ご存じ 東南アジア発 酸味の効いた辛口スープ。
朝からちょっと・・・いえいえ。
朝から「香辛料」で基礎代謝を高める「メタボ対策」。
アリですよ。朝カレーのお供にぜひ!

コーンスープ

定番です!
でもね、当店のコーンスープはこだわりがあります。
北海道のホワイトコーンを使い砂糖は一切除外!
自然の甘みで勝負です!!
甘ったるいのはちょっと・・・そんなあなたに選んでほしい。

価値を伝える解説を書いた

価値を伝える解説を書いた

こういうPOPをつけただけで、平均的に食べてもらえるようになった。

「ビシソワーズ」は、あまり知っている人がいなかったわけです。
人間は知らないものは選ばない。
興味ももたない。
だから、これはこういうものですよ、と伝えたわけです。
そして、胃もたれしている朝にはぴったりと、朝食に食べてもらうようにおススメして、さらに熱々トーストとバターに合うと、食べ方も伝えています。
あまり知られていないスープの価値を伝えているわけです。

「トムヤムクン」は、みんな知っていますが、朝から食べたくないわけです。
人間は必要ないと思ったら選ばない。
手にもとらない。
だから、朝から食べてもいいし、朝カレーに合うんです、ということ伝えたわけです。
朝カレーは、イチロー選手の影響で有名ですよね。
そう言われると、たしかに食べてもいいかなって思う人もいます。
無かった欲求を喚起したってことです。

「コーンスープ」も、ただ単純にコーンスープですっていうのではなく、どれだけこだわっているかを、伝えた。
自然の甘みを生かしているとか、材料を選んでいるとか。
価値をしっかりと伝えています。

こういう工夫をして、選んでもらえるようにしたわけです。

選んでもらえない、買ってもらえない、その原因の多くは、ちゃんと価値を伝えていなということ。
あなたが価値を伝えていると思っていても、それはもしかすると一方的な思い込みであり、お客さまのほうから見たら、まったく伝わっていないのかもしれません。
「こだわりのそば粉を使った手打ちの蕎麦」と言っても「何時間も時間をかけて作ったスープのラーメン」って言っても、それは伝わっていないのです。
みんな、こだわっているから。
あなたの商品や店、会社の価値が本当に伝わっているのかどうか、もう一度見直してみることです。

この事例は、ボクのお弟子さんのマーケティングコンサルタント、田中みのる氏(みーちゃん)が実施し、成果の出た話しです。
みーちゃん、ありがとう。

【田中みのる氏のブログ】
みーちゃんの今日は何の日?

 

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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