デザートをつけたばっかりに・・・ ニーズに応えていると顧客に嫌われることだってある
ボクが以前関わっていた、あるレストランの話なんですけどね。
ランチにOLさんを集客しようとしたのです。
「ランチにコーヒーついているのはあたりまえだよね。若い女性はそれだけじゃなくデザートのニーズがあるから、小さいデザートをつけよう」
ということになり、ランチにコーヒーと小さいケーキとかクッキーとかのプチデザートをつけたわけです。
メニューにも記載しました。
ところが、お店の予想に反してけっこうクレームが出てきたんですよ。
「プチデザートって、本当にプチねぇ〜」とか
「こんな子供だましみたいなデザート」とか
「これじゃなくてあっちのがいいんだけど」とか・・・。
店長さんが困って電話してきたんです「藤村さん、どうしよー」って。
私すぐにその心理メカニズムに気づいたんですけど、わかります?
ニーズに応えたからなんですね、これが。
その時ボクがやったことは「すぐにメニューからプチデザートがついているというのを外してください」って指示です。
デザートがついていることを知らせなかったのです。
そして、コーヒーを持っていくときに、一緒にプチデザートを出したわけです。
もちろん「店長からのサービスです」というセリフもつけました。
どういうことが起こったかというと、そうです。
感謝されたわけです。
「え? いいんですか〜 ありがとうございます」
ってことになったのです。
同じ事をしているのに一方では「プチデザートって、本当にプチねぇ〜」とか言われていたのに、メニューから外したら「ありがとうございます」ですからね〜、ずいぶんちがうでしょ。
これは人間の心理ですよね。メニューに記載の場合、デザートがついているのが当然と思っている。
デザートのニーズができあがっているのです。
だから感謝されないわけです。
本当に誰も感謝してくれない。
ニーズができてしまったお客さんに不完全な対応をすると、これはクレームになるのです。
ところがメニューに記載せずにデザートを出すと、思いがけないことですから、大げさに言うと「感動」が生まれたわけです。
新しいことを生み出すためには合議制が弊害になることも
「合議制弊害の法則」というエクスマの法則があります。
すべての意見を取り入れると、個性が薄まり、誰にも嫌がられることはないけど、誰にも支持されない中途半端なモノになるという法則です。
あの有名な「G」マークで知られている、グッドデザイン賞を受賞した製品のデザインが「面白くない」のもこの理由です。
個性のない中途半端なものは選んでもらえないのです。
結果売れない、お客が来ない、ってことになるわけです。
消費者の声を聞くなって言っているのではありません。
お客さまの声というのはものすごく重要です。
でも、それと「ニーズを聞く」ことや「ニーズに応える」ということは別だということです。
「顧客のニーズに応えることが私のビジネス」と思っていると危険です。
ニーズのある時にしか買ってもらえなくなり、不毛な価格競争になってしまうんです。
間違った消費者の声を聞くことや、何も考えないで顧客の意見を聞くことは、顧客のことを考えないのと同じくらい「やってはいけない」ことなのです。
そのためには、あなたがプロとしてどういう「情報」を発信できるのか?
それを考えてみましょう。
お客さまが教えてもらって、よろこぶ情報は何ですか?

藤村 正宏

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