商業空間のトイレは、価値をもたせやすい。トイレで独自化。

商業空間のトイレって大切

以前書いたブログ記事『女性に好かれよう!~女性客に支持されるための5つのポイント』の中で、男性は結果ばかり求めるけれど、女性はプロセスをすごく大切にする、というコトを書きました。
だから、トイレも男性とはちがう目的に使われる。
トイレをまったくちがう「意味合い」にしているってことです。

今日は、飲食店、ショップ、ホテル、劇場、アミューズメント施設、温浴施設、などなど商業施設のトイレについて書きます。
そういう商業施設の価値をあげる方法として、トイレの演出があります。
トイレの作り方で価値を増すことができるって話です。

居酒屋のトイレに貼ってあった『ドン・キホーテ』のPOP

居酒屋のトイレに貼ってあった『ドン・キホーテ』のPOP

九州のお弟子さん、美容専門マーケティングコンサルタントの平松君から、居酒屋のトイレに貼ってあったPOPを見せてもらいました。
あの深夜まで営業しているディスカウントショップ『ドン・キホーテ』のPOPです。
よくできています。
居酒屋のトイレという場所を良く考えている。
その販促物が、お客さまと、どこで接するかを考えて作っていますよね。
コンタクトポイントが大事だよな。
トイレはひとりで集中するのですから、トイレPOPっていうのは有効です。

ディズニーランドのトイレには鏡がない

以前、本の中で、「東京ディズニーランドのトイレには鏡がない」ということを書きました。
それは、来園者がトイレで手を洗うときに自分の顔を見ると、現実に戻りやすくなるので、そうさせないために鏡がついていない、ということ。
商業施設のトイレは、気を遣わなければならない。

「海星亭」というお店があります。
最近行ってないけど、時々行きたくなる、店。
シンプルな鉄板焼き料理と、あたたかな雰囲気の内装の店が、どこか癒されるステキなお店です。
「ねぎだこ」という、丁寧に焼いたタコやきに、青ネギとかつお節がたっぷりかかっているメニューが人気です。
面白い店なのでよくいろんな所で、話をするのですが、特に、つい話しをしてしまうのが、トイレのこと。

店もちょっと凝っているのですが、同じくらいトイレも良く出来ているのです。
ちょっと昔のアメリカ、西海岸のイメージなのでしょうか、古いポスターが貼ってあったりで、なんともいえずレトロなイメージ。
姉妹店の告知、イベントのお知らせなどもセンスよく貼られています。
そして、トイレだけのBGMがあるんです。
古いラジオが置いてあって、FENにチューンングされています。
英語のDJと洋楽が流れているのです。
トイレの空間も、しっかりと考えて作っているんですね。

この「海星亭」、いつも混んでいます。
人気です。

どんなに雰囲気の良い店でも、トイレが淋しい空間だと、しらけてしまうんです。
話しが弾み、お酒に酔っていても、トイレで現実に戻ってしまい、気分が盛り下がってしまう。
トイレは、一番現実に戻りやすい空間なんです。

トイレは印象に残りやすい

ボクの大学時代からの友人で、尾島くんという音楽家がいます。
彼は商業空間の音環境のプロデュースでは第一人者です。
ボクのセミナーの音楽のアドバイスや機材のアレンジとかもやってくれていて、今でも一緒に仕事をしています。
尾島くんも、ある雑誌のインタビューで、こんなことを言っています。

「商業空間で音環境を考える場合、一番気にするのはトイレですね。何故なら、トイレの音というのは、店内の中の音よりも、意識されやすいからなんです。店内では音楽が流れていても気づかなかった人が、トイレに入ると音に気づくということがあるんです。だからトイレの音は、店内とは別の回路にすることがありますよ」

そうなんですね。
だからいい加減に考えないで、ちゃんとどういうコンセプトにするか考えましょう。

みなさんもこんな経験がありませんか?
トイレが寒くて、蛍光灯で写しだされる鏡の中の自分の顔に、酔いもさめて我に帰ってしまうこと。
これって、ものすごくマイナスですよね。
だから、お店から離れた所にトイレがある飲食店街や共同トイレの雑居ビルなどで飲食店を営業するのはそれなりに心遣いが必要になってきます。
もっと気を遣わなければならないということです。

ホステスさんのいるクラブでは、トイレに立って席へ戻ってくると、おしぼりを渡されたりしますよね。
あれは、トイレで現実に戻りかけたお客さまの意識を、また楽しい世界に戻すためなんですね。
あの「おしぼり」、実はそういう意味があるんですよ。
ま、そういうことを緻密に考えてやっているわけではないのでしょうけど、結果的にそうなっているのです。
最近では、ちょっと気の利いた居酒屋などでは、トイレの雰囲気にとても気を遣っていますよね。
トイレで、さまの気持ちが盛り下がってしまうのを防いでいるのですね。

さらにトイレという狭い場所は、「独りで特別な体験」をした、という印象に残りやすいのです。
うまくすれば席に座って、食べたり飲んだりして体験することに匹敵するくらいの体験を生み出すことができます。
妹尾河童さんが書いた、いろいろな人のトイレをスケッチしたものを載せている本があります。
人それぞれのこだわりがあって楽しいものです。
人間が落ち着く特別な場所として、意識しているのではないのでしょうか。

特に女性はトイレを気にします。
女性と食事に行ったりすると、トイレをいかにチェックしているかがわかります。
感じのよいトイレだったりすると、トイレから帰ってきて、「鏡が可愛いかった」とか「豪華なトイレだった」とか感想を言ったりします。
デパートなどでは、女性用のトイレに気を遣っている所がありますよね。
ソファーが置いてあったり、照明が凝っていたり、女性客の心をつかまえようと、さまざまな工夫がしてあります。
女性に聞くとあれは重要なことらしく、あそこのトイレはきれいで広いからとデートの前には必ず行く、という子までいます。
通勤のルートを、きれいなトイレがあることで変えたりする女性もいるのです。
トイレが中心になって、男たちが知らないところで、このように通勤の流れを作っていたりするのです。
恐るべし、トイレの力。

あるお店ではトイレに、感想ノートが置いてあって、お店の人がすべてに返事を書いているところもありました。
気分が良いか悪いかは別として、床・壁・天井、全面に鏡が貼ってあるトイレも印象に残っています。
思い出してみると、本当にトイレの印象が大きいことがわかります。

気を抜かないで、トイレの価値を高める意図をもちましょう。
どういうトイレが面白いか?
どうしたら、お客さまにクチコミしてもらえるトイレになるか?
どうしたら、他とちがうトイレになるか?

そういうことをメンバーみんなで、アイデアだししてみるのも、面白いと思う。

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藤村 正宏
1958年、北海道釧路生まれ。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。集客施設や企業のコンサルティングを行っている。コストをあまりかけない、誰でもカンタンにできる手法で、圧倒的な成果をあげている。 執筆活動、講演活動もする。現在フリーパレット集客施設研究所主宰。

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