自分の売っているものにどれだけ「愛」があるか? 〜パナソニックのTechnics復活

好きだということは愛があるということ

以前、三菱自動車のランサー・エボリューションの生産を中止した記事を書きました。
三菱自動車のコンセプトを表していた、スポーツカーを廃止して、売れるSUVに社運をかけるというニュースを見ていて、違和感を感じたというブログです。
↓ ↓ ↓
【「好きだ」っていうことは、そこの「愛」があるということ‐自分の売っているもがどれだけ好きか?】

ちょっと引用します。

そのクルマがあることで、「さすが三菱!」というような価値を高めていたんじゃないかな。
そう思うんです。
でも利益を第一優先目的にした途端、楽しさやワクワク感を犠牲にしてしまう。
一見ムダなような商品、そんなに売れない商品、それでも、扱っているだけでその会社の価値を高める商品って存在する。
コンセプトやブランド価値を高めるのです。

開発した人の「熱」や「愛」が感じられる。

でも、それを廃止して、社運を賭けあまり個性のないSUVを発売する。
ま、社運を賭けているのだから、それなりにお金をかけたプロモーションやSNS活用はしているだろうから、それなりに売れると思うけど、長い目で見たときに「ランエボ」の廃止が痛手にならなければいいんだけどね。

売っている商品に興味がないとか、好きでも嫌いでもないとか、そんな経営陣がやっている会社の商品が売れるでしょうか?
あなたは、そういう人からものを買いたいですか?
自分の扱っている商品やサービスにどれだけ愛情を注ぎこめるか。
これからの時代は、それが大切になってくるのです。

たとえば、あなたがJAZZが大好きで、引越しを機に、新しいハイレゾのオーディオセットを買いたいと思ったとします。
好きなJAZZをとてもいい音で体感するために、奮発して買おうと思っている。

店が2軒あります。
価格の差はない。

一つ目の店は、家電量販店。
一通り製品のことはわかっているけど、音楽好きのスタッフもオーディオ好きのスタッフもいない。
というか、いるかもしれないけど、それが誰かがわからない。
ともかく今月のノルマを達成することが至上命令。

二つ目の店は音や映像機器の専門店。
スタッフはみんな音楽好き、特に店長はJAZZがとっても好き、店の地下のスペースでオーディオルームがあり、いい音を聴かせてくれます。
自分が売っている商品やサービスが大好き。

どっちで買いたい?

ボクだったら、2番目で買いたいと思う。
だって、そんだけJAZZが好きだったら、JAZZ好きのボクのために、条件内でいいものを提供してくれるにちがいないと思う。
信頼ができるってことです。

パナソニックの女性役員は現役のJAZZピアニスト

パナソニックの伝説的な音響ブランド「Technics(テクニクス)」が約5年ぶりに復活しました。
それも愛好家向けの超高級ハイレゾなオーディオを扱うブランドです。

1974年頃、ボクが高校生になった時に、両親からお祝いにオーディオのコンポを買ってもらった。
それが、Technicsのセットでした。
アンプ、スピーカー、チューナー、プレイヤー。
とっても懐かしい思いだった。
それと同時に、パナソニックさすがだなって思った。

もしかすると、オーディオの商品、それもかなりハイクオリティーな商品なんて、そんなに市場が大きいわけじゃない。
だって、多くの人たちは、音楽をダウンロードして聞く。
スマホとかで音楽を外に持ち出して聴く。
家で聴くのもイヤフォンで聴いたりしています。
ハイクオリティーなコンポは必要ない。
ボクは仕事をしながら、けっこう家で音楽を聴きます。
でも、iPhoneとブルーツゥースでつながるボーズのミニスピーカーで聴いている。

そんな時代に、一度廃止したブランドを復活させた。
なんだかパナソニックの「思い」というか「情熱」を感じます。

その責任者に抜擢されたのが、女性の役員。
小川理子さん。
そして、ここがすごいんですけど、彼女は現役のJAZZピアニストだということ。
海外のJAZZフェスティバルに出演したり、ライブやコンサートをしたり、CDも10枚以上出している。
そしてパナソニックでは音響研究の専門家。
まさに適任です。
女性で、現役JAZZピアニストの社員を役員にして、Technicsの総責任者にする。
なんだかこの会社の懐の深さを感じるエピソードです。

小川理子さんのCD<Amazonのサイトから>

小川理子さんのCD<Amazonのサイトから>

小川さんが、音楽が大好きなのはいうまでもありませんよね。
音楽に関心ないわけがありません。
そしてそんな人が陣頭指揮をしている製品です。
いいものになるにちがいない。
単純にそう思うんです。

好きだということは、愛です。

愛があるかどうか。
これからビジネスで成功したかったら、これがとても大切な要素になる。
自分の扱っている商品になんの関心もなかったら、それは必ず人々に伝わります。
それと同じように、好きだということや情熱も、やはり伝わるのです。

パナソニックは熱いパッションを大切にする会社。
そう感じた。
高級オーディオブランドTechnicsがあるということは、会社のそういった姿勢を発信することにつながるのです。

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藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

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