夏休みになると読みたくなる本「トム・ソーヤーの冒険」 ビジネスに気づきがあるエピソードを紹介

夏になると読みたくなる本

2023年の夏は暑いです。
年々、夏が暑くなっていますよね。

気候変動が心配になりますが、暑い夏を楽しんで乗り越えましょう。

夏はノスタルジックですよね。
なんだか子どもの頃の夏休みを思い出すからかもしれませんね。
小学生の頃の夏休み、外で走り回って遊んでいましたが、本もたくさん読みました。
ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』や『八十日間世界一周』。
コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズ。
江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズ 。
などなど。
だから、今でも夏になると小説が読みたくなる。

最近はさまざまなメディアが発達し、人々はタイムパフォーマンスを求める風潮になっているので、活字メディアである、本を読む人が減っているのかもしれません。
それに電子書籍が登場して、紙の本から離れた人もいます。
電子書籍はとても便利です。
かさばらないし、朗読もしてくれるので、散歩しながら、車の運転をしながら、ながら読書もできます。
タイパがいいですよね。
でもね・・・僕は電子書籍も読みますが、やっぱり紙の本が好きです。

夏になると、読みたくなる本ってありますよね。
例えば村上春樹さんの処女作『風の歌を聴け』とか、湯本香樹実さんの『夏の庭―The Friends―』とか、ロバート・ハインラインの『夏への扉』とかね。

そして僕の場合、マーク・トゥエインの
「トム・ソーヤーの冒険」
世界中で読みつがれている、アメリカ少年文学の傑作です。

僕は小学校のころからこの小説を読んでいました。
とても面白くてたぶん20回くらいは読んでいます。
名作ですから、読んだことあるかたもいますよね。

「トム・ソーヤーの冒険」を読み返してみると、いつも少年時代に戻ったような感覚になります。

子どもの頃はささいなことでとってもうれしかったことや、草むらのにおい、夕方まで遊び家に帰るときの美しい夕焼け
そういうことを思い出しながら
読み進めていると、現実を忘れ、癒されます。

腕白少年「トム・ソーヤー」は
町の浮浪児の「宿無しハック(ハックルベリー・フィン)」を相棒に
いたずらの数々を繰り広げます。
家出をして、海賊気取りで冒険旅行。
迷路のような洞窟での宝探し。
墓場での殺人の目撃。
幽霊屋敷。
そして甘い初恋。

この小説を読むと、
自分が子どものころ、どんなこと感じて、どんなことを考え、どんなことを語ったか。
時にはいたずらや、奇妙な企てをやったこと。
幼い恋の甘ずっぱい感情。
そんなことを思い出しながら、トムたち少年の冒険を楽しめます。

この小説、一見、少年少女のために書かれているように感じますが
ちがうんです。
大人向けに書かれた小説。
そう思うんです。

ペンキ塗りのエピソードにマーケティングの本質を見た

この「トム・ソーヤーの冒険」の前半のエピソードで面白いところがあります。
かなり省いてわかりやすく書きますね。
このエピソードのあらすじです。

トムがポリー伯母さんから、いたずらの罰のため
「塀のペンキ塗り」の仕事をいいつけられます。
土曜日。
せっかくのお休みなのに、塀のペンキ塗り。
今日のために計画していた面白い遊びが、すべておじゃん!
塀をすべて塗るには、子どもにとって、一日仕事。
せっかくあれもやろう、これもやろうと思っていたのに、出鼻をくじかれた感じ。

最初はため息まじりに、嫌々ペンキを塗るんですね。
ふと、手を休めてみると、塗らなければならない塀は気が遠くなるほど残っている。
とてもじゃないけど夜まで終わらないかもしれない。

トムは、ポケットの中に入っている、玩具やさまざまなもの(子どもの頃ってただのガラクタが宝物みたいでしたよね)で、通りかかる友達を買収して、代わりに塀塗り作業をやってもらおうと考えます。
でも、彼がもっているモノではせいぜい、30分かわってもらうのが限度。
その考えをあきらめる。

その時、ふと、彼の頭にすごいアイディアが浮かぶんです。
トムは静かにブラシを手に取り、真剣に壁を塗りはじめるのです。

まもなく友達のベンが通りかかりました。

トムはベンに気づかぬふりをして、仕事に熱中しているふりをする。
ベンはトムに言います。
もちろんからかう意味です。
「おいトム、かなり参っているみたいだな(笑)」

トムは返事をしないで、今塗ったばかりのブラシのあとを、画家の目つきで眺めるんです。
そして、それをまたブラシで静かに塗り、また同じように塗った壁を見る。

ベンは、トムのわきまできて、ならんでたちました。
ベンはリンゴを持っていた。
トムはそのリンゴが食べたくなって、口の中はよだれが流れる。
それをグッとガマンして、仕事をやり続ける。

「おい、トム、仕事をさせられてるんだな?」
トムは急に、くるっとふりむくと、初めてベンの存在に気づいたように言います。
「なんだベン、気がつかなかったよ」

そうです、トムはこのペンキ塗りを、すごく楽しんでやっている、ふりをしているんです。
いつものトムとはちがいます。
不思議に思ったベン。

「トム、まさか塀のペンキ塗りが好きだっていうんじゃないだろうな?」

そう聞かれたトムはこう答えます。

「好きかって?  好きじゃいけないってわけでもある? 塀を塗るチャンスなんて毎日あるわけないじゃないか。特にこの塀はポリーおばさんが大切にしている塀だからね。ほら、表に面しているじゃん、きれいにしなきゃならないのさ」

そして、またペンキ塗りの作業に戻るんです。
そんなことを言われると、ベンはペンキ塗りが、ちがって見えてきた。
トムは、また注意深くブラシを右や左に動かし、ひとあし下がって、効果を調べ、あちこちに手を入れ、また画家のような目で自分の塗ったところを見る。

ベンはその動きを仔細に見ているうちに、興味がわいてきて、心を奪われ、夢中になっていった。
そしてたまならなくなり、ついに声をかける。

「おい、トム、おれにもちょっとやらしてくれよ」
トムはすぐにでも代わってもらいたいのに、渋るんですね。
「いや、それは無理だよ、ポリー叔母さんが大切にしている塀だからさ」
そんな感じですぐには代わりません。

とうとう、ベンはリンゴをまるごと1個あげるから、ペンキ塗りをやらせてほしい。
そういう提案をしてくるんです。
トムは表面上は、しょうがないな〜って顔をして、でも内心は飛びつく勢いで、ブラシをベンにしぶしぶ渡しました。

トムはみごとに、ペンキ塗りをベンに押し付けることができたのです。
それもリンゴという戦利品を手に入れながら。

ベンがペンキ塗りに疲れてくる、次々とやってくる友達に同じ手口を使って、ペンキ塗りをさせていくんです。
朝のうちには、すっかんピンだったトムのふところは、昼過ぎになると財産であふれていた。

トムがペンキ塗りと交換に手に入れたものは、

凧、ネズミの死骸とそれを振り回す紐、弾き球12個、
口琴の一部分、目に当てて景色などを見るための青いガラス壜の破片、
糸巻きの大砲、どんな錠前にも役立たない鍵、チョーク片、
ガラス壜の栓、ブリキの兵隊、おたまじゃくし2匹、かんしゃく玉6個、
片目の猫、真鍮のドアの取っ手、犬の首輪(ただし犬はふくまれていない)、
ナイフの柄、オレンジの皮4片、使えなくなった窓枠など。
トムが愉快に遊び暮らしている間に、遊び仲間は、いくらでもいました。
数時間で塀は三重に塗りつぶされたのです。

もしペンキがなくならなかったら、トムは村の子どもたちを破産させていたでしょう。
しかもトムは、ずっとその間、楽しい、のんびりとした時間を味わっていたのです。
トムは、心の中で、けっきょくのところ、世の中は、そんなにつまらなくはないな、と考えた。

トムは知らずに、人間の行動の大きな法則を発見したのです。
それは、おとなでも、子どもにでも、何かをほしがらせようと思えば、そのものを、なかなか手にはいらないようにすればよい、ということ。

ね、とっても面白いエピソードでしょ。

夏になると、子供頃を思い出す。
夏って、なかなかノスタルジックです。

エクスマセミナーでトムソーヤーを実演したことがあった

以前、東京の渋谷で実施した

【経営者の役割は社員のモチベーションを高めること】

というテーマのエクスマセミナー。

その冒頭に、事務局の橋本くんとボクとで、寸劇をやりました。
「トム・ソーヤーの冒険」のペンキ塗りのエピソードです。

このエピソードの本質には、ビジネスにとても気づきがある。
特に、リーダーや経営者には気づいてもらいたい視点です。

芝居の場面<下澤美香さん撮影>

 

 

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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コメント

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