SNSは「縁日」だと思う
SNSをやっていると、いつも思うんです。
これって「縁日」だなあって。
ほら、夏祭りの夜に、神社の境内で提灯がゆらゆら光って、屋台がずらりと並んでる。たこ焼き、金魚すくい、射的、りんご飴。どれも特別なものじゃない。
普段の生活の中でも手に入るものばかりです。
でも、縁日で買うとなんだか楽しい。
あの雰囲気の中で食べるから、りんご飴はごちそうだし、たこ焼きも三倍くらいおいしい。金魚すくいなんて、持って帰った後に困るのに、やりたくなる。
SNSの投稿って、あれと同じなんです。
「情報」だけなら検索すれば出てくる。
でも、縁日のたこ焼きのように、そこで誰かと一緒に楽しむ雰囲気があるから特別に感じる。
投稿そのものよりも、その場の空気や、発信している人の世界観。
人とのやり取りが楽しい。
SNSの「境内」と「屋台」
たとえば、InstagramやX(旧Twitter)は、神社の境内みたいなもの。
そこにたくさんの屋台が並ぶ。
屋台というのは、ひとりひとりの投稿です。
「今日は新しい商品を紹介します」って屋台もあれば、
「犬の散歩で見つけた小さな秋」って屋台もある。
「ラーメン食べました」ってだけの屋台も、意外と人気。
人はそれぞれ好きな屋台を覗いて回る。ときどき、「あれ?この屋台、毎回行列できてるな」なんてこともある。そういう投稿には、空気を明るくする何かがあるんですね。
大事なのは「継続」と「空気感」
屋台って、出店したらすぐに人気が出るわけじゃない。
去年も、一昨年も出していた屋台に「また来ちゃった」ってお客さんがつく。
SNSも同じです。
少しだけ投稿して反応が薄いからって、「やめた!」ってなる人が多い。
でも縁日の屋台を思い出してください。
あれだって毎年続けてるから「ここで焼きそば買うのが恒例」ってなる。
そして、屋台には「空気感」が大事。
同じたこ焼きでも、「おじさんが威勢よく鉄板をあやつる屋台」と「なんだか無愛想で黙々と焼いてる屋台」では、行列の長さが違う。
SNSも「何を発信するか」よりも「どういう空気で発信するか」が問われる。
笑顔の拍手と「また来年」
SNSのいいところは、拍手がすぐに返ってくること。
「いいね!」やコメントは、縁日でいう「にぎやかな拍手」です。
屋台のおじさんも拍手があれば気持ちよく焼ける。
SNSの投稿も同じ。
反応があると「また出そう」と思える。
そして、もっと面白いのは「また来年も会おうね」みたいな感覚があること。
リアルの縁日なら一年に一度。
でもSNSは、毎日が縁日みたいなもの。
今日も明日も明後日も、ちょっとした拍手や会話で「あ、この人、まだここにいるんだ」って確認できる。
これが関係性を育てるんです。
商売と縁日の距離感
商売をやっている人にとっても、この「縁日感覚」は大事です。
商品の宣伝ばかりすると、まるで「境内の真ん中で巨大な拡声器を持って怒鳴ってる人」みたいになる。
誰も近づきません。
縁日では、たこ焼きを焼いて「はい、どうぞ!」って渡して、そこにちょっとした会話や笑顔がある。
だから「また来たい」と思える。
SNSも同じで、「買ってください!」じゃなくて「今日はこんなことがありました」くらいの声かけが、人を惹きつける。
結果として、「あの人から買いたい」に変わる。

藤村 正宏

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