あなたのビジネスに「脚本」があるか?

シェイクスピア
たとえば、ホテルのラウンジでコーヒーを飲んでいるとき。
外の光がゆっくり傾いて、テーブルの上を金色に染めていく。
ふと気づくんです。
ビジネスって、“脚本”があるかどうかで、まったく別物になるんだよな。
どれだけSNSを頑張っても、どれだけAIを使いこなしても、
根っこのシナリオがなければ、売上という物語は走り出さない。
脚本力とは「お客さんの未来を先に描ける力」
脚本というと難しそうだけど、ほんとうはもっとやさしい。
言い換えれば、
「この人は、次にどんな気持ちになるんだろう?」
と想像すること。
現代はSNSの時代で、フォロワーさんの発信が毎日いろんな気分で流れてくる。
忙しい朝、ちょっと疲れた昼、帰り道の電車。
同じ投稿でも、見ている心の温度が違う。
だからこそ、シナリオが必要なんです。
「どういう動機でこの投稿に触れるか?」
「どんな言葉なら読んだ瞬間、肩の力が抜けるか?」
「どんな体験を見せれば、心が動き出すか?」
これは昔から変わらない“脚本の仕事”なんだけど、
現代はAIという最高の相棒までいる。
AIは“努力家より遊び人を味方にする”。
問いを投げれば、しつこいほど返してくれる。
その返り道をヒントに、自分だけのシナリオを磨いていける。
SNS時代の「脚本」は3つの川を流れていく
SNSは流れが早い。
でも、その裏側には必ず3つの川が走っています。
1)出会いの川
潜在顧客は、ふとした瞬間に流れつく。
「気になる」「なんだろう?」その一秒が勝負。
ホテルのカフェで本を開くように、
“入り口の光”をどうデザインするかが大事。
2)共感の川
出会った人が、そのあと何を求めているか?
安心? 楽しさ? 知識?
その川の流れに合わせて、ちょっと先の景色を見せる。
たとえば工務店なら、
「家づくりの不安」をやさしくほぐす短い動画を。
時計店なら、
「買ったあとのストーリー」を写真で。
SNSは“共感の小石”を一つずつ並べる場所なんです。
3)購入と関係の川
買ってもらってからが、本当の物語の始まり。
AIを使えば、
・購入者だけに届く「次の一歩の提案」
・商品日記のようなコミュニティ運営
・お客さまごとのシナリオの微調整
こんなことが、驚くほど自然にできる。
購買はゴールじゃない。
湖の夜、湖面に灯る明かりみたいに、
そこから関係が静かに続いていく。
脚本力とは、想像力のこと
昔から僕が言ってきた通り、脚本力とは「想像力」です。
SNSでもAIでも、いちばん大切なのはここ。
・投稿を読む前の気持ち
・読んだ瞬間の気持ち
・読み終えたあとの気持ち
その“心の呼吸”を想像できれば、どんな媒体も有効なツールになる。
想像力を豊かにする方法は、いつだってシンプル。
映画を観る。
小説を読む。
街で流れる音楽に耳を澄ませる。
知らない街を散歩する。
ムダや余白の中にしか、
“心を震わせる比喩”は落ちていないから。
SNSに効くのは、マーケティング理論ではなく、
美しい情景と物語なんです。
AI時代こそ、「売れるしくみ=シナリオ」をつくる
AIはツール。
SNSは舞台。
だけど、シナリオを書くのはあなた自身です。
・お客さまがどこからやってくるのか?
・どう共感し、どう動きたくなるのか?
・買ったあと、どんな世界を生きるのか?
この“見えない流れ”を描ける人は、どんな時代でも強い。
AIはその手助けをしてくれる相棒。
売れるのは、商品じゃない。
お客さまが歩いていく未来のストーリーなんです。
今日の実践ステップ
①「入り口の光」をつくる
あなたの世界に入る最初の投稿を、1つだけ“物語調”にする。
②AIに「お客さまの心の旅路」を質問する
「この投稿を読む人はどんな気持ちですか?」
「次に知りたいことは何ですか?」
AIは、あなたの脚本づくりの参謀になる。
③買ったあとの景色を描写する
ホテル、飲食店、観光、工務店、どんな業界でも効果抜群。
「買ったあと、あなたの一日はこう変わる」を書く。
それだけで、売れる仕組みは静かに動き始める。
“シナリオを書くということは、お客さまの未来をそっと照らす灯りを置くことなんです。”
藤村 正宏
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