宇宙の美しい法則を知りたい
冬は星がきれいに見える季節。
晴れた静かな深夜に、バルコニーに出ると、東京でも星空が見える。
星空を見てると、日常のことなんて些末なことだなって思える。
そして世界は美しいと確信する。
昔、この世界は神が作ったものと信じている人がたくさんいました。
もちろん今も大勢の人がそう信じています。
だから宇宙には神が作ったルールがある。
太陽は東から昇り、西に沈む。月は満ち欠けを繰り返す。星も天空を移動する。
これは神が作った法則だと思われていた。
その美しい法則を解き明かそうとして、科学というものが発展してきたのです。
ある時、自分で作った望遠鏡で天体観察をしていた男が、木星の周りを回っている4つの星を見つける。
それを見ていて、もしかするとこの地球も太陽の周りを回っているののかもしれないと思う。その男の名前はガリレオ・ガリレイ。
17世紀の初め頃のことでした。天動説が常識だった頃、地動説を支持したのです。
地動説の考え方は、それ以前、16世紀に活躍したコペルニクスが唱えていました。
それまでの宇宙観は天動説でした。
地球が宇宙の中心で、太陽や月や星たちが動いているというもの。
コペルニクスは天体の観察をしているうち、地球のほうが太陽の周りを回っているのではないかとヒントを得ます。
そう仮定をすると、さまざまな問題が解明されるから。
天が動いているのではなく、地球が動いている『地動説』。
しかしこれは危険な思想でもあった。
当時のキリスト教は、地球が宇宙の中心であると言う天動説がオフィシャルなもので、それに反する考え方はキリスト教を批判するのと同じ行為だったのです。
だから、コペルニクスは自分の著作をなかなか書こうとしなかった。
研究と観測を続け、かなり後に地動説の著作を書きます。しかしながら本の出版の直前に亡くなってしまいました。
コペルニクスの地動説に賛同した哲学者が、火あぶりの刑になったり、ガリレオがカトリック教会から有罪判決を受けたり、当時、地動説を唱えるものはすべて異端とされていたのです。
地動説を唱えることはそれだけ命がけのことだった。
でも観測される科学的な事実や、実験で導き出された法則は、とても説得力がある。だから、人々や社会も、科学的なことを認めなければならなくなるのです。
そして科学はキリスト教が支配していた中世を終わらせて、市民社会へと移行させる原動力になっていったのですね。
常識がひっくり返ることが起きるかもしれない
「コペルニクス的な転回」という言葉を聞いたことがある人もいると思います。
物事の見方やあり方が、180度変わってしまう発想や、常識をひっくり返すことが起きた時に使う言葉です。
それまで常識だった天動説とはまったく逆の地動説を唱え、世の中の常識を覆したコペルニクスの名前をとって、あの哲学者カントが作り出した言葉です。
コペルニクスからガリレオ、ガリレオからニュートンへと、宇宙の神秘を解き明かす学問は進んでいくんですね。
現代に生きているボクたちは、もちろん天動説なんて信じていません。
地球が太陽の周りをグルグル回っているのは、知っています。
中学生だってみんな常識として知っています。
でもね、あなたは地球が太陽の周りを回っているのを見たことありますか?
星空を見ていると、やっぱり動いているのは星たちの方です。
現実として知覚できるのは星や太陽が動いていることです。
ボクたちは目に見えないことを信じているのです。
世の中で目に見えるものはわずかに4%くらいだと言います。
96%は見えないもので構成されている。
大切なものはほとんど目に見えないのかもしれません。
目に見えないことがほとんどの世界。
目に見えていることだけを信じていては、限界がやってきます。
「常識」で、思考を制約しないこと。
常識から逃れるために、何も考えずに同じことを繰り返していることなどを見直し、いつもはとらない行動や思考をする癖をつける。
たとえば、通勤経路を変えてみる、行ったことのない店で食事をする、普段は見ない映画や本に触れる、お風呂に入るとき逆に入ってみるなど、いつもと違う行動をしてみると、思考も新しい脳の部分を使うので、新しいひらめきや発見がやってきたりします。
常識と離れたところから見る癖。
対極にある考えを受け入れてみる癖。
これからの時代、コペルニクス的な転回が起きるような、自由で多様な視点を持つことが大切なんだと思うのです。
宇宙の美しい法則がいずれ解明され、ボクたちはどこから来て、どこへ行こうとしているのかがわかる。
そんな時代が来るのかもしれませんね。
藤村 正宏
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