
ひたすら映画を見る研修
ずっとムダは排除の対象だった
仕事って、ムダを削るもの。
そんな風潮が、以前からありますよね。
僕が最初に社会人になった頃から、そういう傾向だった。
スピード重視。成果重視。
できるだけ早く、できるだけ効率よく。
だけどムダの中にしか見つからない「なにか」があると信じています。
東京・神保町にたくさんある古本屋さん。
どの店も、一見、商売っ気がないように見える。
でも、個性的な書店が揃っている。
演劇関係、洋書、美術書、日本文学・・・・
多くの店は、棚の並びもバラバラ、値札も手書き。
でも、なぜか落ち着く。
本を買うことが目的じゃない。
というか、結果的に買うんだけど、宝探しみたいな感じ。
何か面白い時間を過ごすっていう方が合ってるかな。
たまたま手に取った雑誌に挟まっていた、1970年代の映画のチケットの半券なんかを見つけると、めっちゃうれしい。
誰がこの映画を観たんだろう。恋人と一緒観たのかな。一人だったのか・・・そんなことを想像して、勝手に物語をつくっている。
「用もないのに寄る店」ってあるよね。
それって商品を買うというより、心を楽しませる場所ですよね。
効率とは正反対のことをする時間。
でもね、こういうムダだと思ってた時間が、あとから効いてくるんだな。
そういうことって、よくある。
僕が以前よくやった研修でおもしろかったもの。
10名くらいのプロジェクトチームの研修。
温泉旅館や、温泉付きのその会社の別荘で、それぞれの人が推薦する映画を、全員で観るという研修。
やるのは、ただひたすら映画をみる。1本観終わるたびに、みんなで感想を言い合う。
見る映画はそれぞれのプレゼンで決める。
他は、時々散歩して、お風呂に入って、ごはんを食べて、夏なんかだと、焚き火のそばでおしゃべりする。
めっちゃチームの空気がゆるんでいて、意見もアイデアもぽろぽろ出てくるようになる。
ムダなことが、いちばん役に立つことがある
「ムダ」って、なにか?
予定がない時間。
成果が出ない活動。
人に説明できない楽しみ。
でも、そこにしか落ちていない“種”がある。
あとから芽が出る“ひらめき”や“つながり”は、たいていムダそうに見える場所からやってくる。
ある会社の会議を見学をしたことがあった。
新商品を考える会議で、全員が詰まっていた。
数字もトレンドも、競合調査も出そろってるのに、なぜかみんなの心が動かない感じ。
そのとき、ひとりのスタッフが、ふと旅先で見た、昔ながらの金物屋の話をし出した。
「棚の並びがバラバラなのに、すごく心地よくて…」
そこから話が広がって、「統一しないデザインって、逆に惹かれるよね」という流れになり、結果、あえてバラバラなパッケージデザインがいいんじゃない、ってことになった。
それが予想以上に、売れた。
一見ムダ話。でも、それが種だった。
ムダを排除すると、効率は上がる。でも、想像力は痩せていく。
ムダを受け入れると、遠回りになる。でも、思いがけない発見と、豊かさが育っていく。
ムダって、まだ芽がでていない種だと思うのですよ「。
あなたの会社の未来の資産なんだと捉えてみようよ。
・・・・・
回り道の途中で見た景色が、
いちばん記憶に残っていた。
正解は、いつも近道の先にはない。
ムダのように見える時間が、
いちばん種を持っている。
#遊びのチカラ
「無駄」を愛し、新しいひらめきを育てるためのQ&A
Q1:仕事も人生も「効率とスピード」が重視される時代に、どうしても追いつけなくて焦ってしまう時はどう考えたらいいですか?
A: 焦らなくて、大丈夫ですよ。効率を追い求めると確かに作業は早くなりますが、同時に僕たちの「想像力」や「心のしなやかさ」は少しずつ痩せていってしまいます。近道ばかりを走っていると見落としてしまう大切な景色が、世の中にはたくさんあります。立ち止まったり、遠回りしたりしているその時間こそが、あなただけの豊かな感性を育ててくれている最中なのです。
Q2:一見ビジネスには関係のない「無駄な時間」や「無駄話」って、本当に意味があるのでしょうか?
A: 大いに意味があります。一見無駄に見える時間や雑談は、まだ芽が出ていない「アイデアの種」そのものです。数字やトレンド分析といった正解のデータからは、みんなと同じ答えしか出てきません。ふと思い出した旅先の景色や、誰かのふとした無駄話の中にこそ、人の心を動かす本当に面白い発想が隠れています。無駄を楽しめる余白があるからこそ、思いがけないひらめきが生まれるのです。
Q3:神保町の古書店街のように「用もないのに、つい立ち寄ってしまう場所」の魅力って何だと思いますか?
A: 単に「モノを買う」ためではなく、「自分の心を楽しませ、ゆるめるため」に存在していることです。整然と効率化された場所よりも、ちょっと雑多で人間くさく、手書きのPOPがあるような場所の方が、なぜか人は落ち着きます。「何かいい出会いがあるかも」という宝探しのワクワク感や、ゆったりとした時間の流れを感じること。そんな場所や時間が、現代の私たちには絶対に必要なのです。
Q4:職場の会議がどんより重く、面白いアイデアが出なくなってしまった時はどうすればいいですか?
A: 一度「成果を出そう」「正しい答えを出そう」とするのをやめて、チームの空気を「ゆるめる」ことから始めてみてください。温泉に入って映画を観たり、散歩をしながらとりとめのない雑談をしたりするような、一見「遊んでいるだけ」に見える時間が、実はチームの緊張をほぐす一番の近道です。心がゆるんだ時にポロリとこぼれ出た言葉の中にこそ、次の時代を作る最強のヒントが眠っています。
Q5:今日から自分のビジネスや暮らしに「無駄」を優しく取り入れるには、どんな一歩を踏み出せばいいでしょうか?
A: まずは「こんなことをしていて何になるんだろう?」と思うような、人に説明できない時間を自分に許してあげてください。予定をギッチリ詰め込まず、空白の時間を作ること。いつもと違う道を通ってみること。役に立つかどうかわからない本をめくってみること。「無駄=未来の資産」です。回り道の途中で見つけたその景色が、いつかあなただけの大きな強みになって花開きますよ。
「今日、ちょっと遠回りして帰ってみようかな」
「会議の冒頭に、どうでもいい無駄話から始めてみようかな」と、小さなアクションを起こしてほしいな。
藤村 正宏
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