体験や関係性のない広告の末路 香水だけのデートは失敗する

広告はゴールではない

香水だけのデート。
記憶に残ったのは、その香りだけ。
待ち合わせのとき、ふわっと良い香りが漂えば、相手は思わず振り向きます。
第一印象としては、とても効果的。

でも、香水の香りがどんなに素敵でも、それだけではデートは成り立ちません。
食事をしても会話が弾まない。
相手のことを聞こうとしない。
自分のことばかり話す。
そんな時間が続けば、次のデートはないですよね。

広告も同じです。
いくら洗練されたキャッチコピーや、美しいビジュアルを用意しても、その先にある体験や関係性が伴わなければ、一瞬で忘れられます。
お客さんは、香りに引き寄せられることはあっても、それだけで長く関わろうとは思いません。

逆に、香水の香りがほのかに残る中で、楽しい会話や心地よい時間があれば、その香りは記憶の中に特別な意味を持ちます。
同じ香りを別の場所でかいだときに「あの人との時間」を思い出すように、広告も体験と結びついてこそ価値を持つのです。

だから、広告は入口であってゴールではありません。
広告を見て訪れてくれたお客さんに、どんな時間を過ごしてもらうのか。
何を感じて帰ってもらうのか。
そこまで考えてこそ、広告は生きます。

香水だけのデートは、一瞬の魅力はあっても続きません。
香りの奥にある「一緒に過ごす時間」こそが、人を惹きつけ、また会いたいと思わせます。

広告もまた、その先に続く物語を用意してこそ、本当に意味を持つのです。

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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