
検索しても見つからないもの
知りたいことがあったら、スマートフォンを取り出せばいい。
数秒もあれば、世界中の知識にたどり着ける。
昔なら本を何冊も読んで調べたことも、今は検索すればすぐに答えが出てくる。
便利な時代だよね〜
そうなると、頭の中にどれだけ知識を詰め込んでいるかは、以前ほど大きな価値ではなくなっていくのかもしれない。
覚えていなくても、必要なときに調べればいい。
知識は、スマートフォンの向こうにいくらでもある。
でも、検索しても見つからないものがある。
それは、自分の身体に刻まれた記憶。
旅先で、誰かと一緒に見た朝焼け。
空の色や冷たい空気まで、今でも思い出せるような景色。
失敗して途方に暮れた夜に食べたラーメンの味。
仲間と夜通し語り合って、何がおかしかったのか忘れてしまったのに、笑い転げたことだけは覚えている時間。
そういう記憶って、ただの情報ではないよね。
匂いや音、そのときの気持ちと一緒に、自分の中に残っていく。
あとから何度も思い出すたびに、少しずつ自分の一部になっていく。
これは、商いにも言えること。
お客様に商品やサービスの知識を伝えることは大切です。
でも、知識を伝えただけで心に残るとは限らない。
どんな説明を聞いたかは忘れてしまっても、「あのとき、あの人と一緒に過ごした時間は楽しかったな」と覚えていることはある。
お客様の頭に知識を残すだけではなく、心に温かい記憶を残す。
商品を買ってもらうことだけを考えるのではなく、その商品やサービスを通して、どんな時間を過ごしてもらえるのかを考えてみる。
誰と出会い、何を感じ、どんな記憶を持ち帰ってもらえるのか。
これからの商いは、知識を競う頭の商売から、記憶を一緒につくる心の商いへと変わっていくのだと思うんだよね。
検索すればすぐに見つかる知識より、何年たってもふと思い出す記憶を。
そんな記憶を、縁がある人と一緒につくっていきたいですね。
藤村 正宏
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