フォロワー100万人より、あなたを信頼する1000人。世界のマーケティングが変わり始めた。

フォロワー100万人より、あなたを信頼する1000人。

SNSでフォロワーを増やすことに、一生懸命になっていないだろうか。

「どうしたらフォロワーが1万人になりますか?」
「再生回数を増やすには、どうしたらいいですか?」
「バズる投稿のコツを教えてください」

僕も、そんな質問をよく受けます。
もちろん、フォロワーが増えることは悪いことじゃない。再生回数が多いのも、素晴らしいことです。でもね、ちょっと考えてみてほしいんです。

フォロワーが増えることが、あなたのビジネスの目的でしたっけ?

たぶん、違いますよね。そんなことを改めて考えさせてくれる、面白いニュースがありました。

世界の先進企業が、フォロワー数よりも重視し始めたこと。

2026年10月、アメリカの経済メディア『Business Insider』が、「革新的なインフルエンサーマーケター14人」という特集を掲載しました。

その中で紹介されていた、アメリカの靴ブランド「Rothy’s(ロシーズ)」の取り組みが、すごく面白かったんです。
この会社は、SNSで有名なインフルエンサーと組むだけではなく、Substackというニュースレター配信サービスで活動する書き手たちとの協業を進めています。

Substackは、書き手が自分の読者に向けて、文章や情報を継続的に届けるサービスです。そこで大切なのは、単純なフォロワー数ではありません。
その人の文章を、どんな人が読んでいるのか。どんな思いに共感しているのか。どのくらい信頼されているのか。そういう関係性なんです。

例えばRothy’sは、Substackの書き手と協力して、ニューヨークの店舗でヴィンテージ商品の販売イベントを開催しました。
すると、200人以上がイベントに参加。店舗への来店者数は75%増加したそうです。

もちろん、これは企業側が公表した事例の数字なので、すべての企業で同じ成果が出るという話ではありません。
でも、ここで注目したいのは数字そのものではないんです。

一人の書き手と読者の関係性が、リアルなお店に人を動かした。

ここが、すごく重要なんです。

「誰から買うか」が、ますます重要になっている。

このニュースを読んで、僕は思わず笑ってしまいました。
「ああ、世界もようやく、こっちに来たんだな」って。

僕はエクスペリエンス・マーケティング、略してエクスマという考え方を、20年以上伝えてきました。
その中で、ずっと大切にしていることがあります。

「何を買うか」より「誰から買うか」が重要になる。

ということです。

例えば、同じコーヒー豆を売っているお店が二つあったとします。一つは、価格が安くて、品揃えも豊富なお店。もう一つは、ちょっと高いけど、店主がコーヒー好きで、いつも面白い話をしてくれるお店。

どちらで買うでしょう。
もちろん、安いお店を選ぶ人もいるでしょう。
でも、店主のことが好きで、その人のおすすめするコーヒーを飲みたいと思う人もいる。
その人にとっては、単にコーヒー豆を買っているわけじゃないんです。
店主との会話や、その人が選んでくれたという体験も含めて買っている。
だから、少しくらい高くても、またそのお店へ行く。

これが関係性のマーケティングです。

商品だけで比較されると、どうしても価格競争になりやすい。
でも、人と人との関係性があると、選ばれる理由が変わってくるんです。

フォロワー100万人より、あなたを信頼する1000人。

ちょっと極端な例を考えてみましょう。
フォロワーが100万人いるインフルエンサーがいます。
投稿すると、何十万回も再生される。
でも、その人が紹介する商品を、誰も信用していなかったらどうでしょう。

「どうせ広告でしょ」
「お金をもらって紹介しているんでしょ」

そんなふうに思われていたら、なかなか購買にはつながらないかもしれません。

一方、フォロワーが1000人しかいない人がいます。
でも、その1000人は、その人の考え方が好きで、いつも投稿を楽しみにしている。
その人が、「このお店、すごくいいんだよ。店主が面白くて、料理もおいしいから、一度行ってみて」と紹介したらどうでしょう。

「へえ、そんなにいいなら行ってみようかな」

と思う人がいるはずです。

もちろん、フォロワーが多くて、信頼も厚い人だっています。
だから、フォロワー数が多いことが悪いわけじゃありません。
大切なのは、数字の向こう側に、どんな人間関係があるのか。ということなんです。

100万人に知られていることと、1000人に信頼されていること。これは、まったく違う価値なんですよね。

SNSは、売り込む場所じゃない。関係性を育てる場所なんです。

僕は以前から、SNSは売り込みの道具ではないと言ってきました。
もちろん、商品を紹介してもいい。イベントの告知をしてもいい。でも、そればかりになってしまうと、どうでしょう。

毎日毎日、「新商品が出ました!」「キャンペーン開催中!」「今なら20%OFF!」「ぜひお買い求めください!」
そんな投稿ばかりだったら、ちょっとうんざりしませんか。

友達から毎日、商品の宣伝ばかり届いたら、距離を置きたくなりますよね。

SNSも同じです。
僕が大切だと思うのは、その人のことが伝わる発信です。
どんなことが好きなのか。何に感動したのか。どんなことを面白がっているのか。どんな失敗をしたのか。何を大切にして仕事をしているのか。
そういうことを発信していると、少しずつ人柄が伝わっていきます。

そして、「この人、なんだか面白いな」「考え方が好きだな」「一度会ってみたいな」という人が現れる。その関係性が、やがて仕事につながることがあるんです。

すぐに売上にならなくてもいい。まずは、好きになってもらうこと。知ってもらうこと。信頼してもらうこと。

売上は、関係性の結果として生まれる。

僕は、そう思うんだよね。

ネットのつながりが、リアルな体験になる。

今回のRothy’sの事例でもう一つ面白かったのは、オンラインの関係性が、リアルなお店への来店につながったことです。
ニュースレターを読む。書き手の考え方に共感する。その人が紹介するイベントに興味を持つ。そして、実際にお店へ行く。

これ、SNSの理想的な使い方の一つだと思います。
SNSの中だけで完結しないんです。
リアルな場所で、実際に会う。商品を手に取る。会話をする。新しい体験をする。その体験が楽しかったら、またSNSで発信する。すると、新しい人とのつながりが生まれる。

そんな循環ができていく。

観光業で考えてみましょう。
例えば、ホテルのスタッフがSNSで発信する。
ホテルの設備だけではなく、自分の好きな場所や、仕事への思い、地元の面白い話を紹介する。その投稿を見た人が、「このスタッフさん、面白いな」と思う。

そして、実際にホテルへ行く。
「あの動画に出ていた方ですよね!」と声をかける。

そこから会話が始まる。その人にとって、ホテルは単なる宿泊施設ではなくなるんです。

会いたい人がいる場所になる。

これって、すごい価値だと思いませんか。
実際に僕のクライアント、鶴雅グループでは、よくあることです。

AI時代だからこそ、関係性が価値になる。

そして、もう一つ。このニュースを、AIの進化と重ねて考えてみた。

今、AIはどんどん賢くなっています。
商品の比較もできる。口コミも分析できる。旅行先も推薦できる。SNSの投稿文も、動画のシナリオも作れる。
これから、情報をつくること自体は、ますます簡単になっていくでしょう。

でもね。

情報が増えれば増えるほど、人は迷うようになると思うんです。
何を信じたらいいのか。どれを選んだらいいのか。誰の言葉を参考にしたらいいのか。そんなとき、最後に頼りになるのは何でしょう。
僕は、信頼している人の言葉だと思います。

「この人が言うなら、間違いないだろう」
「この人の感性が好きだから、試してみよう」

そんな関係性です。
AIがどれだけ優秀になっても、長い時間をかけて育てた人と人との信頼関係には、独自の価値があります。
むしろ、AIによって情報が大量につくられるようになるほど、誰が発信しているのかが重要になる。

だから、AI時代のマーケティングでは、人間らしさをもっと大切にしたいんです。

完璧な文章じゃなくてもいい。ちょっと不器用でもいい。失敗談があってもいい。自分の好きなことを、楽しそうに話している。そんな発信に、人は惹かれるんじゃないかな。

世界がようやく、エクスマに近づいてきた。

今回のBusiness Insiderの記事を読んで、改めて思いました。
マーケティングの世界は、ずいぶん変わってきました。

以前は、いかに多くの人に広告を届けるか。いかに多くの人に商品を知ってもらうか。そんな考え方が中心でした。
でも今は、少しずつ変わってきている。

誰が紹介するのか。どんな関係性があるのか。どれだけ信頼されているのか。そして、そのつながりが、どんなリアルな体験を生み出すのか。
そういうことが注目され始めています。

もちろん、世界中の企業が一斉に考え方を変えたわけではありません。
でも、今回のような事例を見ると、関係性の価値が改めて評価されていることを感じます。
エクスマでは、ずっと言ってきました。

モノを売るな、体験を売れ。
何を買うかより、誰から買うか。
SNSは売り込む場所ではなく、関係性を育てる場所。

それが、AI時代になって、ますます重要になっている。
だから、フォロワー数ばかりを気にする必要はないと思うんです。
もちろん、増えたら嬉しいですよ。僕だって嬉しいです(笑)。でも、それ以上に大切なのは、

あなたの投稿を楽しみにしている人が、何人いるか。
あなたのことを信頼している人が、何人いるか。
あなたに会いたいと思っている人が、何人いるか。

そこに目を向けてみる。
フォロワーを増やすことより、ファンを増やすこと。
ファンを増やすことより、関係性を深めること。
そんなマーケティングが、これからますます面白くなっていくと思います。

AIが賢くなるほど、人間はもっと人間らしく。

そして、ビジネスはもっと楽しく。
遊ばざるもの、働くべからず。


参考記事:Business Insider「2026年、革新的なインフルエンサーマーケター14人」

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北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」
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