村上春樹さん惜しい!またノーベル賞を逃す

村上春樹さんを超有名にした作品「ノルウェイの森」

ここ数年、ノーベル文学賞の候補に、村上春樹さんが選ばれていますね。
今年も候補といわれていましたが、残念ながら受賞しませんでした。
川端康成、大江健三郎に次いで、3人目と期待されていたんですけどね。

ノーベル賞の候補になるには、英語に訳されているってことが、けっこう重要なんですって。
最近では、多言語の作品を対象にしていると、ノーベル財団は言っているそうですけど、やっぱり英語に翻訳されている作品が選ばれている傾向。
村上春樹さんの小説はたくさん英訳されています。
でもね、だいたい村上春樹さんの作品を、日本語で読んでいる選考委員がいるのかな。
あまりいないのかもな。
日本語って難しいし、ハイコンテクストですからね。
でも本当の意味で作品を理解できないんじゃないかなって思う。

ボクは初期の3部作。
「風」と「ピンボール」と「羊」が好きですけど、なんといっても村上春樹という作家を決定的に有名にした作品といえば「ノルウェイの森」です。

カバーデザインが斬新だった 村上さんが自分でデザインしたそうです

カバーデザインが斬新だった
村上さんが自分でデザインしたそうです

小説の中で、主人公が飛行機に乗ると、BGMにビートルズの「ノルウェイの森」が流れている。
そこから回想が始まる、という設定です。
もしかすると、あの小説がなかったら、村上春樹の今の小説もなかったかもしれない。
あっても、今とはちがう読まれかたをしていたかもしれません。
それくらい、インパクトのある小説だったわけです。

「ノルウェイの森」は最初「ノルウェイの家具」だった

ビートルズの「ラバーソール」というアルバムに入っている「ノルウェイの森」(原題:Norwegian Wood)。
このビートルズの楽曲「ノルウェイの森」の歌詞は不思議な歌詞です。
実は、森とは全然関係ないのです。
ジョン・レノンが作った曲です。
歌詞の内容を解説しますね。

————————–
ジョン・レノンがマリファナか何かを吸って町でふらふらしていたとき、女の子に逆ナンされます。
逆ナンパされたよ、わーい、とか言って、きれいな女の子の家に行きます。
その家でお酒なんか飲んでいるうちに、絶対に彼女とエッチできるなと思っていたら、

「私、明日仕事があるから先に寝るね」と言って、彼女は寝室に入ってしまう。
「なんだよ」。
仕方なく俺はバスルームで寝た。
朝起きてみたら、女の子は居なくなっちゃっていて、暖炉に火がともっていた。
————————–

それだけの歌なんです。
わけわからない…(笑)
ジョン・レノンがちょっとラリッているときに作った曲らしい。
歌詞の中に「Norwegian Wood」という言葉が出てくるんだけど、それは北欧(ノルウェイ製)の家具、という意味らしいです。
「森」だったら「Wood」じゃなくて、「Woods」と複数形になるか、「The Wood」となっていなくちゃいけない。
だから、ノルウェイの家具、いう意味だというのが、多くの人が言っていること。
彼女の家に行くと、彼女は「このノルウェイ製の家具、いいでしょう?」って言う。

ビートルズの曲名を最初に邦訳した人が、「ノルウェイの家具」だとおしゃれじゃないので、意図的に「ノルウェイの森」というタイトルにしたそうです。
それがタイトルになっているんですね。
でも、もしも「ノルウェイの家具」という曲名だったら、村上春樹はあんな小説は書かなかったと思う。
百歩譲って書いたとしても、「ノルウェイの家具」というタイトルの小説だったら、100万部以上売れるベストセラーにならなかったと思う。
本来とちがう日本語訳の曲「ノルウェイの森」という曲が有名になり、「ノルウェイの森」というすばらしい小説が生まれ、さらにノーベル賞候補の作家にまでなる。

ひとつの意図的な価値のつけ方から、すばらしい価値がつくられていったわけです。
ジョン・レノンは天国で、「そんなことになっているのか~」という感じですよね、たぶん。
「ホントは、ノルウェイの家具だよ」って思ってるかもしれません。

「ノルウェイの家具」と「ノルウェイの森」では、伝わり方が全く違う。

ちょっとしたことで、価値がより輝いたり、商品の良さが伝わりやすくなったりする。
そのきっかけというのは、実はほんのささいなことなのかもしれません。
みんなそれに気づいていないってこと。
「常識に縛られたり」
「思考の枠を外せなかったり」
「日常的な目先のことばかりとらわれている」
と大切なことを見失ってしまう。

ノーベル文学賞のニュースを見ていて、考えていたのは、概ねそんなことだった。

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藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

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