
高度な情報のカスタマイズが「分断」を生む|現代人は一人一人別の世界を生きているようだ
ネットの情報が多くなると、自分の好みにカスタマイズされた情報が多くなります。検索でもSNSでも、コンピューターに計算された結果を見ているわけです。親友の2人がGoogleで検索しても、人によって結果が違う。それは、人によって異なる現実、事実があるってこと。そんな状況で過ごしていると、皆が自分に同意してくれると勘違いする。同じ意見しか見ないから、そんな情報の中にに陥れば、簡単に騙される人間になってしまう恐れがある。もしかすると、世界の真実に気づかずに、強いられた現実を受け入れているかもしれないのです。アメリカ大統領選を見ていると、情報の偏りの怖さがわかります。トランプ大統領を支持している人たちは、バイデン陣営が選挙を不正にコントロールしていると信じ切って、議事堂を破壊することまでやってしまう。大統領選は民主党が仕掛けた陰謀がある、という現実を生きているのです。それは彼らにとっては真実なわけです。今回のコロナウイルスでもありますよね。「風邪程度のことだから、恐れなくてもいい」ということを信じている人。「致死率はインフルエンザの14倍、症状がない若者でも感染したら後遺症が残る」という人もいる。そして、自分と違う考え方をしている人とは仲良くしなくなる。さらにまた、自分の主義を裏付けるような情報を探していく。結果、社会はどんどん分断していくのです。自分の価値観と違うこと。見たくない情報。世の中の多様性。そういった情報に触れることがとても大事なことなんだと思う。そして、自分の主義主張を押し通さないこと。「オレの言うことが絶対!」などと言ってる人の周りは、人工知能の奴隷になったような人しか集まってこないのです。偏らない情報を見て、自分の頭で考え、発言して行動することが大事なことなのです。そのために自分を客観視できる情報やリベラルアーツ(教養とも言う)にも触れることなんです。そうすると、自分が生きていた世界の狭さから、自分の思い込みから、自由に解放されるのです。