まったく売れない商品だったのに、売れた!

買う理由を教えてあげること

小売店の場合、商品の価値を伝えるというのは、POPです。
ポイント・オブ・パーチャス=購買時点広告。
もっとカンタンに言うと「売場広告」ですね。
POPはお客さまに買う理由を教えてあげる道具なんです。
プライスカードとは、役割がまったく違うってこと。
もしあなたがPOPとプライスカードを同じものだと思っているとしたら、これから商売はますます難しくなるでしょう。

POPは使い方で、すごい効果があります。
コンサルしている、北海道の観光ホテルの売店での実績です。
1階にお土産を売っている売店があります。
ここの売上をあげるために、「POP大作戦」というのをやりました。
売店に関わるスタッフ全員を会議室に集めて、自分の好きなお土産の商品、自分の好きなお菓子に、何故好きかを書いたPOPをつけたんです。
小さい紙に手書きで。

字は汚くてもどんなのでも良いから、ともかく読めれば良いからということで。
「ともかくたくさんつけてください」
「気が狂うほど、大量につけてください」
「社長が驚くほど、たくさんつけてください」
ともかく目的としては、大量のPOPをつけてみる。
みんな必死に書きました。
スタッフはかなりたくさんつけたと思っていたのですが、売場で見るとそうでもないんですね。

そこで、もう少しつけようということになって、「売りにくい商品」「説明がむずかしい商品」を会議室にもってきて、グループワークをしました。
たとえば売りにくい商品だったら、それを売るために、その価値を伝えるために、どういうPOPをつけたらいいかを、グループで考えます。

ちょっと困った顔して、ある商品をもってきたパートの女性スタッフがいました。
その方は50歳くらの主婦の方です。
「これ、菊池店長が仕入れて、あたしが担当なんですけど、今まで一個も売れていないんです。」とのこと。
ビニールに白い板状の物体が入っていて、その横に丸棒が入っています。
なんだかよくわからない商品。
「何ですか、これ」って聞くと、「実はこれ手打ちうどんなんです」って。

いったいこの商品はなんだ?

いったいこの商品はなんだ?

白い板状のものがうどんの塊。
それを附属の麺棒でひたすら薄くなるまで伸ばして、自分で手打ちするうどんです。
これは売れないって思った。
だって、うどんということがまったくわからない。

でも一応担当の女性がどう思っているのかなって思って、聞いてみたんです。
「これどうして売れないと思います?」
「だって先生、こんなのお土産に買って行ったら、奥さんにしかられますよ」って。
「すごく手間がかかるんですよ。こんなのお土産に買っていったら、奥さんがカンカンになって怒りますよ。『あなた、何考えてこんなの買ってきたの。またあたしの仕事増やす気!?』って」
面白い視点だなって思った。
「それじゃあ、それをそのままPOPに書きましょう」
ということで

“これを買って行くと、絶対に、奥さんにしかられます”
と書きました。そして、小さく
“どうしてかというろ手間がかかるからです。でも手間のかかるものは基本的に美味しいんです。手打ちうどんセット860円”
と書いた。

売れたPOPです

売れたPOPです

その日の午後5時にPOPを設置して、午後10時までの間に、5つ売れました。
今まで1個も売れなかった商品です。
POPというのは、こんなふうに今までひとつも売らなかった商品だって売れるようにすることができる。

世の中には売れる商品があるのではなく、売れる売り方があるだけなんです。
その商品を「買う理由」を教えてあげなければなりません。
買う理由をおしえてあげる道具がPOPなんです。

もうひとつはバターの例です。

その売店の商品の中で、キレイなパッケージのバターがあったんです。
「これキレイなパッケージですね」と手にとったら、若い女性のスタッフが、
「あっ、それタレントの○○さんの牧場で取れたバターなんですよっ!」
って、うれしそうに言ったんです。

しかし、そのことはPOPでは全然ふれられてなかったんです。
その女性が四六時中そのバターの前に立っていて、お客さんが来るたびに、そういう説明をするんだったらいいですよ。
でもそういうわけにはいきませんよね。
非常にもったいない。
もちろんすぐにPOPを書きました、書いてみるとそれがやっぱり売れるわけです。

「POP大作戦」は成功しました。
結果を言うと、POPを設置することを研修しながら継続することで、2年後には3億円だった売上が、5億円になりました。

何か特別なことをやったわけじゃありません。
スタッフがPOPをつけただけです。
売場面積も変わらず、従業員の数も変わらず、売上が2億も増えた。
ね、POPつけなきゃ損でしょ?

人が説明すると売込み、紙だと役立つ情報になる。

何故POPが重要なのかというとですね。
ほとんどの人が売場で購買を決定してるからです。
「消費者の86.5%が店頭で購買を決定している」
というデータがある。
最近、スーパーやコンビニで売っている商品のネーミングにも現れています。

「じっくりコトコト煮込んだスープ」
「甘栗むいちゃいました」
「電子レンジでチンしてふくだけ」
「髪の毛集めてポイ」

等々、長い商品名のモノが売れています。
ネーミングで、中身がどういうものなのか語り尽くしている。
どういう商品なのか、わかりやすくなっている。
これだって「消費者の86.5%が店頭で購買を決定している」というデータを元に、パッケージでセールスしているわけです。
商品そのものが自分で広告しているってことです。
それだけ売場での広告が重要ってことです。

ということは、POPがとても重要だということになるわけです。

POPは重要な店頭での情報発信ツールです。
POPの書き方で売上が大幅に変わることもあるのです。
POPを見て、お客が購買を決定することは珍しくありません。
POPは、本来の目的ではないモノを欲しいと思わせることができます。

これはもう、優秀な営業マンが店にいて、商品をすすめている状態です。
人間がおすすめするとそれは「売込み」になります。
でも、POPだとそれは「役立つ情報」になる。
売上に貢献するのは明らかですよね。

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藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

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