アート思考 ビジネスとアート思考:【第5話】タヒチへ逃げた銀行員が、本当に描きたかったもの
もし、あなたが誰もが羨むような安定したキャリアと収入を手に入れていたとしたら、それをすべて投げ捨てて、先の見えない夢に飛び込むことができるでしょうか。19世紀後半のパリ。まさにその決断を下し、人生をまるごとひっくり返してしまった男がいました。ポール・ゴーギャンです。実は、ゴーギャンは最初から画家だったわけではありません。彼はパリの証券取引所で働く、非常に優秀な株式仲買人(今でいう金融エリートのバンカー)でした。高給を稼ぎ、美しい妻と5人の子どもに恵まれ、ブルジョワ階層としての豊かで何不自由ない暮らしを送っていたのです。日曜日に趣味で絵筆を握り、印象派の絵画を買い集める「裕福なコレクター兼アマチュア画家」。それが30代半ばまでの彼の姿でした。