
「神の見えざる手」が見えなくなった日
「もっと早く、もっとたくさん」が止まらない。いま、資本主義っていう仕組みが、ガタガタしてる。どうしてかっていうと──「短期で儲けること」だけが、評価されるようになったからです。たとえば、銀行。お金を貸すとき、返してもらえるかどうかで判断する。それはもちろん当然なんだけど、「今すぐ儲かりそうな会社」にしか貸さない。投資家もそう。株を買って、値上がりしたらすぐ売って利益を得たい。だから、派手な成長を見せる会社が好まれる。つまり、企業もどんどん「短距離走型」になっていくんです。長くてゆるやかな未来より、今すぐの数字。──50年後、世界の食糧危機を救うかもしれない技術?残念ながら、いま儲からないから投資はナシ。その結果、どうなったか。・環境を破壊してでも、早く稼げる工場を建てる。・労働者を安くこき使って、数字をつくる。・モノが売れるように、大げさな広告を流しまくる。・「必要ないかも」と思わせないくらいの熱量で、欲望を煽る。「売れたら勝ち」みたいな空気が、あちこちに広がって、しまいには、粉飾決算とか、安かろう悪かろうの商品とかまで平気で出てくる。