ゆくへもしらぬ 恋の道かな
百人一首の46番の曽禰好忠(そねのよしただ)の歌。
由良の戸を
わたる舟人かじをたえ
ゆくえもしらぬ
恋の道かな
「波の高い由良の海峡を渡る舟人が、舟を漕ぐ櫂をなくして漂っているように、私の恋もどうなるのかわからない」
という意味。
もっと短くするとこんな感じ
「この恋はどこにいくの? ゆらゆら揺れて小舟のよう」
流れ着く先もわからず海を漂っている舟人と、先行きのわからない自分の恋の不安を重ね合わせている歌。
情景と心情を合わせて詠んでいる。
好きな歌です
…って、詳しいのか?って言葉が聞こえてきそうですけど、実は百人一首、好きなんですよ。
僕が小学生だった頃、百人一首が流行っていた。(世間的に流行っていたのか、僕の家の関係だけ流行っていたのかは不明)
子どもの頃、お正月に親戚や近所の人たちが集まって、よく百人一首をやりました。
その流れでお正月が終わってからも、ちょくちょくやった。
下の句が書いてある板でできた札を取るのが北海道の百人一首。
上の句を覚え、下の句の字面覚えました。ほとんど覚えたかもしれません。
もちろんこの句の「ゆくえもしらぬ恋の道かな」は今でも憶えている。
小学生だから意味はわからなかったけどね。
カオスな世の中は気分が作っている
僕たちは、今、先行きが不明瞭で、誰も正確な予想はできない「不安定な時代」を生きています。まるで、先行きが見えない恋のような状況です(笑)。
不透明で、不明瞭で、混沌としています。
昔より豊かなはずなのに心が満たされず、衣食住も足りているはずなのに、不安になってしまう。自由なはずなのに、どこか閉塞感がある。ある意味、どんなものでも手に入り、なんでもできるはずなのに、無気力、倦怠感、悲観的。
そんな暗い影が社会を覆い尽くしているのは、どうしてなんだろう。
それは多くの人が、生きる目的や意味を見出せず、生きるエネルギーや生きる力が持てなくなっているんじゃないかな。
今の不明瞭な社会は、そういう人たちの気分が原因じゃないかと思う。
人々の気分が社会を作っている。
これは事実だと思う。
多くの人たちがそう思えば、世の中がそうなる。
そんな時代に必要なのは、「人はなんのために生きるのか」というもっとも基本的な問いなのかもしれません。
その問いに真正面に向き合い、真摯に思考して自分の答えを導き出す。
自分の「哲学」を持つということ。
これが求められている。
そんな根源的で、単純な問いに向き合い、生き方を考えていくことをしない限り、社会はますます混沌になり、ますます不明瞭になって、ものすごく混乱した暗いものになっていく。そんな危機感を持っています。
僕たちが携わっている仕事もそうです。
僕の読者は、ほとんどビジネスに携わっている人たちです。
仕事の本質は何かを悟り、それを第一義の目的として仕事をすること。
今の状況を受け入れ、自分ができること、自分が得意なこと、自分の好きなことで、社会や人々に貢献する。
そんな思考と行動をしましょう。
あなたはなんのために生きているのですか?
この問いに真正面から向き合うことが、激動の渦に流されず、あなたらしい仕合せな人生を歩むために必要なのです。
藤村 正宏
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