「お客さんは、あなたの発信で決まる。」
たとえば、こういう看板を出してるラーメン屋さんがあるとします。
「うちは他店より1円でも安くします! 味?とにかく安いです!」
うん、それを見て入ってくるお客さんって、たぶん「安くてお腹がふくれればいい」って人たち。
つまり、「1円でも安く買いたい」って人が集まってくる。
これはもう、自然の流れです。マーケティングとか難しいこと言わなくても、当たり前のこと。
じゃあ、もしあなたが、「価格よりも、味にこだわってます」とか
「ラーメンに詩心をのせてます」とか、そんな発信を続けていたら?
きっと、「ああ、こだわってるラーメンが食べたい」って人が来てくれる。
つまりね、どんなお客さんが来るかは、あなたが出している言葉次第なんです。
ぼくは、「安売りするな」って、いろんなところで言ってます。
安く売って、たくさん売って、ライバルを潰したいって人は、きっとぼくのところには来ません。
でもね、
「うちは高いけど、理由がある」
「この商品は、大切に育てた娘のようなものだから」
って思ってる人は、話を聞いてくれる。共感してくれる。
たとえば、あるパン屋さんが「うちの小麦は北海道の農家さんと一緒に選んでます」って発信してたら、
「安くてふわふわなパンが食べたい人」より、
「手間ひまかかったパンをじっくり味わいたい人」が来てくれる。
ある美容師さんが「髪型より、あなたの表情を明るくするカットをめざしてます」って書いてたら、
「5分でカットお願いします」って人じゃなくて、
「この人に任せてみたいな」って人が、ドアを開けてくれる。
発信って、そういうもんです。
だからまず、「どんな人と、つながりたいか」をちゃんと考えること。
そして、「どういう人とは、できれば距離を置きたいか」も、正直に考える。
そして、その人たちにちゃんと届く言葉を、投げていく。
はじめから世界中のみんなに好かれようとしなくていい。
むしろ、「この人とは合うなあ」と思える人たちに、ちゃんと伝わる発信の方が、大事。
そんなふうに、毎日コツコツ、自分の言葉で発信していると、
「なんかこの人、いいな」って思ってくれる人が出てくる。
その人たちは、お客さまじゃなくて、“友だちみたいな存在”になる。
そして、その中から「この人から買いたいな」っていう人が、ぽつぽつと出てくるんです。
これはね、ちょっと感動的なことです。
信頼って、いきなり生まれない。
知らない人は、信用できないし。
だからこそ、「情報の量」って、信頼につながってるんです。
つまり、発信を続けること=信頼を貯金すること。
そしてその信頼が、いつのまにか商品やサービスの価値につながっていく。
だから、今日もひとつ投稿しよう。
「このマフィン、ちょっと焼きすぎた。でも、それがちょっとおいしい」
「お客さんが“おまかせで”って言ってくれた。嬉しい朝。」
そんな発信が、誰かの心にすっと届いて、
知らないうちに“いい関係”がはじまってるんです。

藤村 正宏

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