発信の内容で決まるんだ
BtoBの世界って、どうしても「価格」「納期」「機能」で勝負、みたいな空気があるけど、
ほんとはそこだけじゃない。
どの会社と組むか。誰と一緒に仕事sをするか。
そういう“人と人の関係”のほうが、あとあとずっと大事になってくる。
で、そんな「関係性」が、実は発信でつくられていくんです。
BtoBの世界でも、つながりの経済がはじまってるなぁと感じます。
たとえば、あるシステム会社が
「御社の業務効率を30%改善します!」って、バナー広告を出してる。
一見すごそうだけど、それを見て来るのは「効率」や「コスパ」しか見てない会社かもしれない。
でもその会社が、SNSやブログで
「今週はA社さんの倉庫業務を見直しに行ってました。現場の“空気”って、やっぱり机上じゃわからないものです」
みたいなことを書いてたら──
そこには、「この人たちは現場の感覚を大事にしてるんだな」って、伝わる何かがある。
つまり、どんな会社から問い合わせが来るかは、あなたが発信している内容で決まるってことなんです。
価格の話ばかりしていたら、価格だけで動く相手が来る。
でも「誰と仕事したいか」をちゃんと考えて、発信にその思いを込めていたら、
“共感”で選んでくれる取引先が、ちゃんと集まってきます。
たとえばある製造業の会社が、SNSで
「うちは小ロット・多品種が得意です。なぜなら“数より信頼”を大事にしてるから」
って書いていたら、それを見て「大量生産はできなくても、丁寧にやってくれる会社がいいな」って思う企業が来てくれる。
あるコンサル会社が、
「クライアントの業績を上げる前に、まず“社員の表情”を上げる仕事をしています」って投稿していたら、
たぶん“心のある経営”をしてる会社が、「会ってみたいな」って思ってくれる。
町工場の話
東京の下町で、金属加工をやっているある町工場の社長さん。
SNSでこんなことを書いていました。
「最近の若い職人はすごい。僕が20年かかった“音”を、3年で聞き分ける。負けてられません。」
金属を削るときの“音”で、刃物の切れ味を判断する。
そういう話を読んだ企業の設計担当が、思ったんです。
「ここの工場なら、安心してまかせられるかも。」
で、問い合わせが来て、試作をお願いして、最終的には長期の取引へ。
つまり、「音の話」ひとつで、信頼がはじまった。
価格じゃなくて、人間の感性に惹かれて生まれたつながり。
人材育成の会社の例
ある人材育成系の企業が、毎週こんな投稿をしていました。
「“社内の空気”って、ちゃんと見えてますか?
売上よりも先に、“空気”を変えることが、組織変革の第一歩です。」
研修のスケジュールでも、導入事例でもなく、“空気”の話。
それを見て、「うちの会社、ちょっと空気が重いな…」と思ってた中小企業の社長が連絡をくれた。
「正直、売上はそこそこなんですが、社員の表情が暗いんです。相談、乗ってもらえませんか?」
はじまった関係は、まるで“カウンセリング”のような人間的な対話から。
気がつけば、研修だけじゃなく、社内文化そのものの見直しが進んでいた。
これも、発信の力。
発信って、ほんとに侮れない。
BtoBでも人と人
だから、何を発信するかで、「どういう人(会社)と関わるか」が決まってくる。
もちろん、世界中すべての企業を相手にしなくていい。
むしろ、“共通の価値観”を持った数社との信頼関係の方が、ずっと長く続く。
で、ここからが大事なところなんですが──
その“信頼”って、一夜にしては生まれない。
「この会社、よくわからないなあ」って思われたら、BtoBの商談は進みません。
つまり、情報の“量”と“継続”が、信用をつくるんです。
毎週、ブログで考えを書いてみる。
現場の空気や、チームの会話や、お客様とのやりとりを発信してみる。
ときどき社長のぼやきでもいい。
「また新しい機械を入れました。思いきって買ったけど、ちょっとビビってます。」
とか、そんな人間味のある投稿に、誰かが「この会社、正直でいいな」って思ってくれるかもしれない。
気づいたときには、「問い合わせ」じゃなくて「応援」が届いている。
「今度ぜひ、相談させてください」って。
そうやって、“値段で選ばれる”んじゃなくて、“人で選ばれる”関係ができていく。
それって、ちょっと素敵じゃないですか?

藤村 正宏

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