
釧路市湿原展望台
『釧路市湿原展望台』と『釧路市博物館』
昨日、鶴雅グループの『つるがチャンネル』の撮影のため、釧路市の『釧路市湿原展望台』と『釧路市博物館』に行ってきました。
釧路市が生んだ建築界の鬼才、毛綱毅曠(もづな きこう)さんが設計した、有名な建築です。(毛綱さんは、僕の高校の先輩でもあります。)
この2つの建築は同時期に完成し、日本建築学会賞を受賞したペア作品として有名。
僕も何度も訪れています。
毛綱さんは、日本の建築界において「異端」でありながら「正統」な宇宙観を持った、極めてユニークな建築家です。世界的な評価も高い、著名な人。
建築という「宇宙」
毛綱さんの建築を理解するためのキーワードは、「宇宙論」と言われています。
建築を「人間の身体と宇宙を繋ぐもの」と捉え、視覚的に強烈なインパクトを与えるデザインを数多く残しました。
1970年代に、機能性を最優先する近代建築へのアンチテーゼとして、記憶や物語、象徴性を重視する「ポストモダン」の旗手となりました。
代表作の多くは、僕の故郷、霧の街・釧路に集中しています。釧路の厳しい自然や湿原の風景を、独自の解釈で建築に落とし込んだように思える。
釧路市湿原展望台:湿原と人間をつなぐ「風景のレンズ」
広大な釧路湿原の縁に建つこの展望台は、中世の城郭のようにも見えます。
その根底には釧路特有の自然環境が深く関わっている。

外観:湿原の妖精「ヤチボウズ」
最大の特徴は、湿原に群生するスゲの根が冬の凍上によって持ち上げられてできる「ヤチボウズ(谷地坊主)」に着想を得ているそうです。
湿原のスケールに対抗するような重厚なレンガ造りの外観でありながら、同時に「広大な湿原の海に浮かぶ船」のように見える。
内部:光と闇をコントロールする「洞窟」
外観の直線的・量塊的な印象とは裏腹に、内部にはエレガントな曲線が多用された、洞窟のような空間が広がっています。
屋上から広大なパノラマを目にする前に、一度来館者を薄暗く包み込まれるような空間に引き込むための仕掛けのように思えるんです。
視界と光が制限された内部を歩くことで、身体のスケール感がリセットされ、展望室へ出た瞬間に、湿原の圧倒的な「広がり」をより強烈に感じ取れるよう設計されているように思える。
昨日は残念ながら、霧に包まれて湿原は全く見えなかったけどね。

釧路市立博物館:生命の記憶をたどる空間
春採湖(はるとりこ)を見下ろす高台に建つ博物館は、単なる展示品の「器」ではなく、建物全体が壮大な生命の物語を語る装置のようです。
外観:「抱卵するタンチョウ」と「大地の起伏」
左右対称のダイナミックな外観は、釧路の象徴であるタンチョウが翼を大きく広げ、雛鳥(または卵)を抱き守っている姿を表現しているそうです。

内部:「二重らせん」がもたらす回遊体験
館内で最も特徴的なのが、各フロアをつなぐ「二重らせん階段」。これは生命の根本であるDNAの構造なんだろうと思う。
来館者はこのらせんを上り下りすることで、太古から現代へ至る時間の流れを擬似的に体感する建築になっています。
吹き抜けがあることで、別の階の気配(視覚や音)を感じ取ることができる。
展示をただ眺めるのではなく、空間全体を一つの連続した「体験の場」として味わえるんですね。

釧路でのアドベンチャートラベル(知的冒険)
この2つの建築。ただ風景の中に置かれた造形物ではなく、釧路のスケールや気候、生態系の気配を、訪れた人の身体感覚へ染み込ませる、そんな装置になっている。
釧路に来た時には、ぜひこの2つの建築を体験してもらいたいなって、思うのです。
博物館の「らせんを歩く視線の変化」や、展望台の「洞窟のような内部から光へ抜ける瞬間の感覚」など、この建築の「空間の物語」に身を委ねてみてください。
アドベンチャートラベルは、体を動かすことだけじゃありません。
知的な冒険も「アドベンチャートラベル」なのです。
藤村 正宏
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