飲食店のメニューブック、作り方で売上があがる!

レストランに行ったら、おすすめのメニューを聞いてみよう

レストランでPOPの役割をするのは「メニュー」です。
メニューも、「体験」を売る視点で書くと、強力なセールス・ツールになります。
初めて行ったレストランで、メニューを見ながらこう質問したことありませんか?

「ここのお店のオススメ料理は何ですか?」

あるでしょ?
もしなければ今度質問してみてください。
ウェイターやウェイトレスがすぐに答えられたら、そこはよい店です。
逆に答えられなかったり、「ウチはすべての料理がオススメです」なんて答えが返ってきたりしたら、そのお店はあまり期待しないほうがいいでしょう。

すべてがオススメなんていう店は個性がなく、料理だって個性のない平均的な、そこじゃなくてもどこで食べても一緒のレストランだからです。
確かにお店としてはすべての料理をおすすめしたいというのはわかります。
すべての料理を丁寧に心を込めてつくっているでしょう。
でも、そういいたい場合も、言い方にちょっとした工夫をするかどうかで、ちがいが出てくるのです。

オフシーズンの、あるリゾートホテルのレストランでした体験。
何がオススメですかというボクの質問に白髪のウェイターが、こう答えました。

「ウチはすべての料理がオススメですが、特にまぐれ鴨のグリルやシーザーサラダなどは、お客さまに評判がよろしいようです。でもお客さま、今日は今朝穫れた天然物のヒメマスがあるのですが、それをお好みの調理でお出しできますが……」

これはもう、頼んじゃうでしょう。

実際ボクもそのとき、ヒメマスのグリルをメインディッシュで頼みました。
おまけにシーザーサラダもオーダーしたのはいうまでもありません。
メニューの書き方を工夫するということは、これと同じことなのです。

ん? わからない?

これはどういうことかというと、もしあなたのお店に、こういう会話のできるステキな白髪のウェイターがいなければ、その人の代わりをメニューにしてもらうということです。

お客さまの大半は、何を食べるか決めていない人で、どれにしようか迷っている。
だから、「何を食べたらいいだろう」と思うわけです。
もちろん牛丼専門店やものすごい名物料理がある飲食店なら、最初からコレを食べようと思って来店するお客さまもいるでしょう。
しかし、たとえそういう人だって、お店で席につくまで何をオーダーするか決まっていないのです。

あるレストランで実際に実験してみました

pasta

料理の内容は変えずに、メニューの書き方を変えてみたのです。
これは具体的にどういうことかというと、たとえばそれまでは、

1 手長海老と魚介類の地中海風トマトパスタ 1380円
2 生ハムとキノコのタリアッテレ クリームソースパスタ 1280円
3 森の茸のペペロンチーノ プロヴァンス風 1050円

と、ただ単純に料理名と値段しか書いていなかったのです。
このときは「3 ペペロンチーノ」が一番出ていました。
これをこのように変えてみたのです。

1 手長海老と魚介類の地中海風トマトパスタ 1380円
「セモリナ粉100%使用の手打ちパスタ。毎朝シェフが粉から練ってつくり上げます!」
2 生ハムとキノコのタリアッテレ クリームソースパスタ 1280円
「こちらも手打ちパスタ。クリームソースが絶品です!」
3 森の茸のペペロンチーノ プロヴァンス風 1050円
「ペペロンチーノは、手打ちパスタじゃありません。この料理は手打ちにすると油がしみて、味が落ちてしまうのです。これも当店のこだわりです」

結果、なんと「1 地中海風トマトパスタ」が他の料理の2倍以上注文されるようになりました。一番価格の高いパスタが、一番売れるようになったのです。
「地中海風トマトパスタ」だけのオーダー数を見てみると、以前の3倍以上の数。
すべての料理でこういう工夫をした結果、売上は一気に上がりました。

ここがポイントで、非常に重要なことなので繰り返しますが、

料理の内容は一切変えていないのです。
ただ単にメニューの書き方を変えただけです。

これはどういうことなのでしょう?

メニューの書き方だけで、それまでオーダー率が低かったアイテムが急に3倍の売上になったり、追加のオーダーが増えたりして、これだけ売上の数字が変わるということは、ただ単純に料理名と価格だけを書いているメニューはチャンスロスを失っていることになります。
これは非常にもったいない話です。
この店がどういうふうにメニューの書き方を工夫したのかを簡単にいうと、

「その料理の価値を伝え、食べてみたいという欲求を起こさせた」

ということです。

他にもこういう書き方をしてみました。

【前】魚介類のパエリア
【後】新鮮魚介類のパエリア
「オープン以来当店のヒット料理! はっきり言いますが『おいしい!』です。すでに1万3824食突破! あなたはもう試した?」

【前】野菜の冷製煮込み ラタトゥーユ
【後】プロヴァンス風 野菜の冷製煮込み ラタトゥーユ
「プロヴァンス料理といえばラタトゥーユ! 南欧野菜の煮込みです。プロヴァンス料理の入門編。まずは食べてみて」

【前】山羊のチーズオムレツ 茸入りクリームソース
【後】とろける山羊のチーズオムレツ 茸入りクリームソース
「地中海沿いの草原の草を食べて育った羊のチーズはほのかな塩の味がします」

売上が上がっただけでなく、このメニュー変更で、メニューがお客さまとのコミュニケーションツールとして活躍するようになり、お店の評判もよくなりました。
ただ書き方を変えるだけですから、コストはほとんど変わりませんよね。

料理の名前と値段だけではなく、その料理のキャッチコピーや解説を書くことが大事です。
食べたくなる、注文したくなる、そんな言葉を考えてみましょう。

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藤村 正宏
北海道釧路生まれ。明治大学卒。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。経営者、ビジネスリーダー向けに「エクスマ塾」を実施、塾生はすでに1000名を超えている。著書は、海外にも翻訳され30冊以上出版。座右の銘「遊ばざるもの、働くべからず」

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