
青学主将、黒田朝日くんの激走<往路5区のゴール>
毎年、お正月には、駅伝を見るのが恒例です。
1日は社会人の「ニューイヤー駅伝」。
そして、2日と3日は「箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)」。
毎年、3日間は朝から午後2時くらいまでテレビで観戦します。
特に箱根駅伝は2日間にわたって、10時間、ずっと見ているわけです。
だから、東京国際大学とか、中央学院大学とか、城西大学とか、今まで全く知らなかった大学も、僕の中では有名校になっています。
箱根駅伝を見るのは、日本人にとってほとんど「年中行事」みたいなものなのかも知れません。
(関東地区の視聴率は高いけど、関西もけっこう見られているそうです。)
でも、ただのスポーツ観戦として見てしまうのは、正直、もったいない。
とくに 青山学院大学 の駅伝は、毎年のように「年始のビジネス教材」になっていると思うんですよ。
過去にもブログに書いてあります。
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なんでも面白がるって難しいけど やってみる価値はあるよ
データを見れば、箱根駅伝は「合理性の塊」に見える
駅伝は極めてロジカルな競技です。
特に箱根駅伝は、特殊な条件下なので、
・距離
・高低差
・気温
・風向き
・気象の変化
・選手の過去タイム
・区間適性
・当日のコンディション
すべてが数値化され、分析されます。
それでも、データ通りならないのが、面白いところ。
そこに、ドラマが生まれる。
実際、今年(2026年)の箱根駅伝でも、青学は1区で大きく出遅れました。
「え? この時点で優勝は厳しいのでは?」
そう思った人も多かったはず。
応援しているぼくも「今年は優勝は無理かもな」って思っていた。
でも、青学のベンチも、選手も、ほとんど動揺していなかった。
それはなぜかというと・・・
青学は「戦略」ではなく「OS」で走っているから。
青学は、「どう勝つか」より先に、「どう在るか」を決めているから。
・ワクワク大作戦
・ハッピー大作戦
・サンキュー大作戦
・輝け大作戦
毎回話題になるテーマ、これらは単なるスローガンじゃなくて、チームの思考OSなんだな。
1区で遅れたとき、多くの組織ならこうなる。
「想定外だ」
「計画を修正しなきゃ」
「誰の責任だ」
でも青学は違った雰囲気が漂っていた。
「まだ途中だよね」
「ここからだよね」
という空気が、最初から共有されていたわけです。
これは精神論ではなく、感情が安定している組織は、パフォーマンスが落ちないという、極めて現実的な話なんです。
5区は、会社で言えば「一番きつい部署」
箱根駅伝の5区。いわゆる「山登り」。
距離は長い。勾配はきつい。寒い。酸素は薄い。
ビジネスに例えたらこんな感じかも。
・売上が落ちている部署
・クレームが集中している現場
・誰も行きたがらないプロジェクト
そんな場所かも知れない。
2026年の往路、青学は大きなビハインドを背負っていた。
5区の始まりに、襷を受け取った時には、3分24秒差の5位。
普通なら、
「差を詰めてくれればいい」
「最低限でいい」
と言ったと思う。
でも、原晋 監督は違った。
「黒田だったら、逆転できる」
そう、言い切っていた。
「3分30秒だったら、逆転できる!」
マジか〜。それを聞いた時、ぼくも「それはないだろう・・・」って思った。
だって、5区は上りのコースを得意とするランナーが集まっている。
特に、先行している早稲田大学の工藤選手は「山の名探偵」の異名を持つランナー。
逆転は難しいって思うのは、当たり前だと思う。
原監督だけじゃなく、チームメイトも全員、黒田くんを信じていた。
4区の平松くんは区間3位の好走を見せた。
チーム順位を8位から5位へ押し上げてエースが待つ5区に襷を繋いだ選手。
小田原中継所で先頭との差は約3分24秒。
この差について平松は「当初は『2分差なら逆転できる』と言われていたので2分差以内で繋ぐつもりだったが、実際渡したときは約3分差。しかし朝日さん(黒田主将)なら絶対やってくれると思っていた」と語っています。
人は「管理」されると縮み、「信頼」されると伸びる
5区を走ったのは、主将の黒田朝日くん。
小田原でトップ中央大と3分24秒差の5位で襷を受けた黒田は、「前に行くしかない」と猛烈な追い上げを開始します。
10km手前で國學院大を抜いて3位に浮上、13km過ぎで中央大を捉えて2位、さらに19km過ぎには先頭・早稲田大の工藤選手を追い抜き、一気に突き放してトップでゴールテープを切った。
区間新記録。
一気に逆転。
ものすごいドラマティックな展開。
人間が作った物語(フィクション)でも、こんな展開は考えないだろうという展開でした。
ゴール手前1キロくらいでの逆転劇。
マジ、久しぶりに鳥肌が立つ経験でした。
「すごい走りだったね」で終わらせないくらい。
あの走りは、気合の産物じゃない。
・日常で積み上げてきた関係性
・「任せる」と言われ続けた経験
・失敗しても切り捨てられないという安心感
それらが一気に噴き出した結果なんだろうなって思うのです。
まさに「山の神」が乗り移ったみたいだった。
ビジネスでも同じ。
数字で縛られ、管理され、詰められ続けた人は、修羅場で縮んでしまう傾向がある。
伸び伸びできず、萎縮するんだな。
でも、
「君ならできる」
「ここは任せる」
そう言われ続けた人は、想像を超える力を出す。
青学がすごいのは「再現性」があること
青学の強さは、一発屋じゃない。
年が変わり、メンバーが変わっても、毎年、毎年、似たようなドラマが起きる。
それは、才能が集まっているからではなく、人への関わり方が一貫しているから。
楽しむこと。
面白がること。
失敗を許すこと。
信頼すること。
これらは、AIがどれだけ進化しても、代替できないことだと思う。
AIが賢くなるほど、人間は「バカ」でいい。
ここで、2026年のテーマにつながるわけです。
AIは、分析し、予測し、最適解を出す。ますます賢くなる。
だからこそ、人間は、
・揺らいでいい
・迷っていい
・遊んでいい
・直感を信じていい
賢くなりすぎない勇気が必要になる。
青学の駅伝は、そのことを毎年、お正月に教えてくれているんだと思うのです。
箱根駅伝は、スポーツであり、組織論であり、人間論なんだな。
そして、AI時代を生きる僕たちへの、最高の年始教材でもあるということです。
2月5日開催藤村流新春セミナー
「AIが賢くなるほど 人間はバカでいい」
このセミナーでは、そんな話もする予定です。
数字では測れない力。合理性では説明できない強さ。
その正体を、一緒に言葉にしていきましょう。
あなたの参加をお待ちしています。
往路で大逆転をした青山学院大学は、3日の復路は、一度もトップの座を明け渡すことなく、総合優勝しました。
それも自分達が持っていた大会記録「10時間41分19秒」を大幅に更新する「10時間37分34秒」の記録でした。ほんと・・・凄すぎる・・・
藤村 正宏
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